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八話目 すねる王様とねずみたち
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🐾
いつもはね、あったかい春に行ってたんだ。
でもね、前に行ったとき、できなかったの。
ハグしたかったのに、穴へ帰っちゃったの。
暑かったのかな……?
だからね、今度は冬にしたんだ!
猫の国はいつもぽかぽかだけどね。
他の国はすごく寒いんだって!
だから、会いに行くって決めたんだ!
🐾
ʢ•·̫•ʡ
冬でした。
私たちは、穴の中で、体を寄せ合っていました。
やっぱり、あたためあっていたんです。
みんなでぎゅっとすると気持ちいいんです。
これが幸せだって、おじいちゃんが言ってました。
寒いときは、みんなで歌をうたいます。
小さな声で、順番に。
それが、あたたかさになるんです。
誰かがくしゃみをすると、みんなで笑います。
それも、あたたかさになるんです。
ʢ•·̫•ʡ
王様は、温かいコートとイヤーマフ、手袋をつけてやってきた。
猫の国の民たちは王さまを温めようと、代わる代わるにハグをしていた。
門の前には、みんなが乗れるサイズのソリが置かれていた。
王様は、それにねずみたちを乗せて、連れて帰るつもりだった。
🐾
「ねずみさん、ここはさむいね」
なんて寒いんだろ。
猫の国にはずっとぽかぽかなのにな。
ほんとうにびっくりしちゃったよ。
早くねずみさんたちを助けなきゃ。
すてきなソリはびゅーんと早いよ。
「みんな出てきて、うちの国に住んでいいよ!」
あっ、ねずみさんが出てきてくれた。
やっぱりかわいい。
とーっても小さいんだ。
よちよち動くのがすごく素敵。
「寒いよね、穴なんて、もういらないよ」
なーんにもない穴のなかは、すごく寒いだろうな。
「出てきて、ハグしよう。あったかいよ」
ぼくの自慢のコートの中に入れてあげる。
ねずみさんたちは小さいから。
みーんな入れるよね。
🐾
王様は、門の前で待っていた。
ねずみたちは、穴の奥でじっとしていた。
雪がちらちらと降り始めていた。
王様のコートには、白い粒が積もっていた。
一匹のねずみが、王様の前に立ちはだかった。
その子は、体をふるわせながらも、まっすぐ王様を見ていた。
ʢ•·̫•ʡ
「私たちはいきません!いきません!」
私たちは、王様を嫌いじゃありません。
嫌いじゃないけど、こわいです。
暖かい猫の国にも憧れます。
でも、そこは私たちの国じゃない。
だから、私たちは穴の中でぎゅっとします。
それなら、だいじょうぶなんです。
私たちは、この穴でみんなで暮らします。
暮らしているんです。
私たちのしあわせは、ここにあるんです。
ʢ•·̫•ʡ
王様は、贈り物のソリをそっと引き上げた。
ソリの上には、誰も乗っていなかった。
門の前には、何も残っていなかった。
🐾
「ゴマみたいな鼻だったな」
ぼくは心のなかがむずむずしてた。
ぽかぽかな猫の国にきてほしかったから。
すごくいいところなんだよ、猫の国って。
あったかくて、楽しくて、ご飯がおいしい。
ねずみさんたちの声を初めてきいたんだ。
ちゅうちゅうなくの以外にね。
🐾
部下たちは、王さまの言葉にうなずいて、口々にねずみたちの悪口を言い始めた。
「そーだそーだ、黒ゴマです」
「ちんちくりんでしたね」
王様はもう何も言わなかった。
黙って、空を見ていた。
いつもはね、あったかい春に行ってたんだ。
でもね、前に行ったとき、できなかったの。
ハグしたかったのに、穴へ帰っちゃったの。
暑かったのかな……?
だからね、今度は冬にしたんだ!
猫の国はいつもぽかぽかだけどね。
他の国はすごく寒いんだって!
だから、会いに行くって決めたんだ!
🐾
ʢ•·̫•ʡ
冬でした。
私たちは、穴の中で、体を寄せ合っていました。
やっぱり、あたためあっていたんです。
みんなでぎゅっとすると気持ちいいんです。
これが幸せだって、おじいちゃんが言ってました。
寒いときは、みんなで歌をうたいます。
小さな声で、順番に。
それが、あたたかさになるんです。
誰かがくしゃみをすると、みんなで笑います。
それも、あたたかさになるんです。
ʢ•·̫•ʡ
王様は、温かいコートとイヤーマフ、手袋をつけてやってきた。
猫の国の民たちは王さまを温めようと、代わる代わるにハグをしていた。
門の前には、みんなが乗れるサイズのソリが置かれていた。
王様は、それにねずみたちを乗せて、連れて帰るつもりだった。
🐾
「ねずみさん、ここはさむいね」
なんて寒いんだろ。
猫の国にはずっとぽかぽかなのにな。
ほんとうにびっくりしちゃったよ。
早くねずみさんたちを助けなきゃ。
すてきなソリはびゅーんと早いよ。
「みんな出てきて、うちの国に住んでいいよ!」
あっ、ねずみさんが出てきてくれた。
やっぱりかわいい。
とーっても小さいんだ。
よちよち動くのがすごく素敵。
「寒いよね、穴なんて、もういらないよ」
なーんにもない穴のなかは、すごく寒いだろうな。
「出てきて、ハグしよう。あったかいよ」
ぼくの自慢のコートの中に入れてあげる。
ねずみさんたちは小さいから。
みーんな入れるよね。
🐾
王様は、門の前で待っていた。
ねずみたちは、穴の奥でじっとしていた。
雪がちらちらと降り始めていた。
王様のコートには、白い粒が積もっていた。
一匹のねずみが、王様の前に立ちはだかった。
その子は、体をふるわせながらも、まっすぐ王様を見ていた。
ʢ•·̫•ʡ
「私たちはいきません!いきません!」
私たちは、王様を嫌いじゃありません。
嫌いじゃないけど、こわいです。
暖かい猫の国にも憧れます。
でも、そこは私たちの国じゃない。
だから、私たちは穴の中でぎゅっとします。
それなら、だいじょうぶなんです。
私たちは、この穴でみんなで暮らします。
暮らしているんです。
私たちのしあわせは、ここにあるんです。
ʢ•·̫•ʡ
王様は、贈り物のソリをそっと引き上げた。
ソリの上には、誰も乗っていなかった。
門の前には、何も残っていなかった。
🐾
「ゴマみたいな鼻だったな」
ぼくは心のなかがむずむずしてた。
ぽかぽかな猫の国にきてほしかったから。
すごくいいところなんだよ、猫の国って。
あったかくて、楽しくて、ご飯がおいしい。
ねずみさんたちの声を初めてきいたんだ。
ちゅうちゅうなくの以外にね。
🐾
部下たちは、王さまの言葉にうなずいて、口々にねずみたちの悪口を言い始めた。
「そーだそーだ、黒ゴマです」
「ちんちくりんでしたね」
王様はもう何も言わなかった。
黙って、空を見ていた。
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