25回目のごめんね

蜜花

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七話目 ハグと涎と誤解

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🐾  
 ぼくね、考えてみたんだ。  
 仲良くなるにはどうしたらいいかって。  

 みんなに聞いたらね、ハグがいいよだって。  
 ぼくもハグが大好き。毛づくろいも大好き。  

 ぜったい、ねずみさんたちにしてあげたいな。  
 ぎゅーって抱き合ったら胸がポカポカするんだよ。  

 みんなとしてみたらね、すごくうれしくなったんだ。  
🐾  

ʢ•·̫•ʡ  
 私たちはこわかった。こわかったんです。  
 王様の目が、キラキラして。  
 光ってとても、こわかったんです。  

 王様は私たちが動くと、うれしそうにします。  
 「かわいい」と言ってくれます。  
 言ってくれるけど、足がすくみました。  
ʢ•·̫•ʡ  

 王様は門の前に立っていた。  
 しっぽをピンと立てて、両手を広げていた。  
 「ねずみさんたち、だいすき!」と叫んでいた。  

 「ハグをしよう!ぼくにぎゅーされたい子は?」  

 何匹かのねずみが、すこしだけ前に出た。  
 王様はうれしそうに、しっぽをパタパタ動かした。  
 ねずみたちは体を寄せあい、ヒソヒソと話していた。  

 その動きに、王様の目がぴたりと反応した。  
 ちょこちょこした動きを追いかけるその目は、まるで狩りのようだった。  
 王様は気づいていなかった。  

 ねずみたちがなかなか門から出てこないので、王様は叫んだ。  
 「今日はハグのお届けだよ!こっちにきて!」  

 前に出ていたねずみたちも、王様の顔をよく見ると、一目散に逃げていった。  

ʢ•·̫•ʡ  
 ハグなら……と思いました。  
 私たちは前に出たんです、ハグのために。  
 王様は贈り物をくれます。  
 運んでくれて、好きだと言ってくれます。  
 だから私たちも好きになれると思いました。  

 でも、王様の口から涎が垂れていました。  
 垂れているのを見てしまいました。  
 見てしまったら、もうできませんでした。  

 逃げました。逃げるしかなかったんです。  

 王様は笑っていました。  
 ニコニコして、腕を広げていました。  
 でも、涎が光っていました。  
 光って、揺れて、落ちていました。  
 落ちて、土にしみていました。  
ʢ•·̫•ʡ  

 王様は、自分の口から垂れた涎に気づいていなかった。  
 ねずみたちは、穴の奥へ逃げていった。  
 「どうしたの?こっちにきて」という声が、背中に届いた。  
 でも、誰も振り返らなかった。  
 王様は、両手を広げたまま立ち尽くしていた。  

🐾  
 ねずみさんはハグが苦手……?  
 ぼくの毛並みはあったかすぎるかな。  
 もう少し寒くなったら、してあげよう。  
 ぎゅっとしたら安心するはず。  
 それに、ぼくのハグは、ぜんぜん痛くないよ。  
 ぎゅってしても、つぶれないようにするからね。  
🐾  

 王様は、門の前にしばらく立っていた。  
 ねずみたちは、穴の奥でじっとしていた。  
 声はもう聞こえなかった。  
 でも、王様がまだそこにいる気がして、動けなかった。  
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