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第9話Part.3~真の敵を探せ!~
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「殺せ……!殺せ……!」
謎の声に導かれるように俺への攻撃を仕掛け続けるアイシス。彼女に対しては筋力強化を使用しても肉壁にはなり得ない。彼女のスキルは対能力者限定に発動する物理防御無視の攻撃。
どういった作用でそうなるのかは知らないが、俺は実際彼女が元より強化されている改造人間である能力者の、更に筋力強化で鋼鉄のようになった肉体をいとも容易く貫いているのを目の当たりにしているのでそのスキル自体は疑いようがない。
やはりここはまた毒手のスキルを使うしかないか。俺はそう考えてまずは透明化スキルを使用してから移動して彼女から大きく距離を取った。距離を取れたところで右手に集中して麻痺毒を生成していく。そして再び透明化スキルを発動。この瞬間俺の右手には毒物は残っているが、毒手のスキルは使えないため毒物耐性が落ちてしまっている。そのためなるべく早く彼女に毒物を打ち込まないと自滅してしまうのだ。
俺は音を立てずに素早く彼女の後ろに回り込み手刀を打ち込みに行く。だが彼女はこちらに振り返って蹴りを見舞って来た。俺の無防備な腹に突き刺さった蹴りで俺は後ろの壁まで吹き飛ばされた。そして吐血。肋骨が何本も折れて内臓に突き刺さった。更に直接の衝撃で明らかに潰されたものもあっただろう。
これでも死なないのはアルキュラから受け継いだ不死のスキルのお陰だ。発動して身体に作用するスキルは併用できないが不死のように体質が変わるというスキルとなら透明化や筋力強化をしていても失われることは無いようだ。
だが今は略取のスキルの条件をまた1つ知れたと喜んでいる場合ではない。気配断ちは何度も闇討ちをしていたお陰でかなりのものだと自負しているのだが、彼女にはあっさりと気づかれた。一体どういうことだ。
壁の近くに居ては彼女がこちらに来る。俺はよろめきながら壁から離れたものの、彼女は俺に向かって真っ直ぐ来る。やはり俺の居場所が見えているらしい。
ここで俺は透明化を解除してそろそろ身体を回りそうな毒物を解除するため短剣の刃を握って短剣に毒物を移した。
身体能力では彼女の方が上、更に今の俺は普通なら死んでいる大怪我。不死のスキルが発動して徐々に傷は治っていくものの完治にはまだ少し時間が掛かる。このままでは治る前に彼女に心臓を潰されるだろう。
おそらく他の能力者が居る状況でスキルを複数使えることを見せたくはなかったが、死んでは元も子もない。俺はテレポートを使用して上に逃げた。すぐに気づかれるだろうが、少しは時間稼ぎができるだろう。
俺は壁にもたれながら傷の回復に努める。その間下に居るアイシスの様子を窺うと彼女はキョロキョロとしながら俺を探している。しかしすぐに俺が居る上部箇所を向いてきた。この反応を見るに彼女自身が俺の居場所を掴んでいるわけではないようだ。
そうなればスキルか魔術のどちらかしかない。俺の居場所を掴んで、そして彼女に伝えている。それができる能力の持ち主だ。
彼女はこちらへ走ってきて、そのまま跳躍する。5メラー上空にあるこの上部箇所より高く跳んでそのまま俺へ手刀を繰り出してきた。俺はたまらずテレポートで再び下部へ逃げた。
「見つけたぞ……」
だが彼女の跳躍が俺に気づかせた。彼女の動きに合わせて目線が動いた時、自然と向かい側の上部箇所を捉えていた。そしてその向かい側に2人の人影があった。おそらくあの2人がアイシスを操り、そして俺の居場所を見抜いている能力者だ。
この上部箇所は広めに取られており、下に居る時は見えづらかったが上に上がったことで見抜くことができた。
俺は傷が治ったことを確認してテレポート。2人の近くに跳んだ。
「来たぞ!」
「中々早く見つかったな」
1人は能力者の服ではなく、何やら様々な装飾があしらわれた将軍の正装にも似た黒い服を着ていた。だが体格は俺よりも細身に見えてどうにも服に着られているような感じが否めない男。服装からしておそらくこの男が洗脳のスキルの持ち主だと思われる。
もう1人は能力者の服。洗脳スキルの男よりも長身で180センメラー弱だがこちらも細身。神経質そうな吊り目が特徴的な男。おそらくこちらが自分以外の生物を感知するスキルを持っている男だろう。透明化のスキルすら通用しないのは中々に厄介だ。
男2人は余裕綽々といった様子を見せている。もう既にこの2人に俺が複数のスキルを使用できることは見られているがここで始末してしまえば問題はない。俺は近接戦闘用に筋力強化のスキルを使用して2人に突っ込んだ。
2対1だが今はそんなことを言っている場合ではない。それにおそらくこの2人はサポート系のスキルを付与されているので近接戦闘の経験は俺とそう変わらないし、強化した自分の身体能力でゴリ押しできるという判断だ。
思った通り2人は俺のいきなりの筋肥大に驚き、そして攻撃に中々対応できない。俺は感知系スキルの男の腕を掴んで洗脳スキルの男に投げつける。男同士は見事に命中して2人とも5メラー下の戦闘実験場に落下した。
だがまだ奴等は息がありそうだ。俺は筋力強化を維持したまま飛び降りて追撃を行おうとするが、まだ洗脳状態から解けていないアイシスが2人を守るために俺に攻撃を仕掛けてきた。俺とアイシスの拳と拳がぶつかる。俺の拳から彼女の攻撃力が直に伝わり、折れはしなかったが俺の右腕に痺れが走った。だがこちらも筋力強化をしていたため彼女にも攻撃が通ったようだ。
俺とアイシスは後ろに飛び退いて一度体勢を立て直す。その間にアイシスを操る男たちも立ち上がって体勢を立て直していた。
「さあ、あの男を殺せ……!あの屈辱を忘れたか?!」
「よくも……私を……死ねッ!殺してやる……!」
アイシスを洗脳している男が彼女に言葉を飛ばして俺への憎悪を湧き立たせる。どうやらアイシスの復讐心を利用し、その対象を俺に差し替えてしまったようだ。いや本当に彼女から恨まれているのかもしれないが、今の彼女の目はあの男たちに向けていた目とほとんど同じだった。
アイシスの命を奪う訳にはいかない。彼女を操る男を始末して洗脳を解いてやらねば。感知系スキルの男は俺が透明化のスキルを使わなければ特に役立つわけではない。戦闘の頭数には一応入るがそこまで気にしなくてもいいだろう。
俺は洗脳スキルの男を狙うことを決めて3人と対峙し、彼らの隙を窺うことにした。
謎の声に導かれるように俺への攻撃を仕掛け続けるアイシス。彼女に対しては筋力強化を使用しても肉壁にはなり得ない。彼女のスキルは対能力者限定に発動する物理防御無視の攻撃。
どういった作用でそうなるのかは知らないが、俺は実際彼女が元より強化されている改造人間である能力者の、更に筋力強化で鋼鉄のようになった肉体をいとも容易く貫いているのを目の当たりにしているのでそのスキル自体は疑いようがない。
やはりここはまた毒手のスキルを使うしかないか。俺はそう考えてまずは透明化スキルを使用してから移動して彼女から大きく距離を取った。距離を取れたところで右手に集中して麻痺毒を生成していく。そして再び透明化スキルを発動。この瞬間俺の右手には毒物は残っているが、毒手のスキルは使えないため毒物耐性が落ちてしまっている。そのためなるべく早く彼女に毒物を打ち込まないと自滅してしまうのだ。
俺は音を立てずに素早く彼女の後ろに回り込み手刀を打ち込みに行く。だが彼女はこちらに振り返って蹴りを見舞って来た。俺の無防備な腹に突き刺さった蹴りで俺は後ろの壁まで吹き飛ばされた。そして吐血。肋骨が何本も折れて内臓に突き刺さった。更に直接の衝撃で明らかに潰されたものもあっただろう。
これでも死なないのはアルキュラから受け継いだ不死のスキルのお陰だ。発動して身体に作用するスキルは併用できないが不死のように体質が変わるというスキルとなら透明化や筋力強化をしていても失われることは無いようだ。
だが今は略取のスキルの条件をまた1つ知れたと喜んでいる場合ではない。気配断ちは何度も闇討ちをしていたお陰でかなりのものだと自負しているのだが、彼女にはあっさりと気づかれた。一体どういうことだ。
壁の近くに居ては彼女がこちらに来る。俺はよろめきながら壁から離れたものの、彼女は俺に向かって真っ直ぐ来る。やはり俺の居場所が見えているらしい。
ここで俺は透明化を解除してそろそろ身体を回りそうな毒物を解除するため短剣の刃を握って短剣に毒物を移した。
身体能力では彼女の方が上、更に今の俺は普通なら死んでいる大怪我。不死のスキルが発動して徐々に傷は治っていくものの完治にはまだ少し時間が掛かる。このままでは治る前に彼女に心臓を潰されるだろう。
おそらく他の能力者が居る状況でスキルを複数使えることを見せたくはなかったが、死んでは元も子もない。俺はテレポートを使用して上に逃げた。すぐに気づかれるだろうが、少しは時間稼ぎができるだろう。
俺は壁にもたれながら傷の回復に努める。その間下に居るアイシスの様子を窺うと彼女はキョロキョロとしながら俺を探している。しかしすぐに俺が居る上部箇所を向いてきた。この反応を見るに彼女自身が俺の居場所を掴んでいるわけではないようだ。
そうなればスキルか魔術のどちらかしかない。俺の居場所を掴んで、そして彼女に伝えている。それができる能力の持ち主だ。
彼女はこちらへ走ってきて、そのまま跳躍する。5メラー上空にあるこの上部箇所より高く跳んでそのまま俺へ手刀を繰り出してきた。俺はたまらずテレポートで再び下部へ逃げた。
「見つけたぞ……」
だが彼女の跳躍が俺に気づかせた。彼女の動きに合わせて目線が動いた時、自然と向かい側の上部箇所を捉えていた。そしてその向かい側に2人の人影があった。おそらくあの2人がアイシスを操り、そして俺の居場所を見抜いている能力者だ。
この上部箇所は広めに取られており、下に居る時は見えづらかったが上に上がったことで見抜くことができた。
俺は傷が治ったことを確認してテレポート。2人の近くに跳んだ。
「来たぞ!」
「中々早く見つかったな」
1人は能力者の服ではなく、何やら様々な装飾があしらわれた将軍の正装にも似た黒い服を着ていた。だが体格は俺よりも細身に見えてどうにも服に着られているような感じが否めない男。服装からしておそらくこの男が洗脳のスキルの持ち主だと思われる。
もう1人は能力者の服。洗脳スキルの男よりも長身で180センメラー弱だがこちらも細身。神経質そうな吊り目が特徴的な男。おそらくこちらが自分以外の生物を感知するスキルを持っている男だろう。透明化のスキルすら通用しないのは中々に厄介だ。
男2人は余裕綽々といった様子を見せている。もう既にこの2人に俺が複数のスキルを使用できることは見られているがここで始末してしまえば問題はない。俺は近接戦闘用に筋力強化のスキルを使用して2人に突っ込んだ。
2対1だが今はそんなことを言っている場合ではない。それにおそらくこの2人はサポート系のスキルを付与されているので近接戦闘の経験は俺とそう変わらないし、強化した自分の身体能力でゴリ押しできるという判断だ。
思った通り2人は俺のいきなりの筋肥大に驚き、そして攻撃に中々対応できない。俺は感知系スキルの男の腕を掴んで洗脳スキルの男に投げつける。男同士は見事に命中して2人とも5メラー下の戦闘実験場に落下した。
だがまだ奴等は息がありそうだ。俺は筋力強化を維持したまま飛び降りて追撃を行おうとするが、まだ洗脳状態から解けていないアイシスが2人を守るために俺に攻撃を仕掛けてきた。俺とアイシスの拳と拳がぶつかる。俺の拳から彼女の攻撃力が直に伝わり、折れはしなかったが俺の右腕に痺れが走った。だがこちらも筋力強化をしていたため彼女にも攻撃が通ったようだ。
俺とアイシスは後ろに飛び退いて一度体勢を立て直す。その間にアイシスを操る男たちも立ち上がって体勢を立て直していた。
「さあ、あの男を殺せ……!あの屈辱を忘れたか?!」
「よくも……私を……死ねッ!殺してやる……!」
アイシスを洗脳している男が彼女に言葉を飛ばして俺への憎悪を湧き立たせる。どうやらアイシスの復讐心を利用し、その対象を俺に差し替えてしまったようだ。いや本当に彼女から恨まれているのかもしれないが、今の彼女の目はあの男たちに向けていた目とほとんど同じだった。
アイシスの命を奪う訳にはいかない。彼女を操る男を始末して洗脳を解いてやらねば。感知系スキルの男は俺が透明化のスキルを使わなければ特に役立つわけではない。戦闘の頭数には一応入るがそこまで気にしなくてもいいだろう。
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