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第2章~新たなる旅立ち~
第1話~押しかけ弟子!?アン・オーウェン~
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「まずは買い物に付き合ってもらってもいいかな?」
「はい。昨日言ってたお買い物ですね!」
俺はまずアイツらに持っていかれてしまった冒険の装備品を買いに行くことにした。先に薬草採集の残りを済ませてもよかったのだが、また昨日みたいに予期せぬ魔物と遭遇してヒーヒー言いながらここまで持って帰って来なければいけなくなるのは避けたかった。まあ滅多に無い事なので多分大丈夫だとは思うのだが。
野営に必要な寝具や罠、洞窟など暗い場所を探索する時に使用する灯火機、大きなものを運搬するためのダーシャなどを買い込む。
「ブレイドさん……」
「どうした?」
「さっきからあの人……」
「やっぱりそうか。でも何で付いて来てるんだ……?」
買い物をしている最中、ミリアにさっきから自分たちを尾行している人が居ると告げられる。俺も当然気がついてはいたのだが、特に何かをするわけでもなくただ付いて来ているだけで狙いが分からず困惑する他なかった。
その尾行している人の服装は身体がすっぽりと入る外套、頭巾か何かで顔もよく見えないので性別すら分からない。だがその姿が浮き過ぎて、周囲から不審者という目で見られているが気づいていないのだろうか。少なくともアレが隠密なら失格なのは間違いない。
「とりあえず町の外れまで行ってみよう。ここじゃ何かあったら他の人を巻き込んでしまう」
「そうですね……」
とりあえず相手の狙いが読めない事にはどうしようもないが、この辺りで騒ぎにでもなったら関係のない人間を巻き込んでしまう。俺とミリアは町の外れに行って相手の出方を窺うことにした。歩く速度を上げて相手を引き離そうとする。すると怪しい謎の頭巾人も速度を上げて付いて来るどころか距離を詰めてきている。
「ちょ、ちょっ待って……ください!」
自分の尾行に気づかれて引き離そうとされたことに気づいたのか、謎の頭巾人は遂には声を上げて俺たちを引き留めようとした。最初からそうしていればよかったのにと思いながら立ち止まり振り返る。
「アンタ、誰だ?何故俺たちを尾行する?」
「い、いや、その……話を聞いて頂きたかったのでありますが……中々お声がけできず……」
俺はまず何故自分たちを尾行していたのかを問う。そして一応隠れて尾行していたのにこちらに声を掛けてきて一体何がしたいのかと思った。すると相手は話を聞いてほしかったのだが中々声を掛けられず尾行するような形になったのだと答えた。だが相変わらず顔を隠している頭巾を外さない相手、やはり怪しい。
「話……?それならその頭巾を取って顔くらい見せたらどうだ?怪しさしかないんだが」
「あっ、し、失礼しました!こ、これで、いかがでしょう……?」
「えっ?お、女の子……?」
俺は話を聞いてほしいなら顔くらいは見せてほしいと言うと、本気で忘れていたようで直ぐに頭巾を外した。その素顔を見たミリアは驚きの声が思わず漏れ出ていたが、俺も驚いたことは間違いない。俺たちを尾行していたのは俺より少し年下くらいの少女だったからだ。
少女の容姿だが、髪は非常に艶やかで少し青みがかっているような黒髪で首元に掛かるか掛からないかぐらいの短めの長さ。目鼻立ちがはっきりとしていて口角の上がった大き目な口は快活そうな印象を与える。目は大きく灰色の瞳は瑞々しく輝いており、悪い人間には見えない。
身長はおそらく165センメラーほどで彼女くらいの年齢なら大柄な方に属するくらいか。それ以外の体つきは今彼女が着ている外套でよく分からない。
「それで……話とは?」
「ブレイド殿、わた、自分を弟子にしてほしいであります!」
「弟子ィッ?!」
悪い人間には見えなさそうなこの少女の話を聞くことにしたが、まさか自分を弟子にしてほしいなどと言われるとは思っておらず、驚いて聞き返してしまった。だが少女の表情は至って真剣そのもの。本気で言っているらしい。
「いや、俺は弟子を取れるほど戦闘術を修めたわけではないんだが……」
「いいえ、昨日の模擬戦を見させていただき、ブレイド殿に学べば必ず強くなれると確信したのです!それにイングジャミも倒されたとのこと。ブレイド殿に師事したく参りました!」
「い、いや……模擬戦はともかくイングジャミは俺とこちらのミリアと合力して倒したから俺一人の力じゃないんだ」
俺自身まだまだ弱いと考えているのだが、そんなことはないと鼻息荒くズイとこちらに歩み寄りながら再度頼んでくる少女。昨日の模擬戦の相手は俺と一緒に旅に出たシューインで、イングジャミを倒したのはミリアの魔術の力が大きかった。とても彼女が言うほどの力はないのだ。
「ブレイド殿、この通りです……。自分に稽古をつけてください。そのためなら何でもします!お願いいたします」
「ワァーッ!!往来で土下座はやめろォッ!人が見てるじゃないか!」
「よろしくお願いします……よろしくお願いします……」
俺が渋っていると少女はいきなり膝を地につき、そして両手と頭も地について土下座してお願いし始めてきた。さっきから騒がしかった俺たちの様子を見ていた往来の人々は彼女の土下座を見て「女の子を土下座させてるぞ……」「えげつねえ真似しやがる!」と口々に囁き始めた。
俺は土下座して頼めなど言っていない。このままずっと土下座されっぱなしは困る。俺は彼女に立つよう言ってみるがその言葉を聞かずにお願いするばかり。そして野次馬は更に増える。
「ど、どうすればいいと思う……?」
「弟子にすればいいと思います!」
「た、たしかにそうなんだが……」
「大丈夫です!ブレイドさんならきっと立派な師匠になります!」
「な、何を根拠に……。分かった、師匠になるからとりあえず立ってくれ……」
「ほ、本当でありますか!?」
俺はミリアにこの状況を打破する方法を尋ねる。すると彼女はあっけらかんとした様子で少女を弟子にとればいいと答えた。いやたしかにそれが手っ取り早い方法ではあるのだが、やはり自信はない。
だがミリアは一点の曇りのない笑顔と微塵も疑っていない純粋な目で俺を見つめながら立派な師匠になると言ってくる。
俺はこの言葉を聞いて他に取れる方策も思いつかないので、少女が望むように弟子にすると答えた。さっきまで俺が何を言ってもお願いしますとしか言っていなかった彼女だが、弟子にするという言葉にはしっかりと反応して顔を上げてきた。
「だが模擬戦やイングジャミのことを知ってるということは分かってると思うが、俺は魔王を倒す旅をしている。危険な旅に同道してもらうことになると思うが、大丈夫か?」
「はい!自分が鍛練に励むのは無辜の民のため!望むところであります!」
「ところで君の名前は?」
「申し遅れました。自分はアン・オーウェンと申します!」
「それじゃあアン、よろしくな」
彼女の名前はアン・オーウェン、魔王討伐の旅に騎士、アン・オーウェンが仲間に加わることになった。
「はい。昨日言ってたお買い物ですね!」
俺はまずアイツらに持っていかれてしまった冒険の装備品を買いに行くことにした。先に薬草採集の残りを済ませてもよかったのだが、また昨日みたいに予期せぬ魔物と遭遇してヒーヒー言いながらここまで持って帰って来なければいけなくなるのは避けたかった。まあ滅多に無い事なので多分大丈夫だとは思うのだが。
野営に必要な寝具や罠、洞窟など暗い場所を探索する時に使用する灯火機、大きなものを運搬するためのダーシャなどを買い込む。
「ブレイドさん……」
「どうした?」
「さっきからあの人……」
「やっぱりそうか。でも何で付いて来てるんだ……?」
買い物をしている最中、ミリアにさっきから自分たちを尾行している人が居ると告げられる。俺も当然気がついてはいたのだが、特に何かをするわけでもなくただ付いて来ているだけで狙いが分からず困惑する他なかった。
その尾行している人の服装は身体がすっぽりと入る外套、頭巾か何かで顔もよく見えないので性別すら分からない。だがその姿が浮き過ぎて、周囲から不審者という目で見られているが気づいていないのだろうか。少なくともアレが隠密なら失格なのは間違いない。
「とりあえず町の外れまで行ってみよう。ここじゃ何かあったら他の人を巻き込んでしまう」
「そうですね……」
とりあえず相手の狙いが読めない事にはどうしようもないが、この辺りで騒ぎにでもなったら関係のない人間を巻き込んでしまう。俺とミリアは町の外れに行って相手の出方を窺うことにした。歩く速度を上げて相手を引き離そうとする。すると怪しい謎の頭巾人も速度を上げて付いて来るどころか距離を詰めてきている。
「ちょ、ちょっ待って……ください!」
自分の尾行に気づかれて引き離そうとされたことに気づいたのか、謎の頭巾人は遂には声を上げて俺たちを引き留めようとした。最初からそうしていればよかったのにと思いながら立ち止まり振り返る。
「アンタ、誰だ?何故俺たちを尾行する?」
「い、いや、その……話を聞いて頂きたかったのでありますが……中々お声がけできず……」
俺はまず何故自分たちを尾行していたのかを問う。そして一応隠れて尾行していたのにこちらに声を掛けてきて一体何がしたいのかと思った。すると相手は話を聞いてほしかったのだが中々声を掛けられず尾行するような形になったのだと答えた。だが相変わらず顔を隠している頭巾を外さない相手、やはり怪しい。
「話……?それならその頭巾を取って顔くらい見せたらどうだ?怪しさしかないんだが」
「あっ、し、失礼しました!こ、これで、いかがでしょう……?」
「えっ?お、女の子……?」
俺は話を聞いてほしいなら顔くらいは見せてほしいと言うと、本気で忘れていたようで直ぐに頭巾を外した。その素顔を見たミリアは驚きの声が思わず漏れ出ていたが、俺も驚いたことは間違いない。俺たちを尾行していたのは俺より少し年下くらいの少女だったからだ。
少女の容姿だが、髪は非常に艶やかで少し青みがかっているような黒髪で首元に掛かるか掛からないかぐらいの短めの長さ。目鼻立ちがはっきりとしていて口角の上がった大き目な口は快活そうな印象を与える。目は大きく灰色の瞳は瑞々しく輝いており、悪い人間には見えない。
身長はおそらく165センメラーほどで彼女くらいの年齢なら大柄な方に属するくらいか。それ以外の体つきは今彼女が着ている外套でよく分からない。
「それで……話とは?」
「ブレイド殿、わた、自分を弟子にしてほしいであります!」
「弟子ィッ?!」
悪い人間には見えなさそうなこの少女の話を聞くことにしたが、まさか自分を弟子にしてほしいなどと言われるとは思っておらず、驚いて聞き返してしまった。だが少女の表情は至って真剣そのもの。本気で言っているらしい。
「いや、俺は弟子を取れるほど戦闘術を修めたわけではないんだが……」
「いいえ、昨日の模擬戦を見させていただき、ブレイド殿に学べば必ず強くなれると確信したのです!それにイングジャミも倒されたとのこと。ブレイド殿に師事したく参りました!」
「い、いや……模擬戦はともかくイングジャミは俺とこちらのミリアと合力して倒したから俺一人の力じゃないんだ」
俺自身まだまだ弱いと考えているのだが、そんなことはないと鼻息荒くズイとこちらに歩み寄りながら再度頼んでくる少女。昨日の模擬戦の相手は俺と一緒に旅に出たシューインで、イングジャミを倒したのはミリアの魔術の力が大きかった。とても彼女が言うほどの力はないのだ。
「ブレイド殿、この通りです……。自分に稽古をつけてください。そのためなら何でもします!お願いいたします」
「ワァーッ!!往来で土下座はやめろォッ!人が見てるじゃないか!」
「よろしくお願いします……よろしくお願いします……」
俺が渋っていると少女はいきなり膝を地につき、そして両手と頭も地について土下座してお願いし始めてきた。さっきから騒がしかった俺たちの様子を見ていた往来の人々は彼女の土下座を見て「女の子を土下座させてるぞ……」「えげつねえ真似しやがる!」と口々に囁き始めた。
俺は土下座して頼めなど言っていない。このままずっと土下座されっぱなしは困る。俺は彼女に立つよう言ってみるがその言葉を聞かずにお願いするばかり。そして野次馬は更に増える。
「ど、どうすればいいと思う……?」
「弟子にすればいいと思います!」
「た、たしかにそうなんだが……」
「大丈夫です!ブレイドさんならきっと立派な師匠になります!」
「な、何を根拠に……。分かった、師匠になるからとりあえず立ってくれ……」
「ほ、本当でありますか!?」
俺はミリアにこの状況を打破する方法を尋ねる。すると彼女はあっけらかんとした様子で少女を弟子にとればいいと答えた。いやたしかにそれが手っ取り早い方法ではあるのだが、やはり自信はない。
だがミリアは一点の曇りのない笑顔と微塵も疑っていない純粋な目で俺を見つめながら立派な師匠になると言ってくる。
俺はこの言葉を聞いて他に取れる方策も思いつかないので、少女が望むように弟子にすると答えた。さっきまで俺が何を言ってもお願いしますとしか言っていなかった彼女だが、弟子にするという言葉にはしっかりと反応して顔を上げてきた。
「だが模擬戦やイングジャミのことを知ってるということは分かってると思うが、俺は魔王を倒す旅をしている。危険な旅に同道してもらうことになると思うが、大丈夫か?」
「はい!自分が鍛練に励むのは無辜の民のため!望むところであります!」
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