25回目のごめんね

蜜花

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六話目 王冠の中のねずみ

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🐾  
 ねずみさんたちは、音が苦手だったみたい。  
 たぶんね、たぶんそうだと思う。  
 あぁ、お歌を聞かせたかったなぁ。  

 しょうがないよね、でもね今度はすごいよ。  
 絶対そうだとわかるんだ。  
 だって、ぼくの王冠はすっごくいいよ!  
 きらきらしてて、かっこいいんだもん。  

 金色で、先っぽに宝石がついてるんだよ。  
 ぼくに似合うよって、みんなが選んでくれたの。  

 もらったのはずっと前なんだけどね。  
 ぼくが猫又になったときだよ。  
 猫の国の王さまになって、みんながくれた。  
 「とてもりっぱです!」ってほめてくれる。  

 それから、みんなが毎日ピカピカにみがいてるよ。  
 今日はぼくがみがいたんだ。  
 しっぽでくるくるこすってね。  
 ほら、ぴかぴかでしょう?  

 ねずみさんたちにも、かぶせてあげたいな。  
 そしたら、きっと仲良くなれるよね。  
 王冠をかぶったねずみさん、ぜったいかわいいよ!  
🐾

 王様は、きれいになった王冠を門の前にそっと置いた。  
 「これ、かぶってみて!」と声をかけながら、しっぽをピンと立てて、先をぴょんぴょん揺らした。  
 王冠は陽の光を受けて、きらきらと輝いていた。

 ねずみたちは、穴の奥からそっとのぞいた。  
 ひとりのねずみが、勇気を出して門の前まで出てきた。  
 王様はうれしそうに王冠を持ち上げた。 
 
 「かぶせてあげる!」

 けれど、王冠はねずみの体よりずっと大きくて、すっぽり中に入ってしまった。
  
 「わぁ、入っちゃった!」と王様は笑った。  
 しっぽをパタパタさせて、何度も王冠を覗き込んだ。  
 王様は、ねずみの顔をのぞきこみながら言った。  
 
「ねずみさん、どう? かっこいい?」

 ねずみは王冠の中でじっとしていた。  
 王冠のふちの宝石が、ねずみの動きをさえぎっていた。  
 登ろうとしても、つるつるして足がすべっていた。  
 ねずみは鼻をひくひくさせて、動かなかった。  

 王様は、しっぽを揺らしながら待ち続けた。

 しばらくして、ねずみは土を掘って王冠から出てきた。  
 ねずみは一度だけ振り返ったが、何も言わずに穴の奥へ戻っていった。  
 王様は、しっぽを止めて、その背中をじっと見送った。

 王冠は、門の前に残されたままだった。  
 誰も動かさず、誰も壊さなかった。  
 風が吹いて、王冠の中に小さな葉っぱがひとつ落ちた。

 王様は、静かに座った。  
 目をぱちぱちさせて、王冠を見つめていた。  

🐾  
 王冠ってすごくいいよね?  
 だから、持ってきたんだけどな……。  
 みんなは、ダメだよって言ったけど。  
 ねずみさんたちにかぶせてあげたくて。  
 ううん、まぁいいや!  
 次はもっとすてきなのにしよう。
🐾
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