純潔の嘘と金の愛

蜜花

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ウザイ同僚

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 騎士団の詰め所は、家から徒歩10分のところにある。

 街は平穏で、殺人事件など大きな問題はめったにない。住民トラブルや魔道具の事故が主な仕事で、街の人から騎士団は親しみを込めて「ランタン」と呼ばれている。モカとの時間をとりたくて、結婚を機に事件が多い団から転籍して一年、給料は安いけど、街を守る誇りが私を支える。


「おい、プラティナ!」


 出勤途中で声をかけられた。振り返らなくても分かる。同僚のドラグルだ。無視して歩を速めるけど、肩を掴まれそうになり、反射的に払った。


「触らないでよ、ドラグル」


 緑の制服に、180センチ超の長身。黒の短髪、褐色の肌、オレンジの瞳。筋肉質な体を活かして女と遊び、トラブルを起こす。私の仕事を増やしてくれる、厄介な同僚だ。


「てめえ、聞こえてるだろ!」 

「まだ勤務時間前でしょ。話しかけないで」


 最初は仲良くしようと思った。でも、ドラグルの女性絡みのトラブルに10回以上巻き込まれてから、業務以外の会話はしないと決めた。


「ちょっと話せねえか? まだ早いだろ」

 「ついてこないで。上がりでしょ? 帰りなよ」


 足を速めても、ドラグルはしつこく追いかけてくる。長い足には敵わない。


「なによ、ここで話して」

 「あっ……俺、謝りたくて……」


 大柄な男が、首を押さえて目を伏せる。そのギャップに、つい心が揺らぐ。私はこういうタイプに弱い。


「どうしたら、また話してくれるんだよ」


 可愛いなんて思っちゃダメ。こいつに散々迷惑かけられたんだから。


「あんたが傷つけた子たちに謝ったらかな」
 
「なっ。俺は遊びだって言ったのに、アイツらが……」 

「じゃあ、話さない」


 ドラグルが舌打ちして去っていく。話さないと宣言してからもよく絡まれるので、結局話をしてしまっている。気を取り直して仕事へ向かった。
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