6 / 15
ウザイ同僚
しおりを挟む
騎士団の詰め所は、家から徒歩10分のところにある。
街は平穏で、殺人事件など大きな問題はめったにない。住民トラブルや魔道具の事故が主な仕事で、街の人から騎士団は親しみを込めて「ランタン」と呼ばれている。モカとの時間をとりたくて、結婚を機に事件が多い団から転籍して一年、給料は安いけど、街を守る誇りが私を支える。
「おい、プラティナ!」
出勤途中で声をかけられた。振り返らなくても分かる。同僚のドラグルだ。無視して歩を速めるけど、肩を掴まれそうになり、反射的に払った。
「触らないでよ、ドラグル」
緑の制服に、180センチ超の長身。黒の短髪、褐色の肌、オレンジの瞳。筋肉質な体を活かして女と遊び、トラブルを起こす。私の仕事を増やしてくれる、厄介な同僚だ。
「てめえ、聞こえてるだろ!」
「まだ勤務時間前でしょ。話しかけないで」
最初は仲良くしようと思った。でも、ドラグルの女性絡みのトラブルに10回以上巻き込まれてから、業務以外の会話はしないと決めた。
「ちょっと話せねえか? まだ早いだろ」
「ついてこないで。上がりでしょ? 帰りなよ」
足を速めても、ドラグルはしつこく追いかけてくる。長い足には敵わない。
「なによ、ここで話して」
「あっ……俺、謝りたくて……」
大柄な男が、首を押さえて目を伏せる。そのギャップに、つい心が揺らぐ。私はこういうタイプに弱い。
「どうしたら、また話してくれるんだよ」
可愛いなんて思っちゃダメ。こいつに散々迷惑かけられたんだから。
「あんたが傷つけた子たちに謝ったらかな」
「なっ。俺は遊びだって言ったのに、アイツらが……」
「じゃあ、話さない」
ドラグルが舌打ちして去っていく。話さないと宣言してからもよく絡まれるので、結局話をしてしまっている。気を取り直して仕事へ向かった。
街は平穏で、殺人事件など大きな問題はめったにない。住民トラブルや魔道具の事故が主な仕事で、街の人から騎士団は親しみを込めて「ランタン」と呼ばれている。モカとの時間をとりたくて、結婚を機に事件が多い団から転籍して一年、給料は安いけど、街を守る誇りが私を支える。
「おい、プラティナ!」
出勤途中で声をかけられた。振り返らなくても分かる。同僚のドラグルだ。無視して歩を速めるけど、肩を掴まれそうになり、反射的に払った。
「触らないでよ、ドラグル」
緑の制服に、180センチ超の長身。黒の短髪、褐色の肌、オレンジの瞳。筋肉質な体を活かして女と遊び、トラブルを起こす。私の仕事を増やしてくれる、厄介な同僚だ。
「てめえ、聞こえてるだろ!」
「まだ勤務時間前でしょ。話しかけないで」
最初は仲良くしようと思った。でも、ドラグルの女性絡みのトラブルに10回以上巻き込まれてから、業務以外の会話はしないと決めた。
「ちょっと話せねえか? まだ早いだろ」
「ついてこないで。上がりでしょ? 帰りなよ」
足を速めても、ドラグルはしつこく追いかけてくる。長い足には敵わない。
「なによ、ここで話して」
「あっ……俺、謝りたくて……」
大柄な男が、首を押さえて目を伏せる。そのギャップに、つい心が揺らぐ。私はこういうタイプに弱い。
「どうしたら、また話してくれるんだよ」
可愛いなんて思っちゃダメ。こいつに散々迷惑かけられたんだから。
「あんたが傷つけた子たちに謝ったらかな」
「なっ。俺は遊びだって言ったのに、アイツらが……」
「じゃあ、話さない」
ドラグルが舌打ちして去っていく。話さないと宣言してからもよく絡まれるので、結局話をしてしまっている。気を取り直して仕事へ向かった。
11
あなたにおすすめの小説
【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する
ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。
夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。
社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。
ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。
「私たち、離婚しましょう」
アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。
どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。
彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。
アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。
こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
朝日みらい
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
白椿の咲く日~ひそかな恋、遠い日の思いは
紫さゆり
恋愛
結婚を控えた真由子は、久しぶりに異母姉の稚子(わかこ)と会う。
真由子の母の雪江は、大学教授であり著名な歌人の水上実之(みなかみさねゆき)の後添いとして水上家に嫁いだ。
婚約者の諒人(りょうと)のことなど、真由子は稚子と色々語り合ううち、庭の白椿の木は真由子がなついていた異母兄、靖之が植えたものだと知る。
白椿の木をめぐっての、ひそかな大人の恋物語です。
【完結】新皇帝の後宮に献上された姫は、皇帝の寵愛を望まない
ユユ
恋愛
周辺諸国19国を統べるエテルネル帝国の皇帝が崩御し、若い皇子が即位した2年前から従属国が次々と姫や公女、もしくは美女を献上している。
既に帝国の令嬢数人と従属国から18人が後宮で住んでいる。
未だ献上していなかったプロプル王国では、王女である私が仕方なく献上されることになった。
後宮の余った人気のない部屋に押し込まれ、選択を迫られた。
欲の無い王女と、女達の醜い争いに辟易した新皇帝の噛み合わない新生活が始まった。
* 作り話です
* そんなに長くしない予定です
お姫様は死に、魔女様は目覚めた
悠十
恋愛
とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。
しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。
そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして……
「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」
姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。
「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」
魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……
失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる