銀狼【R18】

弓月

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掲げた使命

掲げた使命_5

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「止まって!」


 青年たちに向けていた震える切っ先は

 ゆっくりと……彼女の首にあてがわれた。


「──…ッ」

「行かせてくれないと…この場で死ぬわよ」


 セレナの喉元で放たれた鋭利な輝きに、驚愕した二人は凍りついたように動きを止める。


「わたしは剣の素人だけど、自分の喉をかき切るぐらいはできるわ……」

「お、落ち着けってセレナ様……」

「早く退きなさい」

「……っ」

 セレナの異常な行動の、その迫力にただただ圧倒されるばかりだ。

「──…そこを退いて!」

 彼女に鋭く睨み付けられ二人は背筋に寒気を覚えた。

 何故なら彼女は決して冗談ではない……その覚悟がひしひしと伝わってくるからだ。


 無数のトゲで肌を刺されるように、はっきりと。


「今戻っても手遅れです!! きっとッ…あちらは戦場だ…っ…!! あ…危ないですよ!」

「──…それでも行くわ」

「…っ…何故ですか?」

「……」


 何故って、そんな

 正当な理由なんてない

 正しい答えなんて見つからない

 今の想いを口走ったら…誰もがわたしを侮蔑する



 けれど

 わたしは、" 彼 " のことを……!!




「二人はこのまま街に帰って」

 セレナはを持つ手に力を込める。

「絶対に……追って来ないで」

 固まった彼等を見据えたまま後ずさった。

 そして──

 ある程度の距離ができると、短剣を片手に背を向けて走り去った。

 セレナの目は揺れていない。その背中は迷い無かった。

 " 彼 " が居る場所を目指して──。







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