2 / 2
〜何度生まれ変わっても貴女を愛する〜
しおりを挟む物心着いた時にはもう彼女は隣にいた。ふとした仕草にデジャブを感じる事がある。前世…というものだろうか。ロゼッタは小さい頃はとてもお転婆で淑女教育をよく嫌がっていた。歳を重ねる事に美しく立派な淑女になっていった彼女は、もうデジャブを感じない。前世の記憶にある女性とは別なのだと感じる事が多くなっていった。
「アル様、薔薇の花言葉を知っておりますか?」
「…バラ…??」
「申し訳ありません、ローズ…ですわ」
「いや、知らない」
「そうですか…」
幼い頃、庭園で交流をしていた時にふられた言葉。
薔薇。日本人にしか分からない言葉。
薔薇はこの世界ではローズと呼ばれ、薔薇という言葉は存在しない。まさか、本当は彼女には…?
その日、夢を見た。
ロゼッタに感じていた懐かしく感じる女性が微笑む。
あぁ“彼女”だ。前世での最愛の妻。
不器用であまり構いもせずにいた俺を愛してくれていた妻。
自分の好きな事ばかりする俺をいつもニコニコと隣にいた彼女だ。
そうか、ロゼッタが“彼女”だったのか。
それから、俺はロゼッタに伝えようと思うがなかなか伝えれなく貴族学園もあと二年半で終わるという時にあることを思いついた。
「ロータス、ロゼッタ宛に毎日ローズを1本贈ってくれ」
「ローズですか、ロゼッタ様も喜びになりますね」
「そうだと、いいのだがな」
学園ではアイビー・カストが殿下たちの周りを彷徨いている。なにか企みがあるのかと思い、学園では婚約者から離れ監視を目的として傍に来ても追い払わなかった。殿下達も婚約者へ説明をし、学園ではなく互いの家で会うようにしているそうだ。
俺は反勢力の調査でロゼッタに会う時間はなかったが、あいつなら分かってくれていると思っていた。
卒業間近にやっと、反勢力をまとめあげる事に成功した。そしてカスト家はアイビー・カストのことがあり唯一表立って処分をされた。
前世から俺は自分のこの気持ちをきちんと伝えた事はなかった。“彼女”は花言葉が好きだった。108本の薔薇を携えてロゼッタを訪問し、求婚する。
嫌っていると思われていたなんて…、そして泣かれるとは思わなかった。
なぁ“ーー”
俺はあの時からずっとお前の事を愛していた。
お前は不器用でなかなか愛情表現出来ない俺をそれでも愛してくれていた。
生まれ変わって、またこうして夫婦になれるとは思わなかった。また愛し愛されるとは思わなかった。こんな俺でも本当にいいのか?
「アル様、お待たせ致しました」
もっとちゃんと愛してくれる奴はいると思うが、俺は前世の頃からもう手放せない。お前のその笑顔があるだけで俺は幸せなんだと実感する。
「ロゼ」
「はい」
昔も今も、そしてこれからも
俺を愛してくれるのは
お前を愛せるのは
ーー999本の薔薇の花言葉を知っているか?
0
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
あなたは愛を誓えますか?
縁 遊
恋愛
婚約者と結婚する未来を疑ったことなんて今まで無かった。
だけど、結婚式当日まで私と会話しようとしない婚約者に神様の前で愛は誓えないと思ってしまったのです。
皆さんはこんな感じでも結婚されているんでしょうか?
でも、実は婚約者にも愛を囁けない理由があったのです。
これはすれ違い愛の物語です。
私は彼に選ばれなかった令嬢。なら、自分の思う通りに生きますわ
みゅー
恋愛
私の名前はアレクサンドラ・デュカス。
婚約者の座は得たのに、愛されたのは別の令嬢。社交界の噂に翻弄され、命の危険にさらされ絶望の淵で私は前世の記憶を思い出した。
これは、誰かに決められた物語。ならば私は、自分の手で運命を変える。
愛も権力も裏切りも、すべて巻き込み、私は私の道を生きてみせる。
毎日20時30分に投稿
(本編完結)大好きな人たちのために私ができること
水無月あん
恋愛
6月18日、本編完結しました。番外編更新中です。ドルトン公爵家の一人娘、アンジェリン。特異な体質のため、突然たおれることがある。そのため、屋敷にひきこもる日々を過ごしていた。そんな私を支えてくれるのは大好きな婚約者のアーノルドと遠縁のメアリー姉様。でもふたりの噂を耳にして……。いつもながら、ゆるい設定のお話なので、気楽に読んでいただければ幸いです。
あなたへの恋心を消し去りました
鍋
恋愛
私には両親に決められた素敵な婚約者がいる。
私は彼のことが大好き。少し顔を見るだけで幸せな気持ちになる。
だけど、彼には私の気持ちが重いみたい。
今、彼には憧れの人がいる。その人は大人びた雰囲気をもつ二つ上の先輩。
彼は心は自由でいたい言っていた。
その女性と話す時、私には見せない楽しそうな笑顔を向ける貴方を見て、胸が張り裂けそうになる。
友人たちは言う。お互いに干渉しない割り切った夫婦のほうが気が楽だって……。
だから私は彼が自由になれるように、魔女にこの激しい気持ちを封印してもらったの。
※このお話はハッピーエンドではありません。
※短いお話でサクサクと進めたいと思います。
【完】お望み通り婚約解消してあげたわ
さち姫
恋愛
婚約者から婚約解消を求められた。
愛する女性と出会ったから、だと言う。
そう、それなら喜んで婚約解消してあげるわ。
ゆるゆる設定です。3話完結で書き終わっています。
幼馴染み同士で婚約した私達は、何があっても結婚すると思っていた。
喜楽直人
恋愛
領地が隣の田舎貴族同士で爵位も釣り合うからと親が決めた婚約者レオン。
学園を卒業したら幼馴染みでもある彼と結婚するのだとローラは素直に受け入れていた。
しかし、ふたりで王都の学園に通うようになったある日、『王都に居られるのは学生の間だけだ。その間だけでも、お互い自由に、世界を広げておくべきだと思う』と距離を置かれてしまう。
挙句、学園内のパーティの席で、彼の隣にはローラではない令嬢が立ち、エスコートをする始末。
パーティの度に次々とエスコートする令嬢を替え、浮名を流すようになっていく婚約者に、ローラはひとり胸を痛める。
そうしてついに恐れていた事態が起きた。
レオンは、いつも同じ令嬢を連れて歩くようになったのだ。
離婚した彼女は死ぬことにした
はるかわ 美穂
恋愛
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる