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雨傘輪廻

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 すれ違った帰り道へと、時は、僕が望めば何度でも、繰り返します。

 元をたどれば予報ハズレの雨だったから。

 二重の意味で「天気が悪かった」んです。

 
 降りた遊園地、お互いに反対方向にあーるいた

 あーるいた


 君は夏のくせにそのへんに積んであった落ち葉の山を踏んづけた。

 だから僕は夏らしく蝉の死骸をぐじゃりと踏んづけた。




 そうだその通りです。

 天気のせいでぎこちなくて、屋外メインで組み立てたコースもプランも自信も消失。

 それは君も同じでして、つまらないのかと勘違いした僕が、救いを求めて視線をさまよわせた先に目があった、観覧車とかいう鉄の機関。

 最悪のきまずさ放出。

 強制的な夏の終わり。

 元をたどれば天気が悪いって、そう言えたから、僕たちは生きてたんです。

 雨の日は「天気が悪い」って言葉は、きっとそのためにあるのでしょう。

 だけどあの日に限って、天気のせいって言えなかったから、僕たちは壊れたんです。



 ああ。

 傘を差して、過去に走ろう?

 影を見つめて、泥まみれになりながら、必死に手を伸ばそう。

 タイムリープはおしまい。


 過去の幻影。

 泣き腫らした帰り道に、もうお互いに顔なんてみたくないみせたくないとでも言わんばかりに、頭部がひしゃげ潰れてしまった君。

 死の運命だけはどうやっても変えられなかったんだ。

 高いところから不注意で落ちるか、通り魔に刺されるか、助けようとすればするほど、死はぶざまで唐突なものになって、君はどうやってもいなくなったんだ。

 救うための能力は灰となる。

 これが最後の繰り返しになるのなら、

 僕が君と出逢わなければ良かった


 こんな簡単なことだった


 そうだ そうしよう


 すべてを、かきかえよう。
  

 おもちゃしゅうりしゃのばけものが、ねらっていたのは、きみじゃなくて、ぼく。


 夏夏夏夏夏夏夏夏夏夏籠、籠、籠、籠、籠、愚者、愚者、愚者、愚者、崖、崖、崖、崖、あははははははは確かに埋め尽くされた、射的場でしたねねね



  偽典、奇々怪々散逸構造風鈴郵便、断



















 
 
















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