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魂が疲弊しているから引きこもる
しおりを挟む魂が疲弊している。
レフェリア大神殿のお偉い神官様が、そう両親伝えた。
「魂の疲れに引きずられるように、アディル様の心も体も、今や限界に近いご様子です」
両親は突然、なぜ、どうして、と慌てている。
そりゃなあー、元気いっぱいの嫡男が突然、魂が疲れてて、肉体も心も疲れ果ててしまったなんて聞いたら、困惑するに決まってるし、神官様はドヴァル家の虐待を疑っている。
第一王子を「エルーク王子」だと思い出した瞬間、前世の魂の疲労がどーんッと今世 に蘇った…しか考えられない…。
この疲労感懐かしい…ぐふぅ…
「神官様…お父様とお母様は何も悪くありません…」
「アディル様?」
寝台の上で、必死に伝えなければならい。
「お城に行って緊張でおかしくなっただけです…ほんとうです…」
布団から手を伸ばす。お母様がその手を握りしめてくれた。
「アディル…」
「極度の緊張…ということですか…」
納得いかない神官様にはわからないだろうな。
「融資を受けれるかどうかのプレゼンに全力を尽くして力尽きた…いまはそんな感じがします…」
ガク、と白く灰になる…ような、気分だ。
その後、神官様はちょくちょく見に来ることになるんだけど俺の魂の疲弊度は変わらず。ほぼ寝たきりの引きこもりになってしまった。
嫡男としての地位は、弟のトレイクに譲り、学園も席だけ置く形で在籍している。
両親としては、学園だけは卒業してほしいらしい。
一年後、トレイクの入学式の日だ。
トレイクが俺の部屋へとやってきた。
「兄様、体調はどうですか?」
「ああ、トレイク。おはよう…王立学園入学おめでとう。きっと素敵な出会いがあるぞ」
茶化すようにトレイクにいうと、目眩がした。慌てて俺を支えてくれる弟。
神か…。
「無理しないで…兄様」
「無理なんかしてないぞ? トレイクを支えてくれるお嬢さんに思いを馳せてるんだ。」
「なんだよそれ。婚約者ならお父様たちが決めるよ」
「はー…だめだぞ。トレイクは政略結婚なんて。ベッドから動きたくな…げふんげふん、動かない役立たずを婚約者に『据えた』第一王子のエルーク殿下より、トレイクは素敵なお嬢さんと大恋愛してくれ」
そう、引きこもった俺がなんと!!
第一王子の「婚約者」になったのだ。
嘘だろ、何考えてんだアイツ。とか、両親から聞かされた時、白目をむいて倒れた。
王城に出向けない俺と第一王子の顔合わせは、この部屋で行われた。
5分もしないうちに容体悪化。そりゃ、魂から疲弊してるからな。心労が祟った。
気がついたら一月経っていた。
なのに、
いまだに婚約解消されないのは、なぜか。
「エルーク殿下は兄様を家門間の都合のいい緩衝材扱いして、その裏で派閥争いを操るつもりだよっ」
弟よ、どこでそんな話を立ち聞きをした。
憤る弟をなぐさめながら、
「トレイク、学園に行っても殿下とは関わらないように。約束だ」
政治なんて関わって、トレイクまで心労で倒れたなんてなったら大変だ。
「もちろんです。兄様の平穏は壊しません」
凛と引き締まった表情で、トレイクは俺と約束をしてくれた。
やった!
まだしばらく引きこもってられる!!!!
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