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第4話Part.5~裏切りの果て~
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俺は通路に出て、さっさとこの階からズラかることにした。俺は階段の方へと足早に進んでいく。だが俺は焦りのあまり下の階段から誰かが昇ってくる足音を聞き逃していた。そして気づいた時には俺は男と鉢合わせてしまっていた。
「お前は……。」
「あ、あぁ……。」
俺が鉢合わせてしまった男は共に調査に出ていた男の1人。リーダーのフィーアと共に姿を消していた奴らの1人だ。よりにもよって1番最悪な奴に鉢合わせた。
この男は4階の通路から出てきた俺を見て怪訝そうな顔をする。俺が1階に住んでいることはコイツも知っている。それが4階に居るのだ。怪しまれても仕方がない。
上位者になればなるほど下位の者と共に行動することを嫌う者が増える。それは誰もが知っていることで下位者が自ら上位者の部屋に行くなどほぼほぼあり得ない。
「お前、何故4階に居る?」
「いやあ、ウキウキし過ぎて勘違いしただけですよ。聞いてるでしょ?ナザリーのことは。」
「ああ。今から行くところだが。」
「俺はついさっき帰ってきたもので、空いてるかどうか聞きに行こうと思ってたところで。」
「そうか。」
俺は必死に頭を働かせて言い訳を考える。少々苦しい気がするがナザリーの部屋へ行って女が空いているかを聞きに行くつもりだったが逸る気持ちで階を間違えたと言う。男の顔は相変わらず怪訝そうなままだが一応納得したらしい。
「ちょ、ちょっと緊張で腹が……。」
「少し待て。お前1人で戻ったのか?」
「え、えぇ。なんとか生き残ったので……。」
「フィーアがどこに行ったかは知らないのか?」
「あなたと戻ったのでは?」
「いや、俺が離脱する時には既にフィーアは居なかった。」
俺はロクに通うことができなかったナザリーに緊張してしまい腹を壊したと理由をつけてさっさとこの男から離れようとした。だが引き留められる。
そしてコイツの口ぶりではフィーアは誰も知らない間に消えてしまい、こちらにもやはり戻っていないようだ。そうなるとあのイカレ野郎が連れ去ったという訳か。だがそれを今コイツに話すわけにはいかない。
「俺はいきなり暴れだした奴を残った者で抑え、その結果俺以外は皆死んでしまい、調査継続は無理と判断して戻ったので。」
「じゃあ何故お前、報告も入れずのこのことナザリーに行こうとしている?」
「い、いや……。」
「廃棄の森から戻った際には必ず報告を入れるのは知ってるだろう?」
「え、えぇ。」
「今回のような事態、当然お前から報告があれば、上から俺にもう一度事情を聞きに来るはずだが、それが今のところないんだがな?」
痛い所を突かれた。たしかにこの男の言う通りで森から帰還した時には必ず報告を入れる規則になっている。規則違反は当然制裁がある。特に報告の遅れはかなり重い罰を与えられる。それを分かってナザリーに行く奴など居ない。これは完全に怪しまれている。
「クソ面倒な野郎だ。俺はナザリーに行くところなんだぞ。クズが!仕方ねえ、てめえを連れて行ってから行くしかねえか。」
男は俺を睨みつけながら罵倒する。おそらくコイツも帰還して報告を入れた際に相当絞られたと見える。ヤツがいつまで見ていたのかは分からないが、フィーアが消えて10人のパーティーが壊滅。そしてのこのこと1人だけ帰還。激怒されないわけがない。
そして罪を見逃せばまた罪となり、今度はどうなるか分からない。行き場のない怒りのような物を俺はぶつけられた。
「オイッ!着いて来い。早く!」
苛立ちながら階段を降りる男。このままでは相当な時間を食う上、報告の際に暴力を振るわれかねない。今は身体の痛みはあまり無いものの状態からして動けているのが不思議なほど。
ここから新たに怪我を負えばヤツの元に戻れない可能性が高い。いや、下手をすれば報告中に毒が回りきって死ぬことだって有り得る。今ここで捕まるわけにはいかない。
「てめえ!聞いてんのか。」
「死ね……。」
「アッアアアアアアアアッ。」
俺が思案している時、男は怒りながら俺に詰め寄ってきた。だがその時俺はヤツの胸を力いっぱい押した。急に前からの圧力が掛かりヤツの重心が崩れて後ろに飛ぶ。ヤツは階段の4階と3階の踊り場に落ちた。
だが能力者は普通の人間よりも身体的にも強化されている。打ち所が悪ければ死ぬだろうが、大抵はこれくらいで死ぬはずがない。
俺はすぐに踊り場まで行き、ヤツの顔を掴み床に頭を叩きつける。殺さなければならないが頭を完全に潰してしまっては不自然。しっかりと形は残しつつに殺さなければ。この加減が中々難しい。
結局俺はヤツの頭を三度叩きつけてやっと殺害に至った。
他殺という結論にはなるだろうが、明確に他殺の状態よりは少しくらいの時間稼ぎにはなるだろう。
俺はヤツの死骸に一瞥もくれることなく下に降りる。幸いな事に誰ともすれ違わなかった。1階に降りてすぐに居住棟を出る。外を出歩いているものも居ない。そのまま俺は入り口まで急ぐ。
「よぉ。」
「お?どうした?」
「いや、報告を入れたんだが暴れだした奴の死骸を回収して来いって言われてな。」
「そうなのか。分かった。」
俺は新たな任務だと偽って入り口から出る。同じ任務だった奴なら違和感を覚えるだろうが、基本的に任務は実働部隊の割り当てられた人員と指示を出す上の奴らくらいしか知らないので、ドライツや見張りの奴らが分かりようがない。
こうして俺は何とか地図を得て外に出られた。
「お前は……。」
「あ、あぁ……。」
俺が鉢合わせてしまった男は共に調査に出ていた男の1人。リーダーのフィーアと共に姿を消していた奴らの1人だ。よりにもよって1番最悪な奴に鉢合わせた。
この男は4階の通路から出てきた俺を見て怪訝そうな顔をする。俺が1階に住んでいることはコイツも知っている。それが4階に居るのだ。怪しまれても仕方がない。
上位者になればなるほど下位の者と共に行動することを嫌う者が増える。それは誰もが知っていることで下位者が自ら上位者の部屋に行くなどほぼほぼあり得ない。
「お前、何故4階に居る?」
「いやあ、ウキウキし過ぎて勘違いしただけですよ。聞いてるでしょ?ナザリーのことは。」
「ああ。今から行くところだが。」
「俺はついさっき帰ってきたもので、空いてるかどうか聞きに行こうと思ってたところで。」
「そうか。」
俺は必死に頭を働かせて言い訳を考える。少々苦しい気がするがナザリーの部屋へ行って女が空いているかを聞きに行くつもりだったが逸る気持ちで階を間違えたと言う。男の顔は相変わらず怪訝そうなままだが一応納得したらしい。
「ちょ、ちょっと緊張で腹が……。」
「少し待て。お前1人で戻ったのか?」
「え、えぇ。なんとか生き残ったので……。」
「フィーアがどこに行ったかは知らないのか?」
「あなたと戻ったのでは?」
「いや、俺が離脱する時には既にフィーアは居なかった。」
俺はロクに通うことができなかったナザリーに緊張してしまい腹を壊したと理由をつけてさっさとこの男から離れようとした。だが引き留められる。
そしてコイツの口ぶりではフィーアは誰も知らない間に消えてしまい、こちらにもやはり戻っていないようだ。そうなるとあのイカレ野郎が連れ去ったという訳か。だがそれを今コイツに話すわけにはいかない。
「俺はいきなり暴れだした奴を残った者で抑え、その結果俺以外は皆死んでしまい、調査継続は無理と判断して戻ったので。」
「じゃあ何故お前、報告も入れずのこのことナザリーに行こうとしている?」
「い、いや……。」
「廃棄の森から戻った際には必ず報告を入れるのは知ってるだろう?」
「え、えぇ。」
「今回のような事態、当然お前から報告があれば、上から俺にもう一度事情を聞きに来るはずだが、それが今のところないんだがな?」
痛い所を突かれた。たしかにこの男の言う通りで森から帰還した時には必ず報告を入れる規則になっている。規則違反は当然制裁がある。特に報告の遅れはかなり重い罰を与えられる。それを分かってナザリーに行く奴など居ない。これは完全に怪しまれている。
「クソ面倒な野郎だ。俺はナザリーに行くところなんだぞ。クズが!仕方ねえ、てめえを連れて行ってから行くしかねえか。」
男は俺を睨みつけながら罵倒する。おそらくコイツも帰還して報告を入れた際に相当絞られたと見える。ヤツがいつまで見ていたのかは分からないが、フィーアが消えて10人のパーティーが壊滅。そしてのこのこと1人だけ帰還。激怒されないわけがない。
そして罪を見逃せばまた罪となり、今度はどうなるか分からない。行き場のない怒りのような物を俺はぶつけられた。
「オイッ!着いて来い。早く!」
苛立ちながら階段を降りる男。このままでは相当な時間を食う上、報告の際に暴力を振るわれかねない。今は身体の痛みはあまり無いものの状態からして動けているのが不思議なほど。
ここから新たに怪我を負えばヤツの元に戻れない可能性が高い。いや、下手をすれば報告中に毒が回りきって死ぬことだって有り得る。今ここで捕まるわけにはいかない。
「てめえ!聞いてんのか。」
「死ね……。」
「アッアアアアアアアアッ。」
俺が思案している時、男は怒りながら俺に詰め寄ってきた。だがその時俺はヤツの胸を力いっぱい押した。急に前からの圧力が掛かりヤツの重心が崩れて後ろに飛ぶ。ヤツは階段の4階と3階の踊り場に落ちた。
だが能力者は普通の人間よりも身体的にも強化されている。打ち所が悪ければ死ぬだろうが、大抵はこれくらいで死ぬはずがない。
俺はすぐに踊り場まで行き、ヤツの顔を掴み床に頭を叩きつける。殺さなければならないが頭を完全に潰してしまっては不自然。しっかりと形は残しつつに殺さなければ。この加減が中々難しい。
結局俺はヤツの頭を三度叩きつけてやっと殺害に至った。
他殺という結論にはなるだろうが、明確に他殺の状態よりは少しくらいの時間稼ぎにはなるだろう。
俺はヤツの死骸に一瞥もくれることなく下に降りる。幸いな事に誰ともすれ違わなかった。1階に降りてすぐに居住棟を出る。外を出歩いているものも居ない。そのまま俺は入り口まで急ぐ。
「よぉ。」
「お?どうした?」
「いや、報告を入れたんだが暴れだした奴の死骸を回収して来いって言われてな。」
「そうなのか。分かった。」
俺は新たな任務だと偽って入り口から出る。同じ任務だった奴なら違和感を覚えるだろうが、基本的に任務は実働部隊の割り当てられた人員と指示を出す上の奴らくらいしか知らないので、ドライツや見張りの奴らが分かりようがない。
こうして俺は何とか地図を得て外に出られた。
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