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しおりを挟む私は酷く不安定な人間だ。いつからなのかは、覚えていない。けれど、一貫性のない人間だ。
今、友人と喧嘩とまではいかない、けれど、気まずい雰囲気にある。
なにが、そうさせたかはわからない。必然か、偶然なのか。きっと、必然なのであろう。
以前に一度だけ同じ友人と同じような事態になったことがある。直ぐにそれは解決されたが、彼女に言われたのだ。わからない、と。私も私がわからない。だから、わからないのは当然だと思った。
私は彼女を特別視している。彼女が特別かわいくて、美しく見えて仕方ない。好きだ、可愛い、君がいないと寂しい、多くの愛を彼女に注いだ。けれど、それは空回りしてばかりで、不満が募っていたのだろう。そんな自分に気づけないまま、満足してると思い込みここまできた。
私は彼女に愛を注いでるだけで満足してるはずだった。違ったと気づいたのは、ほんの些細な出来事。
そこで、初めて自分が間違えていたことに気付いた。一方的な愛は、相手も自分も傷つけるのだと。受け止めきれない愛も、抱えきれない愛も、全て毒でしかない。
自分が捨てなければこの不毛な関係は絶ちきれない。私はあっさりとはいかないものの彼女に愛を囁かなくなった。視線で求めてしまう自分をわらいながら、愛が消えた彼女との関係をもて余すことになった。
私自身も心のなかにあった愛が消えたことでより空虚な気持ちで生活することになった。
そんな空虚な日々を続ければ、やがて自身の在り方に疑念を抱いた。
私は何を望んでいるのか。未来も、今も、過去も願望がなかったわけじゃない。思い出せないのは明らかに自分のせいだった。
いくつになっても、子供のように感情に振り回されて、それを隠すように下手な大人心で誤魔化す。
上手くなるのは誤魔化しばかり。嘘でもない、ほんとでもないそれは自分を苦しめるばかり。誤魔化した末にあるのは真実を思い出せない自身で、馬鹿らしい気持ちになる。
私は彼女を愛してた。今も、それは代わらない。それでも、彼女との関係を改善させようと動けないのはひとえに自分が臆病で、怠惰な嫌な人間だから。
愛していても、その愛は誰のためのものでもない。
ああ、この想いはきっと話すこともない。話しても誰も信じはしない。
私は彼女を愛してた。殺したいほどに、殺されたいほどに。
そんな純粋な想いに憎しみを生みたくない。どうか、貴女はそのままで。
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