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舞台1ー46

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 ザワザワザワザワ……

 客席の空気が少しずつ変わっていくのを肌で感じる。
 無理もない。

 客達が伊久の異変に気がついたらしく、客席がざわめき始めたのだ。

 それもこれも、俺が不用意に大声を出して佐良に流さんを呼びに行かせたのだから……

 これは俺の失態だ。

 舞台の失態は舞台で返す。

 伊久の肌襦袢を三枚用意した。
 何があっても三枚提供しなければいけないのだ。

 伊久がどうであろうと……
 このあと、どんな状態に陥ったとしても……

 すべての責務は俺がとらねばならない。

 そうなってもいい……

 すべてが終わってからのことだ。

 伊久、悪いが最後まで付き合ってもらうぞ。
 舞台中だけは……な。

 俺は玄に伝えた。

『伊久はもう自分でからだを支えられない。玄のからだでそのまま受け止めろ。左手の持ってる伊久の着物で必ず伊久を隠しきるんだ。出来るか?』

『は、はい!』

『一気にやるから着いてこい!』

『はい!』

 俺は決心してから大きく息を吐いた。

  
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