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平和の崩壊
しおりを挟む西暦2055年、とある国。
かつての平和大国は名ばかりのものと化していた。
世界大戦を終え占領国に押し付けられていた平和憲法は、40年前……解釈を変えるという形で、大きな舵を切ることとなった。
敗戦と同時に放棄した軍事力を、再び持つことが法律的に容認されたのだ。
それによってこの国が持つ高い技術力は軍事産業で大いに役立った。
国民の知らぬ所で、質の良い武器や研究は外国へ輸出され……政府の思惑の通り、国は経済的に徐々に潤ってゆく。
──しかしその反動が現れたのは、突然のことで。
軍事拠点のひとつとして見なされたのだ。
数十年前に開催された国際的スポーツの祭典
そこでの悲劇を皮切りに──
著名人、政界人を狙った犯罪の他、無差別テロが相次ぐ事態に陥る。
この国の安全神話は、あっけなく崩れ去った。
人々は国に助けを求めた。
しかしテロへの対処が未熟なこの国では、警察も役に立たなかった。
だから人々は国に頼らない方法を探した。
自分を命の危機から守ってくれる、何か……何か、他の方法を。
自分を、大切な人を
それを第一に考えて、常に守ってくれる存在を。
……そんな彼等がたどり着いたのが
そう、ボディーガードだった。
自分だけのガードマン。
金さえ払えば約束される忠誠心。
治安の乱れたこの国で、それは人々の希望となったのだった──。
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