私が壊した宝物

キンネス

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一章

逃走開始

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こちら、後輩。こちら、後輩。
これから逃走計画を開始する。今回の計画はこうだ。
まず、昨日仕掛けといたトラップを発動させる。トラップといっても大して害はない。ちょっとだけ唐辛子の粉末を混ぜた水を一定の範囲にばらまかれるかわいい悪戯だ。
そして、ちょっとした小火騒ぎを起こす。本当は廊下に油をぶちまけて滑らせたかったんだが、ここの建物は全部木材製なので木に染み込んでしまう。ので、ここは小火程度に。あわよくば眼鏡燃えろ。チリチリパーマになっちまえ。
しかし、これで大体人が捌けるだろう。後は緊急避難用の経路から外にでればいける。いけるったらいける。

さあ、始めるぞ。
第一段階のトラップ発動!正直これは先輩がもしもように作ったお手製トラップなのでボタン一つで終わる。楽すぎて逆に勢いが削がれる。
とりま、ポチッとな。

どこかで悲鳴が聞こえた気がした。憐れな者たちに多少の救いを。

さて、第2段階いきますか。ここからは慎重に動かないといけない。小火を起こす場所は決まっている。それは一番自分の逃走経路から外れていてかつ、出口から遠い場所だ。
さっき政府の建物は全て木材製なのは知っただろう。全てと言ったが実際は一つだけ例外がある。この政府の中心。中央の全ての部署を管理している塔。その名も胡蝶だ。中央だけ胡蝶という名前があり、他は普通にまんま北の塔、南の塔とかだ。そして、私がいる塔はもちろん胡蝶です。あれ?小火無理じゃない?とか思うでしょ?できるんだなこれが。
書類上胡蝶にいるが私が実際にいるのは北の塔だ。北の塔は人質の管理や幽閉したりするのに使うせいか他の塔とは少し離れている。人通りも少ないので本来なら逃げるのも容易いはずなのだが、最近私を追い出そう企画のため人がよくくる。そんなやつらを、引き付けるために私はいつものようにやってきた眼鏡の足元に爆竹を投げ、小火を起こしたとこまで誘導し、小火に気をとられてる隙に北口の壁に空いた穴に向かって走っている。正直久しぶりの運動はきつい。肺が破裂しそうだ。
あとはこの穴くぐるだけ、よいしょー!ん、だあれ?この足

「あー!!やっぱりここにいたんだぁ。最近いつものとこにいないから探したんだよぉ。今はあの先輩いないのぉ?ちょうどいいねっ、迎えにきたよぉ。蝶姫ちゃん。」

「..........え、なんで。」

「あそこに侵入はできないけど、ここなら全然顔パスなんだぁ。」

最悪な再会だった。


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