7 / 10
7
七話目 ハグと涎と誤解
しおりを挟む
🐾
ぼくね、考えてみたんだ。
仲良くなるにはどうしたらいいかって。
みんなに聞いたらね、ハグがいいよだって。
ぼくもハグが大好き。毛づくろいも大好き。
ぜったい、ねずみさんたちにしてあげたいな。
ぎゅーって抱き合ったら胸がポカポカするんだよ。
みんなとしてみたらね、すごくうれしくなったんだ。
🐾
ʢ•·̫•ʡ
私たちはこわかった。こわかったんです。
王様の目が、キラキラして。
光ってとても、こわかったんです。
王様は私たちが動くと、うれしそうにします。
「かわいい」と言ってくれます。
言ってくれるけど、足がすくみました。
ʢ•·̫•ʡ
王様は門の前に立っていた。
しっぽをピンと立てて、両手を広げていた。
「ねずみさんたち、だいすき!」と叫んでいた。
「ハグをしよう!ぼくにぎゅーされたい子は?」
何匹かのねずみが、すこしだけ前に出た。
王様はうれしそうに、しっぽをパタパタ動かした。
ねずみたちは体を寄せあい、ヒソヒソと話していた。
その動きに、王様の目がぴたりと反応した。
ちょこちょこした動きを追いかけるその目は、まるで狩りのようだった。
王様は気づいていなかった。
ねずみたちがなかなか門から出てこないので、王様は叫んだ。
「今日はハグのお届けだよ!こっちにきて!」
前に出ていたねずみたちも、王様の顔をよく見ると、一目散に逃げていった。
ʢ•·̫•ʡ
ハグなら……と思いました。
私たちは前に出たんです、ハグのために。
王様は贈り物をくれます。
運んでくれて、好きだと言ってくれます。
だから私たちも好きになれると思いました。
でも、王様の口から涎が垂れていました。
垂れているのを見てしまいました。
見てしまったら、もうできませんでした。
逃げました。逃げるしかなかったんです。
王様は笑っていました。
ニコニコして、腕を広げていました。
でも、涎が光っていました。
光って、揺れて、落ちていました。
落ちて、土にしみていました。
ʢ•·̫•ʡ
王様は、自分の口から垂れた涎に気づいていなかった。
ねずみたちは、穴の奥へ逃げていった。
「どうしたの?こっちにきて」という声が、背中に届いた。
でも、誰も振り返らなかった。
王様は、両手を広げたまま立ち尽くしていた。
🐾
ねずみさんはハグが苦手……?
ぼくの毛並みはあったかすぎるかな。
もう少し寒くなったら、してあげよう。
ぎゅっとしたら安心するはず。
それに、ぼくのハグは、ぜんぜん痛くないよ。
ぎゅってしても、つぶれないようにするからね。
🐾
王様は、門の前にしばらく立っていた。
ねずみたちは、穴の奥でじっとしていた。
声はもう聞こえなかった。
でも、王様がまだそこにいる気がして、動けなかった。
ぼくね、考えてみたんだ。
仲良くなるにはどうしたらいいかって。
みんなに聞いたらね、ハグがいいよだって。
ぼくもハグが大好き。毛づくろいも大好き。
ぜったい、ねずみさんたちにしてあげたいな。
ぎゅーって抱き合ったら胸がポカポカするんだよ。
みんなとしてみたらね、すごくうれしくなったんだ。
🐾
ʢ•·̫•ʡ
私たちはこわかった。こわかったんです。
王様の目が、キラキラして。
光ってとても、こわかったんです。
王様は私たちが動くと、うれしそうにします。
「かわいい」と言ってくれます。
言ってくれるけど、足がすくみました。
ʢ•·̫•ʡ
王様は門の前に立っていた。
しっぽをピンと立てて、両手を広げていた。
「ねずみさんたち、だいすき!」と叫んでいた。
「ハグをしよう!ぼくにぎゅーされたい子は?」
何匹かのねずみが、すこしだけ前に出た。
王様はうれしそうに、しっぽをパタパタ動かした。
ねずみたちは体を寄せあい、ヒソヒソと話していた。
その動きに、王様の目がぴたりと反応した。
ちょこちょこした動きを追いかけるその目は、まるで狩りのようだった。
王様は気づいていなかった。
ねずみたちがなかなか門から出てこないので、王様は叫んだ。
「今日はハグのお届けだよ!こっちにきて!」
前に出ていたねずみたちも、王様の顔をよく見ると、一目散に逃げていった。
ʢ•·̫•ʡ
ハグなら……と思いました。
私たちは前に出たんです、ハグのために。
王様は贈り物をくれます。
運んでくれて、好きだと言ってくれます。
だから私たちも好きになれると思いました。
でも、王様の口から涎が垂れていました。
垂れているのを見てしまいました。
見てしまったら、もうできませんでした。
逃げました。逃げるしかなかったんです。
王様は笑っていました。
ニコニコして、腕を広げていました。
でも、涎が光っていました。
光って、揺れて、落ちていました。
落ちて、土にしみていました。
ʢ•·̫•ʡ
王様は、自分の口から垂れた涎に気づいていなかった。
ねずみたちは、穴の奥へ逃げていった。
「どうしたの?こっちにきて」という声が、背中に届いた。
でも、誰も振り返らなかった。
王様は、両手を広げたまま立ち尽くしていた。
🐾
ねずみさんはハグが苦手……?
ぼくの毛並みはあったかすぎるかな。
もう少し寒くなったら、してあげよう。
ぎゅっとしたら安心するはず。
それに、ぼくのハグは、ぜんぜん痛くないよ。
ぎゅってしても、つぶれないようにするからね。
🐾
王様は、門の前にしばらく立っていた。
ねずみたちは、穴の奥でじっとしていた。
声はもう聞こえなかった。
でも、王様がまだそこにいる気がして、動けなかった。
0
あなたにおすすめの小説
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
ローズお姉さまのドレス
有沢真尋
児童書・童話
*「第3回きずな児童書大賞」エントリー中です*
最近のルイーゼは少しおかしい。
いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。
話し方もお姉さまそっくり。
わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。
表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成
そうして、女の子は人形へ戻ってしまいました。
桗梛葉 (たなは)
児童書・童話
神様がある日人形を作りました。
それは女の子の人形で、あまりに上手にできていたので神様はその人形に命を与える事にしました。
でも笑わないその子はやっぱりお人形だと言われました。
そこで神様は心に1つの袋をあげたのです。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる