公爵様、私は「ざまぁ」されましたので優雅な余生を過ごします。【連載版】

村井田ユージ

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アダムの恋煩い(後編)

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「あなた、私を誰だと思っているの?気安く声を掛けないで。」

 汚物でも見るような目で、レベッカ・ランドルフは俺に赤ワインを掛けた。

「えっ」

 一瞬何が起きたんだろうと、状況を理解出来なかった。
 父と母がこの日の為に用意した特別な衣装を、彼女は台無しにした。
 呆然として、動けないでいる。

「この男、図が高すぎよ。誰か跪かせて。」

 レベッカの冷徹な言葉に周りの男達が反応した。押さえつけられて、その場に膝をつく。
 彼女は何かを持って俺に近づく。手にしていたのはワインボトル。当たり前のように、俺の頭上で傾ける。
 冷たいワインが髪を伝い、顔を汚していく。
 どっと笑いが起きた。その光景を貴族達は大笑いで眺めている。
 

「見ろよあのザマ。
 レベッカ・ランドルフにダンスを申し込んでたぞ?」
「馬鹿な男、社交界のルールも知らないの?」
「あはは、無知は怖いわね。
 あのレベッカに声をかけるなんて。」 

 彼女は注ぎ終えると、俺に興味をなくし、どこかに行ってしまった。
 笑い声は収まらない。
 ワインで汚れた無様な俺を、貴族達は愉快そうに指差している。会場に響き渡る高笑いを背中で受けながら、俺はただ、うつむいて会場を去るしかなかった。

 これがアダム・チェンバースの最悪な社交界デビューの記憶。



 ──舞踏会の当日。
 母は、深く皺の刻まれた手で、慈しむように俺の髪を整える。
 俺は、高齢ゆえに子を諦めていたチェンバース夫妻のもとに、迎えられた養子だった。彼らは残された人生のすべてを注ぐように、俺を実の子として大切に育ててくれた。

「アダム、私はランドルフ家の遠縁なのよ。
 先にレベッカと言う子がデビュタントしたの。もう彼女は社交界の華と言われている。
 歳も近いし声を掛けてみたら?良い子なら踊って貰えるかもね。」

「へぇ、そうなんだ。
 わかった母さん、見かけたら声を掛けてみるよ。」

 舞踏会はファーガソン公爵の城で行われる。男の社交界デビューは特に形式的な事など無い。集まった貴族達の輪に入り、酒を飲み、ただ踊る。
 俺が参加した理由は、家紋にしがみつく馬鹿な貴族をターゲットにビジネスの話をしたかっただけ。
 でも、会場で一際輝いている存在の令嬢に心を奪われた。派手な化粧をしているが、会場の誰よりも美しくて可愛い子だった。
 もっと近くで、彼女を見たいと思った。

「おい、君。
 レベッカ・ランドルフにそれ以上近づいたら周りに睨まれるぞ。」

 同じく彼女の美貌に魅了された男の1人に注意をされた。

「レベッカ・ランドルフ、…え、あの子が…。 大丈夫だと思います。俺の母は彼女と遠縁なんで。」

 俺は胸を高鳴らせ、ちょっと退屈そうな顔をする彼女に話しかけた。
 そして、冒頭に戻りあのざまだ。
 社交界や貴族のルールすら知らない俺は、あの女のおかげで笑い者にされた。
 その日以降、社交界に参加する事は無かった。
 肩を落とし帰宅した姿を、母に見られてしまった。

「どうしたの?一体、何があったのアダム?」

「レベッカ・ランドルフと一曲踊ってもらおうと声を掛けたんだ。そしたら、急にワインを…」

「ああ、アダムごめんなさい。
 私がレベッカと踊ってみたらと言わなければ、こんな事には…」

 年老いた母はその場で泣き崩れてしまった。その時やっと、レベッカが憎いと思った。絶対にあの女を許してはならない。

 しばらく人前に出るのが怖かった。特に貴族の前だと足がすくむ。
 仕事を休み、数日部屋に引きこもる。
 ずっと暗い部屋で考えていた。
 大衆の前であんな酷い事をされたのに、見下した顔すら、全部が可愛かった。
 憎しみが湧くほどに、生意気なあの顔はどんなふうに笑うのか、鳴かせたらどんな表情をするのか──独りで、人には言えないことばかり妄想してしまう。
 俺は頭がおかしいのだろうか?

 本当は、ワインを俺の頭に傾けている間、ずっと君に見惚れていた。
 君の蔑んだ目に欲情していた。

 違う、違う、俺は変態なんかじゃない!
 全部お前のせいだ!
 レベッカ・ランドルフは、俺の心を惑わせた悪女だ。あの女は、俺に汚く歪んだ恋心を深く残した。

 レベッカの事を考えないように、引きこもるのはやめた。俺は仕事に没頭する。
 時が経ち、気持ちは落ち着いていた。
 しかし、忙しくしてもレベッカ・ランドルフに関する噂が耳に入る。
 あの女はダリル・レオ・ファーガソン公爵と婚約した。だが最近、公爵は違う女と一緒にいる。レベッカは捨てられるという内容の下世話な噂。

 あの日の嫌な記憶を思い出しながらも、興味本位で社交界に舞い戻る。
 噂は本当だった。
 目の前でファーガソン公爵はレベッカに婚約破棄を告げた。

 愚かなレベッカ、大衆の前で恥をかかされる気持ちはどうだ?

 俺は胸を高鳴らせ、大人になった美しい彼女を魅入る。そして、あの女の歪んだ顔を期待した。
 だが、レベッカ・ランドルフは予想もしない態度で立ち回る。
 俺は大衆に笑われながら惨めに会場を後にしたのに、あの女は何も気にせず凛とした姿勢で堂々と会場を去った。

 お前だけ狡いぞ、許さない!
 俺のレベッカは謝ったりなんかしない!
 全部、演技だ!

 君はなんて憎らしい女なんだ…。

 会場で大声で叫びたかった。
 だからと言って復讐したり、傷つけたい訳でもないんだ。
 ……どうしてか、初めて見るあの横顔が忘れられなかった。

 俺の心は何度でも君を求めてしまう。
 二度目の恋は、一度目よりもずっと、底知れない深淵へ俺を突き落とした。





 ◇



 
「レベッカ……君が…君の全てが好きだ…」

 ずっと思い出さないようにしていた記憶が、鮮明に蘇った。
 同時に、隠していた俺の汚い君への想いも蘇ってしまった。
 溢れ出てしまった感情は、もう隠すことが出来ない。

 意地悪な君も好き。
 凛とした君の横顔も好き。
 俺に優しく微笑んでくれた君も、ぜんぶ大好きだ。

 君の隣に俺の居場所なんてないのに、勝手に君を好きになって、勝手に独りで傷ついている。
 もう泣き疲れた。
 嵐の夜、俺は君を想いながら、そのまま眠った。

 次に目を開けると、朝だった──
 嵐はもう過ぎ去っている。
 こっそりと外を確認すると、家から公爵が出てきた。すぐに馬に乗ってどこかに行ってしまった。

「…公爵の馬は、俺が所有している厩舎の軍用馬だ。もう絶対に公爵家には売らないぞ」

 自分も納屋を出る。歩いて、ジンジャーが待機するスタッドファームに向かった。

「あ、アダム様!そのお姿はどうされたのですか?」

 ジンジャーは変わり果てた俺を見て驚いている。
 昨日の雨でまだ服は湿っていたし、全身ズタボロだった。酷すぎて、鏡で自分の姿を確認したくない。

「使えない使用人だな。早く俺の着替えを用意しろよ」

 ジンジャーは慌てて、主人の服を買いに行った。
 あいつが戻るまで、どうやってレベッカを公爵から引き離し、俺の妻にするか考えよう。
 見上げた空は澄み渡って綺麗なのに、俺の心は救いようのないほどドロドロで汚い欲望に染まっている。

「クソッ、──昨日のレベッカを思い出すと……また勃ちそうだ」




 ※




「……あの、アダム様。レベッカお嬢様のご様子はどうでしたか?」

 厩舎の施設でシャワーを浴び終えたアダムに、ジンジャーは恐る恐る聞いた。
 ギロッと睨まれて、思わず「ひぃ」と悲鳴が出た。

「レベッカがどんな様子だったのか、聞きたいのか、ジンジャー?」

 アダムは濡れた髪を拭きながら、意地悪に答えを焦らした。

「も、もちろんでございます!」

(ぐぬぬ…。公爵も大概だったけど、アダム様は他の使用人には猫かぶっているのに、俺にだけ素で、意地悪で当たりが強いんだよなぁ…)

 ジンジャーは必死に作り笑いを浮かべた。

「……あの糞公爵が現れた。
 それ以上は言いたくない。思い出すだけでブチギレそうだっ!」

「なっ!!公爵がっ…?!
 なぜ、あの男がお嬢様の家に…ぐぬぅうう…!」

 公爵を憎む表情を見て、仲間が身近にいてちょっと嬉しくなった。
  
「ジンジャー、お前は使用人なのにレベッカと仲が良かったよな。付き合いは長いのか?」

「一応、長年ランドルフ家に仕えております。ですが、お嬢様は我々を虫ケラ以下の扱いでして……。
 ですが、今のお嬢様は生まれ変わったように別人となり、私を人として扱い、名前まで呼んでくれます。
 そして、こんな私に、お嬢様はっ……ううっ……お嬢様~!」

 昔から非道な行いは使用人にも健在だったようだ。今のレベッカの優しさを思い出し、泣きそうになるジンジャー。
 既にランドルフ家から解雇され、ジンジャーは元使用人だ。それなのに、まだレベッカを心配し忠誠心を見せる。
 アダムは感傷に浸る彼を眺めて、思いついた。

「ジンジャー、今すぐ服を脱げ。」

「はいぃ?」

 突拍子もない命令に、溢れそうな涙が一瞬で引いた。

「俺と服を交換しろ。お前だけレベッカに優しくされて、ずるすぎる!今日から俺がレベッカ専属の使用人になる!」

「………。」

(新しいご主人様は、昨日の雷に打たれて頭でもおかしくなったのかなぁ。まだ若いのに、可哀想な人だ……)

 ジンジャーに心配されている事なんて知らないアダムは、早く服をよこせと、睨みつけて、強く命令する。

「ひぃいいい」

 その場で2人は服を交換した。

「いいか、ジンジャー。これは思いつきじゃない。しっかりとした計画がある。
 今日からお前はここを拠点として、俺の駒になれ。
 お互い、公爵からレベッカを守りたい想いは共通している。」

「わ、わかりました!あの男からお嬢様を守って下さるのなら、アダム様の手先でも何でもやります!」

「良い子だジンジャー。あと、お前はレベッカの前に現れるなよ。絶対姿を見せるな。」
 
「そ、そんなぁ~」

「悲しむなよ。俺とレベッカが結婚したら、またレベッカの使用人にしてやるからな」

 何度も聞かされる言葉。その度にジンジャーは顔を明るくさせ、アダムを応援する。

(浮気してお嬢様を捨てた公爵よりは、今のご主人様の方がましかな…一途だけど、少し性格に難ありなのが心配だが…)

「善は急げだ、即刻出発する。」

 アダムは馬車の用意を命じた。ジンジャーは心得たとばかりに手早く手綱を握った。
 2人は急いでレベッカの元へと向かった。
 しかし途中、馬車は速度を落とし止まってしまう。

「おい!どうしたジンジャー!?」

 苛立ちながらアダムはジンジャーを怒鳴った。

「わっ。えええーと、…道のどん真ん中に牛が……」

「はあっ?牛だと?!」

 もしやと思い、馬車から降りて確認する。本当に、道のどん真ん中にカウベルを付けた牛が居た。
 この辺りに、牛がいる牧場は見当たらない。ならばこの牛はレベッカが探していた〝牛さん〟なのかもしれない。

(この牛さんを連れて行ったら、レベッカは喜ぶよな?あんなに必死に探してたんだ、絶対に喜んで俺に感謝するに決まっている!それに、もう覚悟は決めたんだ)

 可愛いレベッカを思い出し、口元がにやけた。ゴホン、と咳払いして誤魔化す。

「お前は戻れ。
 ここからは歩いてレベッカの元へ行く」

「えええ?昨日の嵐で道がぬかるんでいますよ?それに距離もまだあるし、大丈夫ですか?」

 心配するジンジャーを無視して、アダムは何故か嬉しそうに牛を引いて歩き出した。

 アダムはレベッカの事になると冷静な判断が出来ない気がして心配になる。
 ジンジャーは言われた通り、厩舎へと引き返す。
 御者台で空を見上げた。

「『恋は盲目』とは言うけれど、大丈夫かなぁ~。ご主人様の恋の行方は前途多難そうだよ」

 



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