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第5章 歯止めをなくした暴走編
起こるべくして起こった事態
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「なぁなぁっ! ちょっとこの家の周りとかグルっとしてきていいか?」
元ワンコ王子、また尻尾出てる。
よっぽど探検に行きたいんだな。
「先に食事を取れ。私が席を外してからそのくらいの時は過ぎていよう?」
俺がそう言った瞬間だった。
くぅ、と可愛らしい音がどこからともなく聞こえる。
「あら。ごめんなさいまし」
音の出所は王妃だったらしく、右手で頬、左手でお腹の辺りを押さえながら、ちよっぴり恥ずかしそうにしていた。
「構わぬ。そろそろ普通の食事は取れそうか?」
「はい。大丈夫ですわ。この子の為にも早く回復しなくては!」
王妃は、自分の為にもお母さんとしても大事な身体だからね。
「ロザリン」
「……っ、はい」
「2人が外に出ている間、手持ち無沙汰になるのが嫌なら赤児の世話を手伝ってみる気はないか?」
「っ! 赤ちゃん! ……あ」
パァッと嬉しそうな顔をしたのは、一瞬で、ロザリンはすぐ、困惑したような表情を浮かべて王妃を見た。
「あの、嫌じゃ、ないですか? わたし、虫人だし。奇形種だし……」
「そんなことないわ。オズ様の仰る通り、貴女が手伝ってくれるなら、わたくしも助かるし、嬉しいわ」
王妃の言葉にロザリンは笑顔を取り戻し、パタパタと反重力揺り籠の傍へと小走りで駆けてきて、アレイスターを覗き込んだ。
「エシェンティーヌ様っ! よろしかったら、わたくしにもお手伝いさせてくださいませ! 赤ちゃんのお世話の仕方、わたくしも知りたいですわ!」
王女もピコハン持ってない方の手を上げて、王妃にそんな申請が向けられた。
「ええ、お願いいたしますわ。たくさんの方に見守られて育つこの子は、きっと種族や生まれで人を差別することのない子に育ってくれるでしょう。これからの時代には、きっと必要なことだわ」
既にもう時代の先、自分の子供達の世代が暮らす世界のことを見据えている彼女は、流石に元王妃であり、お母さんという属性にいる女性だと思う。
元ワンコ王子も素直に嬉しそうな様子を見せるロザリンにホッとした顔をしていたし、師団長もこの和やか空気に安堵の表情を浮かべていた。
そんな時。
チート家内に響き渡る緊急警報じみた音。
「な、何だっ⁈」
「この音は、避難民が現れた時の⁈」
どうやらこの音は、俺以外にも聞こえているらしい。
すぐさま俺の傍でウインドウが開く。
だが、今回は黄色の丸が見当たらない。
結界の1番近くにある丸も赤かった。
「チッ」
思わず漏れ出た舌打ちに、何故かアレイスターを除いた全員が俺を見て、ビクッとなったのが見えた。
あれ? 何か、ドン引きされた? 君達に舌打ちしたんじゃないよー?
なんて言ってる場合じゃない。
俺の脳裏には、虫人達の追跡隊と話していた時、唯一発話しなかった上半身クワガタな虫人の姿が浮かんでいた。
多分、追跡隊の中に居て、それとなく王妃達を悠久の地に逃げるよう仕向けてきたのは、あいつなんじゃなかろうかと俺は踏んでいた。
この赤い丸、きっとあのクワガタ人だ。
直感的にそう感じて、俺は窓の外へ目をやると視界ギリギリの森へと転移した。
「オズワルド様っ!」
王女が呼ぶ声が聞こえたけれど、既に転移してしまっていた俺は、そのまま結界壁の方へと連続転移で移動する方を選んだ。
元ワンコ王子、また尻尾出てる。
よっぽど探検に行きたいんだな。
「先に食事を取れ。私が席を外してからそのくらいの時は過ぎていよう?」
俺がそう言った瞬間だった。
くぅ、と可愛らしい音がどこからともなく聞こえる。
「あら。ごめんなさいまし」
音の出所は王妃だったらしく、右手で頬、左手でお腹の辺りを押さえながら、ちよっぴり恥ずかしそうにしていた。
「構わぬ。そろそろ普通の食事は取れそうか?」
「はい。大丈夫ですわ。この子の為にも早く回復しなくては!」
王妃は、自分の為にもお母さんとしても大事な身体だからね。
「ロザリン」
「……っ、はい」
「2人が外に出ている間、手持ち無沙汰になるのが嫌なら赤児の世話を手伝ってみる気はないか?」
「っ! 赤ちゃん! ……あ」
パァッと嬉しそうな顔をしたのは、一瞬で、ロザリンはすぐ、困惑したような表情を浮かべて王妃を見た。
「あの、嫌じゃ、ないですか? わたし、虫人だし。奇形種だし……」
「そんなことないわ。オズ様の仰る通り、貴女が手伝ってくれるなら、わたくしも助かるし、嬉しいわ」
王妃の言葉にロザリンは笑顔を取り戻し、パタパタと反重力揺り籠の傍へと小走りで駆けてきて、アレイスターを覗き込んだ。
「エシェンティーヌ様っ! よろしかったら、わたくしにもお手伝いさせてくださいませ! 赤ちゃんのお世話の仕方、わたくしも知りたいですわ!」
王女もピコハン持ってない方の手を上げて、王妃にそんな申請が向けられた。
「ええ、お願いいたしますわ。たくさんの方に見守られて育つこの子は、きっと種族や生まれで人を差別することのない子に育ってくれるでしょう。これからの時代には、きっと必要なことだわ」
既にもう時代の先、自分の子供達の世代が暮らす世界のことを見据えている彼女は、流石に元王妃であり、お母さんという属性にいる女性だと思う。
元ワンコ王子も素直に嬉しそうな様子を見せるロザリンにホッとした顔をしていたし、師団長もこの和やか空気に安堵の表情を浮かべていた。
そんな時。
チート家内に響き渡る緊急警報じみた音。
「な、何だっ⁈」
「この音は、避難民が現れた時の⁈」
どうやらこの音は、俺以外にも聞こえているらしい。
すぐさま俺の傍でウインドウが開く。
だが、今回は黄色の丸が見当たらない。
結界の1番近くにある丸も赤かった。
「チッ」
思わず漏れ出た舌打ちに、何故かアレイスターを除いた全員が俺を見て、ビクッとなったのが見えた。
あれ? 何か、ドン引きされた? 君達に舌打ちしたんじゃないよー?
なんて言ってる場合じゃない。
俺の脳裏には、虫人達の追跡隊と話していた時、唯一発話しなかった上半身クワガタな虫人の姿が浮かんでいた。
多分、追跡隊の中に居て、それとなく王妃達を悠久の地に逃げるよう仕向けてきたのは、あいつなんじゃなかろうかと俺は踏んでいた。
この赤い丸、きっとあのクワガタ人だ。
直感的にそう感じて、俺は窓の外へ目をやると視界ギリギリの森へと転移した。
「オズワルド様っ!」
王女が呼ぶ声が聞こえたけれど、既に転移してしまっていた俺は、そのまま結界壁の方へと連続転移で移動する方を選んだ。
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