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一章
穴だらけ計画と筒抜けな君
しおりを挟む先輩が遠征に行ってから3日くらい経った。今日はあやとりをしていた。なんで過去形なのかというとすぐにやめたからだ。この世界にはあやとりなんて遊びはないし私もたいして知識がないので眼鏡に説明しようとし始めて思い直した。
眼鏡たちは私を追い出す計画を緻密に練っているらしく、追い出されるのも時間の問題だ。もってあと3日だ。先輩が遠征から帰還するのは1週間が予定だから、ギリギリ間に合わない。先輩単体ならともかく今回はあいつも一緒だから遅くは帰ってきても早く帰ってはこれないだろう。上司が気遣ってよく予定より早く帰ってくるが白雲さんがいれば先輩と白雲さんの衝突は避けられないだろう。先輩は白雲さんが嫌いらしいからね。理由はだいたいわかるがこればっかりは譲れない。せっかくの友人候補を逃すほど私は強くないからね。
とりあえずここから逃げないといけないわけだが、実は私が使っている部屋の位置が掴めていない。詰んでね?と思ったやつもいるだろう。だが、この間白雲さんから抜け穴をいくつか教えてもらっている。これで私の計画に穴はなくなっただろう。あとはタイミングの問題だ。
明日いつもつきまとう眼鏡が仕事で一日ここを空ける。眼鏡の代理がくるのは確実だとして、その代理をどうやって振り切るか。そんなの全然問題ない。振り切るのなんて勢いでなんとかいける。問題は脱出後だ。
脱出したとして、外は安全なのか。
今の私には先輩がいない。先輩がいないとなればあいつらも動くだろう。つまり、どっちにしろ危険性でいえば外のほうが高い。やっぱ詰んでね?
いやいや、もしこの脱出に成功すれば政府と元のお家意外の素敵な異世界を知れるじゃない。ていうか、命惜しくば逃げない選択肢はない。
そうと決まればさっそく寝よう。ホットカーペットの上は温かくて、すぐ眠くなるよね。
布団に潜り電気を消そうとした時、不吉な音とがした。この音は私がとある人の固定にしてる着信の音だ。最悪だ、寝る前にかけてくるとか酷すぎる。仕方なく通信機に手を伸ばす。この世界って電話みたいな通信機あるからほんと時代がわからない。一瞬明治かと思えばくっそ近代的なものがあったりするからほんと都合良すぎる。とりあえず電話相手は遠征から帰ってきたら、絶対にかまってやんない。
「......お掛けになった電話は現在使われておりません。」
「機嫌悪いと居留守使おうとするのやめてよ。後輩、元気?」
通信機から先輩の拗ねた声が流れてくる。
遠征中に呑気なもんだ。
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