魔女との世界の歩き方

詩野

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第二章 【都市リグレット】

第七節 【迷宮 2】

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ルーンは始めて入る迷宮の広さに圧倒された、それは何度か別の迷宮を攻略したことのあるカインたちも同じなようで迷宮の中でもとても大きな部類に入ることが分かった。
迷宮の中は複雑な迷路のようになっており、その中から下の階層に降りる階段を探す。というのが一連の流れとなるが、これだけの大きさになると一階層を突破するのに膨大な時間が掛かる。
さらにまだ発見されてまもない迷宮なのでマップデータなども出回っていないので、完全な初見体制で攻略するこことになる。

程なくして迷宮最初の敵が現れた、コボルトだ。
コボルトはオークと違って人間よりも小さく小柄だが魔物の中では結構知能の高い部類に入る。
個々の戦闘力はさほど高くないがそれを集団行動をとることでその力は脅威と化す。
近接戦闘タイプが基本的だが、中には重装備や魔法を使う上位種も居る。
今回来たコボルトは十数匹くらいの群れで、その中には魔術師のタイプが二匹いる。

「おらぁああ!」

ゴートが【挑発】を使いコボルトたちを引き寄せカインとレキが群れの中心に突っ込む。
カインたちが仕留めそこねたコボルトはアイリスとカムイが魔法で仕留める。

「はっ!」

ルーンはコボルトの群れの後ろのほうに居る回復魔法を使用しているコボルトを狙った。
放たれた弓矢は真っ直ぐにコボルトの脳天を貫き、コボルトは一瞬で死滅した。

初めてちゃんとした武器である今の弓を使ったルーンは、その性能に驚いた。
全ての動作が動きやすくなっていて、矢のスピードも格段に速くなっている。
更に火力も今までには無いほど強くなっていて、普段は突き刺さるだけの矢が今回は貫いて奥の壁に突き刺さっていた。

「すごいな、これ」

確かに元々の武器の性能もすごいのだが、魔物用の武器としての性能が初めてなルーンはこの日の迷宮探索において少々振り回されることになる。
戦闘も終了し、カインたちが剥ぎ取りをしている時に壁に刺さった矢を回収しにいくと、矢はどこも欠ける事もなくきれいな状態で突き刺さっていた。どうやら、矢の耐久も上がってしまうらしい。

その後リオに回復してもらい、再び攻略を始めた。
そんなことを何度か繰り返していると、ルーンたちの目の前に古びた木箱が出現した。

「お、宝箱だ」

カインが弾んだ声で言った。
宝箱には宝石などの売却専用の物やレアな武器など色々なものが入っている。

「トラップの確認終わったよ」

斥候職であるレキは罠の確認をしてきたらしい。
宝箱に限ったことではないが、迷宮内には罠の掛かっている場所が存在する。
なので、迷宮探索には斥候職が必須だ、今回は罠は無かったらしいが罠にかかった場合最悪命に関るものが多い。

「せっかくだからルーンが開けて良いよ」

カインがそう言ってくれたので、ルーンは宝箱を開けた。
ギイィと音を上げて開いた宝箱の中には、宝石が数個とペンダントが入っていた。

「お、装飾品か。リオ、鑑定よろしく」

装飾品とは武器や防具と違って、身体能力が上昇する効果がついているもので、それは色々な形をしているが基本的にアクセサリーの形状をしているものが多い。
カインは鑑定の技能を修得しているリオに、ペンダントの鑑定をするように言った。

「これは射撃命中率上昇がついてるね」

「お、ルーンにピッタリの効果がついてるじゃねえか。今まで射撃関係のものは売っちまっていたが使える先が出来て良かった」

と、カインはうれしそうに言った。
カインはルーンにペンダントを渡し、ルーンはありがたくそれを受け取った。

そんなこともありながらルーンたちは二階層につながる階段を見つけることが出来た。
一階層降りるごとに魔物は強くなっていくので、念入りに準備をした後、ルーンたちは階段を降りていった。
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