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第4話Part.3~緊急招集~
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研究所まで戻ってきた。入り口の前には見張りが2人立っている。切り立った崖の上に造られたこの研究所に無能者共が登ってくることなどほとんどないし、魔物も陸棲のものばかりで俺たちくらいしか来ないが念には念を入れて見張りが立っている。
「お前、どうしたその怪我は。それに他の奴らは?!」
「誰も帰ってないのか?」
「ああ。出てきて帰ってきたのはお前だけだ。」
どういうことだ?リーダーのフィーアともう1人が離脱したはずなんだが。一体あの2人はどこへ行ったんだ……。俺は研究所の中に通された。
研究所の中は2つの建物に分かれている。俺たち戦闘要員が入っている居住棟と俺たち能力者を作り出す研究棟。研究棟は俺もほとんど入ったことはない。せいぜいスキル判別の時くらいか。
俺はとにかく居住棟に入る。居住棟には今日は待機している他の能力者が居るが大体自分の部屋で過ごしているようで誰ともすれ違うことなく自分の部屋に入ることができた。
俺はひとまず服を着替える。服はそこら中が破け、怪我を負った部分は血に染まっている。こんな姿で出歩いているのを見つかれば明らかに怪しまれるだろう。
俺は服を脱いで怪我を負った部分を確かめる。特にあの脳筋野郎にやられた傷は酷い。ぱっくりと割れた傷は今こうして痛みが無いのが不思議なくらいだ。そしてあのイカレ野郎に刺された肩の傷。何か鈍いもので無理矢理捩じ刺されたようにグチャグチャな傷だ。
傷の周囲の血をふき取っても血がにじみ出てくる。このまま服を着てもすぐに血染めになってしまうので傷に包帯をグルグルと巻き付ける。これでしばらくは持ってくれるだろう。
俺は服を着替えて再び通路に出る。するとちょうど隣の部屋の能力者が出てきた。あまり人に見つかりたくなかったがここでコソコソしては怪しまれる。俺は堂々と歩く。
「おお、ノイン。戻ってたのか。」
「まあな。」
この男の名はドライツ。能力者は大体物静かな野郎が多いがコイツは無駄に明るい。そして無駄に話が長い。時間が無いというのにまったく面倒な奴に捕まった。
「今からどこに行くか分かるか?」
「知るか。」
「コレだよコレ。」
「は?お前、取れたのか?」
いつもニヤニヤした野郎だが今日は特に嬉しそうにニヤついてやがる。そしてニヤつきながら人差し指と中指の間に親指を差し込むジェスチャーを見せた。このサインは性行為を現すジェスチャー。
そしてこの居住棟において性行為といえば【ナザリー】と呼ばれた最上階の部屋だ。苗床を意味する言葉で能力者を生み出すために子を孕ませるための部屋だ。
だが何故かは知らんが能力者は圧倒的に男として生まれる事が多く女の数が少ない。そして女として生まれても大体はそのまま能力者として育つ。
故にナザリーに回される女は少なく、その貴重な枠も大体上位の能力者が優先して充てられ、俺やドライツのような希少性が低い能力者に回ってくることは少ない。
だがそんな部屋に今日ドライツが行くと言うのだから驚いた。
「いや、何か知らんけど急に上位者が研究棟に召集されたらしいんだよ。それで俺らに回ってきたってわけさ。」
「どういうことだ?」
「さあな。まだ時間空いてるらしいからお前もヤレるかもしれねえぞ。じゃあな!」
ドライツは下半身を膨らませながら跳ねるような足取りで階段を昇って行った。クソッたれ。俺もこんなことになってさえいなければナザリーで今日の鬱憤を晴らせるというのに。
だが上位者が集められたことは気になる。今まで急な召集など無かったのだが。やはり2人は戻っているのか?今集められるとすれば俺たちパーティーが壊滅させられたことが関係していそうだが分からない。
考えても仕方がない。俺は2階の資料室へ行くことにした。多分あの部屋に地図があるはずだ。
「お前、どうしたその怪我は。それに他の奴らは?!」
「誰も帰ってないのか?」
「ああ。出てきて帰ってきたのはお前だけだ。」
どういうことだ?リーダーのフィーアともう1人が離脱したはずなんだが。一体あの2人はどこへ行ったんだ……。俺は研究所の中に通された。
研究所の中は2つの建物に分かれている。俺たち戦闘要員が入っている居住棟と俺たち能力者を作り出す研究棟。研究棟は俺もほとんど入ったことはない。せいぜいスキル判別の時くらいか。
俺はとにかく居住棟に入る。居住棟には今日は待機している他の能力者が居るが大体自分の部屋で過ごしているようで誰ともすれ違うことなく自分の部屋に入ることができた。
俺はひとまず服を着替える。服はそこら中が破け、怪我を負った部分は血に染まっている。こんな姿で出歩いているのを見つかれば明らかに怪しまれるだろう。
俺は服を脱いで怪我を負った部分を確かめる。特にあの脳筋野郎にやられた傷は酷い。ぱっくりと割れた傷は今こうして痛みが無いのが不思議なくらいだ。そしてあのイカレ野郎に刺された肩の傷。何か鈍いもので無理矢理捩じ刺されたようにグチャグチャな傷だ。
傷の周囲の血をふき取っても血がにじみ出てくる。このまま服を着てもすぐに血染めになってしまうので傷に包帯をグルグルと巻き付ける。これでしばらくは持ってくれるだろう。
俺は服を着替えて再び通路に出る。するとちょうど隣の部屋の能力者が出てきた。あまり人に見つかりたくなかったがここでコソコソしては怪しまれる。俺は堂々と歩く。
「おお、ノイン。戻ってたのか。」
「まあな。」
この男の名はドライツ。能力者は大体物静かな野郎が多いがコイツは無駄に明るい。そして無駄に話が長い。時間が無いというのにまったく面倒な奴に捕まった。
「今からどこに行くか分かるか?」
「知るか。」
「コレだよコレ。」
「は?お前、取れたのか?」
いつもニヤニヤした野郎だが今日は特に嬉しそうにニヤついてやがる。そしてニヤつきながら人差し指と中指の間に親指を差し込むジェスチャーを見せた。このサインは性行為を現すジェスチャー。
そしてこの居住棟において性行為といえば【ナザリー】と呼ばれた最上階の部屋だ。苗床を意味する言葉で能力者を生み出すために子を孕ませるための部屋だ。
だが何故かは知らんが能力者は圧倒的に男として生まれる事が多く女の数が少ない。そして女として生まれても大体はそのまま能力者として育つ。
故にナザリーに回される女は少なく、その貴重な枠も大体上位の能力者が優先して充てられ、俺やドライツのような希少性が低い能力者に回ってくることは少ない。
だがそんな部屋に今日ドライツが行くと言うのだから驚いた。
「いや、何か知らんけど急に上位者が研究棟に召集されたらしいんだよ。それで俺らに回ってきたってわけさ。」
「どういうことだ?」
「さあな。まだ時間空いてるらしいからお前もヤレるかもしれねえぞ。じゃあな!」
ドライツは下半身を膨らませながら跳ねるような足取りで階段を昇って行った。クソッたれ。俺もこんなことになってさえいなければナザリーで今日の鬱憤を晴らせるというのに。
だが上位者が集められたことは気になる。今まで急な召集など無かったのだが。やはり2人は戻っているのか?今集められるとすれば俺たちパーティーが壊滅させられたことが関係していそうだが分からない。
考えても仕方がない。俺は2階の資料室へ行くことにした。多分あの部屋に地図があるはずだ。
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