61 / 62
結婚編
結婚式直前のようです
しおりを挟む
二日後、いつものようにジークハルト様の執務室のお手伝いをした。その時に牛乳かんもどきとプリン、エプレンジュゼリーを持って行ったのだけれど、ジークハルト様はどちらかといえばプリンを気に入ったようだった。
また食べたいと言っていたので、作ろうと思う。
そして慌しくも時間が過ぎて行く。
ジークハルト様の執務室が終わると、今度は騎士団のほうの書類整理を頼まれた。こちらもすごいことになっていて、副団長や各師団の団長さんたちに恐縮されてしまった。
脳筋とは言わないけれど、書類整理が苦手な方が多いらしく、ついサボりがちなんだとか。
「ジークハルト様、各師団ごとに分ければいいですか?」
「ああ、それで頼む。それ以外は各師団にやらせるから」
「わかりました」
ジークハルト様の言葉に、各師団の団長と副団長が悲鳴をあげていたけれど、ジークハルト様が「きちんと整理しておかないのが悪い!」と一喝し、私が仕分けたものをまずは交代で書類整理をし、私がそれに表紙や背表紙をつけるということで話が纏まった。
師団は全部で六つ。
東西南北と魔森林を警戒したり魔物を討伐したるする師団が五つと、近衛に分かれているそうだ。
近衛に関してはジークハルト様が、それ以外の各師団、という大雑把な分け方をしつつ、一応年代別にも分けたら、ジークハルト様を含めた各師団長から感謝された。
結婚式まであと二週間というところまで書類整理を手伝い、残りは結婚後の蜜月を過ぎてから手伝うといことになった。それまでに全部終わっていればいいけれど、多分無理だし書類が増えるだろうとは、ジークハルト様の弁だ。
この二週間の間に、ドレスの仕上がりや式辞を完璧にしたりしなければならない。まあ、それほど難しいことはなく、ジークハルト様と一緒に司祭がいる場所に行き、祝福の言葉をもらい、婚姻書にサインをして終わりだそうだ。
その後王宮に移動し、王都に住んでいる人々にお披露目をするそうだ。といっても、バルコニーから手を振るだけらしい。
その後、王族家族と一緒に食事をして、貴族たちのお披露目は後日になるらしい。
これは結婚相手が王族だから王宮でやるのであって、貴族同士の場合は嫁いだ家でお披露目のパーティーをするのだそうで、そこでは立食式になる。モーントシュタイン領でやる場合も同じで、領地の家でパーティーをするらしい。
パーティーは苦手なのだけれど、自分のことだしそんなことを言っている場合ではないので、我慢する。
そしてこの間に、結婚前に一度会いたいからとラファエラ様にご招待され、仲良くなった他の方たちと一緒に王宮の庭でお茶会を開いたのだけれど……。
「まあ、ミカ様! そのおぐしはどうなさったのですか?!」
「銀髪も素敵でしたけれど、黒髪のほうがとてもお似合いですわ!」
「それに、その髪飾りも初めてですわよね?」
ラファエラ様、公爵家のエーファ様、侯爵家のマヌエラ様それぞれに驚いた顔をされ、髪のことで問い詰められてしまった。
この件に関してはジークハルト様に話す許可をいただいているので、三人に髪飾りが髪の色を変えてしまったこと、髪飾りの由来などを話すと、ラファエラ様は髪飾りのことをご存知だったらしく、「そうでしたの……」と嘆息なさっていた。
「どうして元に戻ったのか、本当のところはわからないのです。けれど、ジークハルト様は、『髪飾りが溜め込んだ魔力を使い、ミカをドラゴンに変えたのだろう』と仰っておいででしたので。私もそう思っています」
「そうね……ミカ様は別の世界からいらした方ですものね」
「驚きましたわ、異なる世界があるということに」
「わたくしも。このお菓子も、その世界のものなのでしょう?
「ええ、そうです。他にもあるのですよ? いろいろ持ってきたので、食べて感想を聞かせてくださいませ」
この三人の親も旦那さんも重鎮の地位にいるからなのか、父や兄がどこからやってきたのか、本当のことを知っていた。それを父に聞いた時、もしかしたら私のことも受け入れてもらえるのではないかと思い、嫌われる覚悟で今までのことの全てを話した。
話し終えた時にはとても驚いていたけれど嫌われることはなく、短時間でマナーを身につけたことを、出会った時と同じように褒めてくださった。そして私のことは、一切話さないとも約束してくださったのだ。
やはりスライムゼリーの使い道に困っていたので、そのお礼というわけではないけれど各地の果物や特産物を聞き、スライムゼリーを使った冷たいデザートや料理の話を教えてあげた。
今食べているのは牛乳かんとオランジュのゼリーだ。
「まあ……。あのスライムゼリーがこのようなお菓子になるなんて」
「とても美味しいですわ、ミカ様」
「これでしたら、暑い日でも食べられますわね」
「でしょう? 他にもテリーヌという、お肉や野菜を閉じ込めたものもあるのです。そちらのレシピも必要ですか?」
「「「ぜひ!」」」
三人揃って声をあげたのでそれに頷き、後日レシピを手紙で送ると約束をした。
他にも生クリームやカスタードクリームを使ったケーキやパイなどを食べてもらい、四人でいろんなことを話しながらそれらを食べた。
もちろん、それぞれにお土産を持たせてあるし、自領が扱っている果物を使ったデザートの作り方を教える約束もしている。
果物自体は乾燥させたりそのまま出してデザートとして食べるし、お菓子も焼菓子があるけれど、どれも甘すぎて、ひとつ食べたあとは食べたいとは思わなかったらしい。けれど私が持って来たお菓子を見て、やはり女性だからなのか、食いつきが半端じゃなかった。だからこそ、レシピを教えると言ったのだ。
お茶会が済んでしまえば、あとは結婚式に向けて準備をするだけだ。と言っても準備はほとんど終わっていて、空いている時間にレシピを書いて送ったり、結婚後のお茶会の約束をしたりして過ごした。
そういえば、ドラゴンになったことで良くなったことがある。
まずは足で、今も歩く練習をしていて、以前よりも早く歩けるようになった。
そして驚いたのが視力だ。以前よりも良くなっていて、ドラゴン補正とでもいうのだろうか……遠くのものまで見えるようになった。眼鏡なしで行動できることがとても嬉しい。
そんな日々を過ごしていると、あっという間に結婚式当日になった。
また食べたいと言っていたので、作ろうと思う。
そして慌しくも時間が過ぎて行く。
ジークハルト様の執務室が終わると、今度は騎士団のほうの書類整理を頼まれた。こちらもすごいことになっていて、副団長や各師団の団長さんたちに恐縮されてしまった。
脳筋とは言わないけれど、書類整理が苦手な方が多いらしく、ついサボりがちなんだとか。
「ジークハルト様、各師団ごとに分ければいいですか?」
「ああ、それで頼む。それ以外は各師団にやらせるから」
「わかりました」
ジークハルト様の言葉に、各師団の団長と副団長が悲鳴をあげていたけれど、ジークハルト様が「きちんと整理しておかないのが悪い!」と一喝し、私が仕分けたものをまずは交代で書類整理をし、私がそれに表紙や背表紙をつけるということで話が纏まった。
師団は全部で六つ。
東西南北と魔森林を警戒したり魔物を討伐したるする師団が五つと、近衛に分かれているそうだ。
近衛に関してはジークハルト様が、それ以外の各師団、という大雑把な分け方をしつつ、一応年代別にも分けたら、ジークハルト様を含めた各師団長から感謝された。
結婚式まであと二週間というところまで書類整理を手伝い、残りは結婚後の蜜月を過ぎてから手伝うといことになった。それまでに全部終わっていればいいけれど、多分無理だし書類が増えるだろうとは、ジークハルト様の弁だ。
この二週間の間に、ドレスの仕上がりや式辞を完璧にしたりしなければならない。まあ、それほど難しいことはなく、ジークハルト様と一緒に司祭がいる場所に行き、祝福の言葉をもらい、婚姻書にサインをして終わりだそうだ。
その後王宮に移動し、王都に住んでいる人々にお披露目をするそうだ。といっても、バルコニーから手を振るだけらしい。
その後、王族家族と一緒に食事をして、貴族たちのお披露目は後日になるらしい。
これは結婚相手が王族だから王宮でやるのであって、貴族同士の場合は嫁いだ家でお披露目のパーティーをするのだそうで、そこでは立食式になる。モーントシュタイン領でやる場合も同じで、領地の家でパーティーをするらしい。
パーティーは苦手なのだけれど、自分のことだしそんなことを言っている場合ではないので、我慢する。
そしてこの間に、結婚前に一度会いたいからとラファエラ様にご招待され、仲良くなった他の方たちと一緒に王宮の庭でお茶会を開いたのだけれど……。
「まあ、ミカ様! そのおぐしはどうなさったのですか?!」
「銀髪も素敵でしたけれど、黒髪のほうがとてもお似合いですわ!」
「それに、その髪飾りも初めてですわよね?」
ラファエラ様、公爵家のエーファ様、侯爵家のマヌエラ様それぞれに驚いた顔をされ、髪のことで問い詰められてしまった。
この件に関してはジークハルト様に話す許可をいただいているので、三人に髪飾りが髪の色を変えてしまったこと、髪飾りの由来などを話すと、ラファエラ様は髪飾りのことをご存知だったらしく、「そうでしたの……」と嘆息なさっていた。
「どうして元に戻ったのか、本当のところはわからないのです。けれど、ジークハルト様は、『髪飾りが溜め込んだ魔力を使い、ミカをドラゴンに変えたのだろう』と仰っておいででしたので。私もそう思っています」
「そうね……ミカ様は別の世界からいらした方ですものね」
「驚きましたわ、異なる世界があるということに」
「わたくしも。このお菓子も、その世界のものなのでしょう?
「ええ、そうです。他にもあるのですよ? いろいろ持ってきたので、食べて感想を聞かせてくださいませ」
この三人の親も旦那さんも重鎮の地位にいるからなのか、父や兄がどこからやってきたのか、本当のことを知っていた。それを父に聞いた時、もしかしたら私のことも受け入れてもらえるのではないかと思い、嫌われる覚悟で今までのことの全てを話した。
話し終えた時にはとても驚いていたけれど嫌われることはなく、短時間でマナーを身につけたことを、出会った時と同じように褒めてくださった。そして私のことは、一切話さないとも約束してくださったのだ。
やはりスライムゼリーの使い道に困っていたので、そのお礼というわけではないけれど各地の果物や特産物を聞き、スライムゼリーを使った冷たいデザートや料理の話を教えてあげた。
今食べているのは牛乳かんとオランジュのゼリーだ。
「まあ……。あのスライムゼリーがこのようなお菓子になるなんて」
「とても美味しいですわ、ミカ様」
「これでしたら、暑い日でも食べられますわね」
「でしょう? 他にもテリーヌという、お肉や野菜を閉じ込めたものもあるのです。そちらのレシピも必要ですか?」
「「「ぜひ!」」」
三人揃って声をあげたのでそれに頷き、後日レシピを手紙で送ると約束をした。
他にも生クリームやカスタードクリームを使ったケーキやパイなどを食べてもらい、四人でいろんなことを話しながらそれらを食べた。
もちろん、それぞれにお土産を持たせてあるし、自領が扱っている果物を使ったデザートの作り方を教える約束もしている。
果物自体は乾燥させたりそのまま出してデザートとして食べるし、お菓子も焼菓子があるけれど、どれも甘すぎて、ひとつ食べたあとは食べたいとは思わなかったらしい。けれど私が持って来たお菓子を見て、やはり女性だからなのか、食いつきが半端じゃなかった。だからこそ、レシピを教えると言ったのだ。
お茶会が済んでしまえば、あとは結婚式に向けて準備をするだけだ。と言っても準備はほとんど終わっていて、空いている時間にレシピを書いて送ったり、結婚後のお茶会の約束をしたりして過ごした。
そういえば、ドラゴンになったことで良くなったことがある。
まずは足で、今も歩く練習をしていて、以前よりも早く歩けるようになった。
そして驚いたのが視力だ。以前よりも良くなっていて、ドラゴン補正とでもいうのだろうか……遠くのものまで見えるようになった。眼鏡なしで行動できることがとても嬉しい。
そんな日々を過ごしていると、あっという間に結婚式当日になった。
75
あなたにおすすめの小説
喪女なのに狼さんたちに溺愛されています
和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です!
聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。
ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。
森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ?
ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。
理想の男性(ヒト)は、お祖父さま
たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。
そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室?
王太子はまったく好みじゃない。
彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。
彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。
そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった!
彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。
そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。
恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。
この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?
◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。
本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。
R-Kingdom_1
他サイトでも掲載しています。
推しの幸せをお願いしたら異世界に飛ばされた件について
あかね
恋愛
いつも推しは不遇で、現在の推しの死亡フラグを年末の雑誌で立てられたので、新年に神社で推しの幸せをお願いしたら、翌日異世界に飛ばされた話。無事、推しとは会えましたが、同居とか無理じゃないですか。
明日のために、昨日にサヨナラ(goodbye,hello)
松丹子
恋愛
スパダリな父、優しい長兄、愛想のいい次兄、チャラい従兄に囲まれて、男に抱く理想が高くなってしまった女子高生、橘礼奈。
平凡な自分に見合うフツーな高校生活をエンジョイしようと…思っているはずなのに、幼い頃から抱いていた淡い想いを自覚せざるを得なくなり……
恋愛、家族愛、友情、部活に進路……
緩やかでほんのり甘い青春模様。
*関連作品は下記の通りです。単体でお読みいただけるようにしているつもりです(が、ひたすらキャラクターが多いのであまりオススメできません…)
★展開の都合上、礼奈の誕生日は親世代の作品と齟齬があります。一種のパラレルワールドとしてご了承いただければ幸いです。
*関連作品
『神崎くんは残念なイケメン』(香子視点)
『モテ男とデキ女の奥手な恋』(政人視点)
上記二作を読めばキャラクターは押さえられると思います。
(以降、時系列順『物狂ほしや色と情』、『期待ハズレな吉田さん、自由人な前田くん』、『さくやこの』、『爆走織姫はやさぐれ彦星と結ばれたい』、『色ハくれなゐ 情ハ愛』、『初恋旅行に出かけます』)
捕まり癒やされし異世界
蝋梅
恋愛
飲んでものまれるな。
飲まれて異世界に飛んでしまい手遅れだが、そう固く決意した大学生 野々村 未来の異世界生活。
異世界から来た者は何か能力をもつはずが、彼女は何もなかった。ただ、とある声を聞き閃いた。
「これ、売れる」と。
自分の中では砂糖多めなお話です。
異世界に行った、そのあとで。
神宮寺あおい@1/23先視の王女の謀発売
恋愛
新海なつめ三十五歳。
ある日見ず知らずの女子高校生の異世界転移に巻き込まれ、気づけばトルス国へ。
当然彼らが求めているのは聖女である女子高校生だけ。
おまけのような状態で現れたなつめに対しての扱いは散々な中、宰相の協力によって職と居場所を手に入れる。
いたって普通に過ごしていたら、いつのまにか聖女である女子高校生だけでなく王太子や高位貴族の子息たちがこぞって悩み相談をしにくるように。
『私はカウンセラーでも保健室の先生でもありません!』
そう思いつつも生来のお人好しの性格からみんなの悩みごとの相談にのっているうちに、いつの間にか年下の美丈夫に好かれるようになる。
そして、気づけば異世界で求婚されるという本人大混乱の事態に!
【電子書籍化・1月末削除予定】余命一カ月の魔法使いは我儘に生きる
大森 樹
恋愛
【本編完結、番外編追加しています】
多くの方にお読みいただき感謝申し上げます。
感想たくさんいただき感謝致します。全て大切に読ませていただいております。
残念ですが、この度電子書籍化に伴い規約に基づき2026年1月末削除予定です。
よろしくお願いいたします。
-----------------------------------------------------------
大魔法使いエルヴィは、最大の敵である魔女を倒した。
「お前は死の恐怖に怯えながら、この一カ月無様に生きるといい」
死に際に魔女から呪いをかけられたエルヴィは、自分の余命が一カ月しかないことを知る。
国王陛下から命を賭して魔女討伐をした褒美に『どんな我儘でも叶える』と言われたが……エルヴィのお願いはとんでもないことだった!?
「ユリウス・ラハティ様と恋人になりたいです!」
エルヴィは二十歳近く年上の騎士団長ユリウスにまさかの公開告白をしたが、彼は亡き妻を想い独身を貫いていた。しかし、王命により二人は強制的に一緒に暮らすことになって……
常識が通じない真っ直ぐな魔法使いエルヴィ×常識的で大人な騎士団長のユリウスの期間限定(?)のラブストーリーです。
※どんな形であれハッピーエンドになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる