見世物小屋の少年たち【R18】

幕間２ー６

　那智がオークション用の着替えに行き、私は舞台で那智の肌襦袢のオークションを行った。

　演舞の肌襦袢は一両以下で競り落とされる。
　それでも銀子くらいの値がつく。
　今回はアクシデントがあった為、急遽チン拓なるものを作ってみせた。
　それがあまりの大好評でオークションで舞台子を頂戴する客は肌襦袢を買わないという暗黙のルールを破って御簾部屋の客が五両で落札したのだ。　

　勝手した那智に責はある。
　那智は那智で舞台子たちのことを思う、オオトリに育ったということを素直に喜べばいいのかもしれない。

　那智……お前は本当によくやってくれている。

　伊久の舞台で何があったのかは知らぬが、目玉の舞台子がオークションに出ないとなると荒れることは必須の筈。

　それをわかってて無茶なことをしたのだろう。

　かわいい那智。
　好いてくれてるのはわかってる。

　でもね……。
　私がずっと想い続けてるのは……正、お前だよ。

　二度と想いは叶うことはないけど。

　私のカラダは誰にも云えぬお方のもの。
　此処に来た時からそれは決まっていたこと。

　正が着替えを終えて私の方へ一歩一歩近づいてくる。
　気に入らないようなプイッと顔を背けながらも目は私を見ている。

　ひとときだけ……正とひとつにになれた。
　それだけでいい。

　心もカラダも正を全部覚えてる。
　それさえあれば棘であろうが歩いていける。
　それがたった一人だとしても……。

「正、行きますよ。舞台へ……お客たちが待ってます」

　正に手を差し出し、その上に正が手を乗せる。
　私たちは舞台へ上がった。

　最後の演舞をするために……。