25回目のごめんね

蜜花

文字の大きさ
3 / 10
3

三話目 おいしい魚と静かな穴

しおりを挟む
🐾  
 ぼくね、考えたんだ。  
 ねずみさんたちが出てこなかった理由。  
 猫の国に帰ってから、頭をポクポクした。  
 それから、走ったりもした。

 そうしたらね、わかったんだよ!  

「贈り物が足りなかったんだ」
  
 贈り物を忘れちゃってたの。  
 ねずみさんたち楽しみにしてた。  
 きっとがっかりしちゃったんだと思う。  

 贈り物はなにがいいかな、どうしよう……。  
 ぼくはお歌も好きただよ!ダンスも好き。  
 たのしいの? おいしいの? きれいなの?
 どれがいいかな?  どれが一番かな?  

 でも、だいじょうぶ。 ぼく、王さまだもん。  

 すっごく悩んで、いちばんおいしい魚を選んだよ。  
 そのままもいいけど、もっとおいしくした。  
 ぼくらが大好きなはっぱで煮込んだよ。  
 このはっぱ、ぼくらは大好きなんだ。  
 くんくんするだけで、目がとろーんってなるくらい。

 ぐつぐつ、ぐつぐつ。  
 魚がぷっくりふくらんで、とってもおいしそう。  
 香りが部屋にふわ~んと広がった。  
 ぼくは料理も大とくいなんだ。

 味見したら、食べすぎちゃった。  
 身はもう食べちゃったけど、だいじょうぶ。  
 スープもあるし、骨もおいしいんだ。  
 ねずみさんたちも、きっと気に入ってくれるはず!

 金のお皿にたっぷり入れた。  
 深くて、ぴかぴかしてて、ぼくのお気に入りだよ。  
 大きくて、ふちが高くて、たくさん入るの。  
 うっかりスープがこぼれないんだ。    
 あたたかいスープ、大好き。

 猫の国のみんながすごく褒めてくれた。
  
「王さまの味覚は世界一!」  
「ねずみたちは感動まちがいなしです!」

 これで準備はばっちり。  
🐾 


「こんにちはー! 王さまだよー!」  

 王様は門の前で大きな声を張り上げ、しっぽをくるくる回した。 ピカピカの金のお皿を手に持ち、スープを手に持った。ねずみたちは穴の奥で鼻をひくひく、そっと後ずさりした。 くしゃみをこらえる子もいた。 金のお皿がキラキラ光り、目をチカチカさせた。

「まぶしい…」「でっかいお皿だね」と、奥から小さな声が漏れた。

 王様の声に、ねずみたちは耳をピクピク動かした。  
「また来た…」と、穴の奥でヒソヒソ話した。

 夜になってもスープの匂いは強く漂う。 穴の奥では、ねずみたちは身を寄せ合い、誰も声を出さなかった。  鼻をひくひくさせながら、音を立てないようにじっとしていた。  
 ねずみたちは、スープの匂いが届くたび、体をこわばらせ動かないようにがんばった。 王様はスープをごくごく飲み、骨をバリバリ食べた。
 その音が穴の奥に強く響き、ねずみたちは震えた。王様はしっぽをふりふり、門の前を後にした。  

🐾
 あれれ? みんなどうしたのかな?  
 スープを飲みにこないのかな。  
 へんだなぁ、すっごくおいしいのに。  
 このにおい……あぁ、うっとりしちゃう。  
 ぼくだったら、ぜったいがまんできないよ。  
 うん、食べちゃおう。  
 スープはおいしいなぁ、ごくごく飲めちゃう。  
 骨もおいしい。ちょっと硬いけどね。

 食べ終わってからも、みんなシーンとしてる。  
 変なの、どうしたのかな。  
 ぜんぜん音がしないし、静かだし……。  
 わかった! そうなんだね!  
 きっと、みんな寝ちゃったんだ。

 あぁ、すてきだなぁ。  
 おなかいっぱいで、すやすやしてるんだ。  
 しっぽをまるめて、ふわふわのおなか出してる?  
 ほっぺをくっつけて、いい夢見てるんだろうな。

 ぼくのしっぽがちょっとしょんぼりした。  
 でも、すぐにふわっとふくらんだよ。  
 よーし、次はふわふわの毛布を持っていこう!  
🐾
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

【完結】誰かの親切をあなたは覚えていますか?

なか
児童書・童話
私を作ってくれた 私らしくしてくれた あの優しい彼らを 忘れないためにこの作品を

ローズお姉さまのドレス

有沢真尋
児童書・童話
*「第3回きずな児童書大賞」エントリー中です* 最近のルイーゼは少しおかしい。 いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。 話し方もお姉さまそっくり。 わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。 表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成

そうして、女の子は人形へ戻ってしまいました。

桗梛葉 (たなは)
児童書・童話
神様がある日人形を作りました。 それは女の子の人形で、あまりに上手にできていたので神様はその人形に命を与える事にしました。 でも笑わないその子はやっぱりお人形だと言われました。 そこで神様は心に1つの袋をあげたのです。

ちびりゅうと びゃっこくんの ふしぎな てんらんかい

関谷俊博
絵本
これも いつもの だましえです。タイトルは「てんらんかい」としましたが、かなり くるしまぎれです。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

傷ついている君へ

辻堂安古市
絵本
今、傷ついている君へ 僕は何ができるだろうか

処理中です...