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なんで俺!?
しおりを挟む「初めまして、佐々木 慶太って言います。仲良くしてくれるとうれしいな、よろしくね?」
そいつが転校してきたのは高2の二学期が始まってすぐの頃だった。
最初は、うわぁ、イケメンだ~とか思いながらも普通にクラスメイトとして仲良くしようと思っていた。
だけど、しばらくして慶太の周りに学校の美少女たちがうろつくようにってきて俺は、もしかしてって思った。
はたして予想は正しかった。
慶太はリアルハーレム野郎だった。
俺が最も嫌うタイプのやつだった。
しかも美少女たちからの下心をただの友情や親切と勘違いしてるニブチンときた。
慶太がこの学校に転校してきてまだ2週間ちょい。
そのうち俺が慶太と仲良くしていたのはまだ1週間にも満たない。
まだ間に合う。
俺は慶太から離れることにした。
目標はたまに話すクラスメイトその1だ。
そして、さらに1週間、俺はいまだに友人ポジションにいた。
いや、ちょっと親友認定されかけているかもしれない。
ペアを組むときなんか絶対俺のところに来るもん。
そんなことを友人の田中に話したら笑われた。
「ドンマイ、お前不器用なんだからもう諦めて親友になってやれよ」
ひどいやつだ。
田中の鞄に入ってるお菓子は粉砕してやろうと思う。
そんなわけでアドバイスはもらえないとわかった俺はもう極端に慶太を避けることにした。
ペアを組む必要がある時は隣の席の江島君という眼鏡男子と組むようにしたし、昼食は弁当を持って人が少ない図書館にダッシュで行った。
そうして避け続けること数日後のある日の放課後、俺がスクールバックにノートを詰めていると慶太が話しかけてきた。
珍しくハーレムメンバーが一人もいなかったから大丈夫かと思って応じたことを俺はすぐに後悔することになる。
「好きなんだ!祐希のことが!」
ちなみに俺の名前は山内 祐希。
学校におんなじ名前のやつは居なかったと思う。
いや、もしかしたら俺が知らないだけかもしれない。希望を捨てるな俺。
「転校してきた俺に騒がず普通に話してきてくれた祐希が好きだ。なのに、最近避けられているような気がして……」
いや、うん。鈍感ハーレム野郎と友人なんて苦労しかしねぇと思うんだ。
もう、そっとしておいてくれよ。
なにをどう変換したら俺に懸想するわけ。
「お、俺、自分でもなんで男って思うけど、それでも好きになったんだ!なあ、今すぐとは言わないからチャンスをくれないか?」
チャンスもくそもねぇよ。やめてくれ。
注目されてるのがわからないのかよ。
頬染めてもイケメンだけど俺には通用しないからな?
だって俺には、
「よぉ、ユキィ。面白いことになってんじゃねぇか。」
慶太よりもイケメンな彼氏がいるから。
「伊月、見てたのかよ、」
「まぁな、面白ぇから野次馬してたんだよぉ。
で?健気な青少年の告白にはなんて答えるんだぁ?」
ニヤニヤしながら聞いてくる目の前の男は俺が入学してしばらく経った頃に付き合い始めた一つ年上の
鏑木 伊月。
身長が多分180センチ以上はあって腹筋もすごい男だ。
慶太が王道イケメンとすると伊月はラスボス級の美形といったところだ。
でも美少女たちは伊月には群がろうとしない。
多分野生の本能と言われても納得するんじゃないだろうか。
迂闊に近付けば捕食される。
「な、あんた誰だよ!」
忘れてた、というかやめろ慶太。まだ死にたくないだろう。
「あぁ?そうだなぁ、俺は…ユキィお前が紹介しろよぉ。出来るだろう?」
あれ?ちょっと怒ってる。なんで?
ニヤニヤしてるけど目があまり笑ってない。
もしかして…………嫉妬か?
ヤバイ。にやけるな俺の顔。
「ヴヴン、えーっと、まず慶太、お前の告白には答えられない。別に男同士が無理とかじゃなくてだな。なんだ、その、俺がこの男、伊月と付き合っているんだ。」
「そんな!あっ、そうか!脅されてるんだよな?
でないと祐希が男と付き合うなんてあり得ないし!」
現実を受け止めてくれ慶太。
確かに肉食獣みたいな伊月を見たら脅されてると思うかもしれないが。
だけど、悔しいことに俺は伊月が好きなんだよ。
なんてこっぱずかしいことが言える訳がなく、どうやったら諦めてもらえるか考えていたら、
「あぁ?めんどくさすぎるなぁ、お前。俺が実際に脅していたとしてもユキはこんなことさせねぇよ。」
そう言って伊月は急に俺の腕を引いて濃厚なキスを仕掛けて来た。
「ン!?ゃっ、めぇ、ンンーー!」
唇が離れた頃には体の力が抜けていた俺は伊月に片腕で抱えあげられた。
息を整えながらチラリと慶太を見ると顔を真っ赤にして固まっていた。
伊月は慶太が再起動する前にさっさと俺と俺のスクールバックを持ってスタスタと帰っていった。
教室に残ったのは顔を赤くしたり青くしたりと忙しい野次馬たちといまだに停止している慶太。
教室の中の気まずい空気は慶太のハーレムメンバーが慶太を呼びに来るまで続いていた。と後日、隣の席の江島君に聞かされた。
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