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男の子?の雨月はイチャイチャしたがる
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一通り楽しんで満足したのか、不意に渡辺さんがキョロキョロし出した。
「そう言えば……さっき来た時も思ったんだけど、俺の『うーちゃん』は何処?」
ニコニコ顔で聞いてくる渡辺さんは子猫の雨月に会いたくってそわそわしている。
「俺、今日も『うーちゃん』に会えるの、楽しみにしてたんだ!」
「だからいつもより仕事のスピード早かったのですね……。渡辺さんって本当に猫が大好きなんですね!」
「ははは……。まぁね!」
美樹ちゃんが納得したように呆れた表情を見せる。
渡辺さんは苦笑いで誤魔化していて。
子猫の雨月の話は今はちょっと困るんですけど……。
だって、子猫の雨月はおさない雨月だもん。
いる筈がないのよね……。
言えないけど。
渡辺さんって、『うーちゃん』ラブだから仕方ないんだけど、今のおさない雨月には禁句なんだって知らないもんね。
対抗意識?燃やしちゃってるんだから……
ピキッ
私はおさない雨月から怒りの音が聞こえた気がした。
おさない雨月は頭を下にして震えているよう。
あ、ダメだわ。
私は渡辺さんの問いに答えるのを放棄して、おさない雨月の顔を心配になって覗き込んだ。
ちっちゃなお目目に涙をいっぱいためてはポロポロ滴が私の胸に落ちていく。
感極まったおさない雨月は大泣きし出した。
「びえぇええええん!わーちゃもちらい!みんなみんなちらい!なーちゃぁあ!なーちゃあああ!びえぇええええーーーん!」
「雨月ぅ、泣かないで。ね、機嫌直して……。私は雨月が大好きだからね!」
「なあちゃーーー!」
……どうして私じゃないの?
夏川上司の方が好きっていうの?
……雨月、納得できないんだけど。
ずーっと何も言わずにこの光景を見ていた陽愛さんが困った顔をしながら鞄の中からスマホを取り出して何処かへ連絡しているみたい。
それから何分もしないうちにいきなりドアが開かれた。
もちろん、夏川上司である。
おさない雨月が私の膝から飛び降りて、必死になりながら夏川上司の元へ歩いていく。
本人は走ろうとしているみたいだけどまだ小さいからだなので動きだってヨチヨチ気味。それでも一生懸命夏川上司のところに行きたいのが痛いほどわかっちゃう。
「な、なぁちゃぁあああ!」
夏川上司の側まで来たおさない雨月を両手で持ち上げ、自分の左腕に座らせた。おさない雨月は夏川上司の頭に抱きついててそこから離れる気はないとでも態度で示している。
夏川上司は回りを見渡して事の状況を把握しようとしていた。
陽愛さんが夏川上司と目を合わせて肩を竦めて見せた。
何を思ったのか、渡辺さんが言葉を滑らす。
「わ、やっぱり課長の隠し……イテッ!」
渡辺さんの頭に拳骨が落ちる。
「夏川課長とおこちゃまって、似合いますぅ!い、いたぁい!」
美樹ちゃんにも否応なく拳骨が落ちる。
「君も欲しいかい?」
夏川上司は残りの一人の柴田君に聞くと柴田君は頭と両手を振って断りを見せた。
「昼の休憩はもう終わったのかな?食事を取らずに仕事に戻ってもらっても構わないのだが」
「あ、行きます行きます!」
「急がなきゃ!もうそんなに時間がない……」
「あ、失礼しました!」
三人は疾風のごとく第三会議室から去っていった。
それを側でじーっと見ていたおさない雨月は満面の笑みだ。
「なーちゃ、ちゅきぃ!あーとー!」
「機嫌が直ったかい?ちっちゃな王子さま」
「はいなのぉ!」
いいお返事が聞けました。
私としてはこの光景は、羨ましいというか、自分の不甲斐なさを身に染みて感じるというか。
……ちょっと悔しいと思っているのは、内緒です。
「そう言えば……さっき来た時も思ったんだけど、俺の『うーちゃん』は何処?」
ニコニコ顔で聞いてくる渡辺さんは子猫の雨月に会いたくってそわそわしている。
「俺、今日も『うーちゃん』に会えるの、楽しみにしてたんだ!」
「だからいつもより仕事のスピード早かったのですね……。渡辺さんって本当に猫が大好きなんですね!」
「ははは……。まぁね!」
美樹ちゃんが納得したように呆れた表情を見せる。
渡辺さんは苦笑いで誤魔化していて。
子猫の雨月の話は今はちょっと困るんですけど……。
だって、子猫の雨月はおさない雨月だもん。
いる筈がないのよね……。
言えないけど。
渡辺さんって、『うーちゃん』ラブだから仕方ないんだけど、今のおさない雨月には禁句なんだって知らないもんね。
対抗意識?燃やしちゃってるんだから……
ピキッ
私はおさない雨月から怒りの音が聞こえた気がした。
おさない雨月は頭を下にして震えているよう。
あ、ダメだわ。
私は渡辺さんの問いに答えるのを放棄して、おさない雨月の顔を心配になって覗き込んだ。
ちっちゃなお目目に涙をいっぱいためてはポロポロ滴が私の胸に落ちていく。
感極まったおさない雨月は大泣きし出した。
「びえぇええええん!わーちゃもちらい!みんなみんなちらい!なーちゃぁあ!なーちゃあああ!びえぇええええーーーん!」
「雨月ぅ、泣かないで。ね、機嫌直して……。私は雨月が大好きだからね!」
「なあちゃーーー!」
……どうして私じゃないの?
夏川上司の方が好きっていうの?
……雨月、納得できないんだけど。
ずーっと何も言わずにこの光景を見ていた陽愛さんが困った顔をしながら鞄の中からスマホを取り出して何処かへ連絡しているみたい。
それから何分もしないうちにいきなりドアが開かれた。
もちろん、夏川上司である。
おさない雨月が私の膝から飛び降りて、必死になりながら夏川上司の元へ歩いていく。
本人は走ろうとしているみたいだけどまだ小さいからだなので動きだってヨチヨチ気味。それでも一生懸命夏川上司のところに行きたいのが痛いほどわかっちゃう。
「な、なぁちゃぁあああ!」
夏川上司の側まで来たおさない雨月を両手で持ち上げ、自分の左腕に座らせた。おさない雨月は夏川上司の頭に抱きついててそこから離れる気はないとでも態度で示している。
夏川上司は回りを見渡して事の状況を把握しようとしていた。
陽愛さんが夏川上司と目を合わせて肩を竦めて見せた。
何を思ったのか、渡辺さんが言葉を滑らす。
「わ、やっぱり課長の隠し……イテッ!」
渡辺さんの頭に拳骨が落ちる。
「夏川課長とおこちゃまって、似合いますぅ!い、いたぁい!」
美樹ちゃんにも否応なく拳骨が落ちる。
「君も欲しいかい?」
夏川上司は残りの一人の柴田君に聞くと柴田君は頭と両手を振って断りを見せた。
「昼の休憩はもう終わったのかな?食事を取らずに仕事に戻ってもらっても構わないのだが」
「あ、行きます行きます!」
「急がなきゃ!もうそんなに時間がない……」
「あ、失礼しました!」
三人は疾風のごとく第三会議室から去っていった。
それを側でじーっと見ていたおさない雨月は満面の笑みだ。
「なーちゃ、ちゅきぃ!あーとー!」
「機嫌が直ったかい?ちっちゃな王子さま」
「はいなのぉ!」
いいお返事が聞けました。
私としてはこの光景は、羨ましいというか、自分の不甲斐なさを身に染みて感じるというか。
……ちょっと悔しいと思っているのは、内緒です。
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