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サマヨーエ

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 彼と私のみが視ることのできる、影のモノガタリ。

 それは突然の侵蝕でした。

 ヒトガタの影がもう一人のクラスメイトの後ろに憑く。

 彼が脳髄凝らして仰ぎ視る。

 人に近しく異なる者、その比重は、青い陶器製。

 顔に穴が開いています。

 私は裏側をのぞこうとシテイマス。

 彼は懐中電灯を取り落としました。

    されど迷宮、口を開けた無知。

 三角型の裸の頭が殴る!!!

 踊る! 踊る!! 踊る!!!!!

 恒常性の矢印を、背に向け、一服。

 しばしジャミングの煮こごり。

 青春の黒ヘドロ、供養塔のストローで飲み尽くせ。

 顔に穴の開いた背徳。

 裏側覗いた者どもの精神の境界いざ知れず。
 
 人形の恐ろしさは、人との境界が崩壊する曖昧さを生じるためと聞キマシタ。
 
 それでは、ヒトガタをヒトに見立て、ヒトガタのみを見続けた者は回帰?

 もっとも、私を含め、空は狡猾なほどの群青。
 
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