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第1章 ウィムンド王国編 2
報告その1 -強姦未遂騎士の末路 2-
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「……殿下、そちらの魔導具を証拠の1つとしてお預かりすることは可能でしょうか?」
「ダメではないが、この国での裁判資料という意味でなら出力したものでよいのではないか?」
公爵から問われたことにそう答えたアーウィンは、手元の魔導具についている細かな突起をまた指先でプチプチとやってから左手を頭上の何もない空間へと伸ばした。
すると丁度、その辺りに機械的な擦過音が響いて、現れた横一直線の光帯から、ペラペラに薄い物が押し出されて来た。
アーウィンが指先でそれを摘むとシャキッと鋏で薄い布地を切っているような音がして、ペラペラな物は彼の指先を支点に重力へ逆らうことなく、べろん、と下方に降りて光の帯は消えていった。
「うむ。これでどうだ?」
ペラペラな物を1度眺めて頷いたアーウィンが、それを公爵へと差し出す。
「なっ⁈」
疑問符に包まれたような顔でそれを受け取った公爵が、驚きに1音上げて手元の物と少し上の空間に映し出されている映像とを交互に見比べているような動きを繰り返した。
「それで承認されぬようなら魔導具を提出しよう。構わぬか?」
「……はい……承知いたしました」
「? ……おい。この5人を連行して地下牢にぶち込んでおけ! 残りの者は早く荷台を持って来い!」
「はっ!」
公爵の手に渡された物が気にはなるものの、それよりもまずは、とばかりに子爵が令を発すると残りの騎士達から10人程が抜けて、彼等の身体に手枷の法術をかける魔導具を触れさせた。
隷属の一歩手前とでも言うべき効力を持つそれは、填められた者のステータスを強制的に下げ、魔力から魔法を作り上げることを阻害して、魔法を封じてしまう効力のあるもので、魔法ではなく法術、という未解明な技術が使われていた。
これは、とある古代文明の遺物の劣化コピー版で、言わずと知れたヴェルザリスの魔導具だったのだが、それにこの場で気づいているのはアーウィンだけだった。
「殿下。此奴に巻きついておる蔦のような物は、退けることが可能ですか?」
「問題ない」
他の騎士達が裏庭へと駆けて行くのを尻目に子爵が問いかけて来たことへ、指先を擦ることで地から伸びる蔦が一瞬にして金の光粒となって消えた。
捕縛された者1人につき左右1人づつがつく形でしっかりと彼等5人を捕らえた騎士達は、命令通り地下牢へと連行する為、彼等も裏庭から試験闘技場へと連れ出して行く。
「殿下。あの5人は、我が騎士団の名にかけて、公正な裁きにかけると誓います。重ね重ね、お手数をおかけいたしましたことをお詫び申し上げます」
「うむ」
そう告げて深々と頭を下げた公爵を視界に入れた茶髪騎士が、悔しげに奥歯を噛み締めた。
「あの女は平民だぞ⁈ 俺は貴族なんだ! 平民ごときをどうしようと貴族である俺の自由だろ⁈ 他国の王子だか何だか知らないが、本当か嘘かも分かんないような身分を振り翳してるお前なんかの所為で、何で俺がこんな目に遭わされなくちゃならないんだ‼ 他国の王族気取るなら、それらしく異国の地では大人しくしてろよ⁈」
常、己がそうと認識しているままに叫べば、両側で自分を拘束している同僚達に力任せで再び地へ押さえつけられた。
それでも無理矢理、視線だけをアーウィンに向けて睨みつけると彼は、怒りも呆れも含まない、凪いだ瞳をこちらへと向けていた。
「私は地上の国々に於ける倫理やこの国の法が、どの程度の物であるのか詳しくは分からぬが、例え国の法がそれを許していようとも冥界でその言い訳は通用せぬものと心得よ」
国や人の法律で罪にならないからと言って、地獄の裁判でもそれが罪にならない訳ではない。
御伽噺で済ませて一笑に附すのも忘れ去るのも勝手だが、それで地獄へ行った時、裁かれる罪が消える訳でもないというのに、何故、人々はいつしかそれが当然のように叶うのだと誤認するようになってしまったのだろうか。
そんな思いを胸にアーウィンが口を開く。
「……そなた達、1人1人についておる倶生神は、母の胎内に居る時よりそなた達の生涯を見届け、その生に於ける善行と悪行を一切の手心を加えることなく罪科総記録所へと都度都度、報告して居る。心ない者が自分の都合を優先し、勝手に作った悪法や抜け道により、この世の罪科を逃れようとも、それはあの世での罪へ更に加算されるだけとなり、消えてなくなる訳ではない。寧ろ冥界で下される裁可は重くなるだけだ」
「殿下が、縁もゆかりもなかった我が国の者達に自国の民同様の御慈悲をかけてくださるのは、御自身にもかかるだろう冥界の法を気にかけてのことなのですか?」
ふと気になったのだろう。
子爵がそんな言葉を紡いで彼の真意を探るような目を向けた。
「それもないとは言わぬが、私自身の性分もあるし、何より、あの世とこの世、精霊界と神界・管理界を交えた世の三理というものを知ってしまうと “未必の故意でも故意は故意” “察していて、知っていて、それでも尚、事を為す愚行” ということへの忌避感が凄まじいのだよ」
「すみません。わたくしは “かんりかい” と “さんり” という言葉を初めて耳にしたのですが、それはどのようなものなのでしょうか?」
スッと右手を上げたフェリシティアが問いかけたことは、この場の大半の者の知識にはない単語だった。
「管理界というのは、人々が神や仏と呼ぶ者達とこの世界とを文字通り、管理している管理界神と呼ばれる者達の居る次元世界のこと。三理というのは……色々とあるが、此度の場合はその中の1つである “人の理” に於いて語られるものにある “自分がされたら嫌だと思うことを相手の立場に立って考えず、己の都合や嗜好、一時の快楽や満足の為に敢えて行うこと” を指している、と考えればよい」
「なるほど。それでこの国の者達の倫理、というお話しになるのですね?」
「そうだ」
フェリシティア同様、浅いながらもそれを理解した者達は “何だ、普通のことじゃないか” と思えるだけの良心を持っていたのだろう。
それから外れた者として5人が扱われているのだということを再認識して、冷めた視線を彼等に向け始めた。
「私には、その茶髪騎士達が、たくさんの男に囲まれて無理矢理全裸に脱がされた挙句、複数の男に犯されるという出来事が、己の身に起きて、それを何とも思わない。それでも尚、そんなことをした者達と共にこれからも同じ場所で仕事をし、事あるごとに同じ目に遭わされるかもしれない不安を抱えながら生きて行かねばならないということが、どういうことなのかを真に理解して事を為したとは到底、思えぬのでな」
「分かってるさ!」
ほぼ、認識通りのことを口にしたアーウィンに公爵達や他の騎士達は皆、小さく頷いていたのだが、この後に及んで5人の見解は違うようだった。
「男漁りをする為に騎士になったような女を相手してやって何が悪いって言うんだ!」
「それは、そなた達が己に都合よく、勝手に思い込んでいたことで、彼女の目的はそんなことではなかった上に、そのような扱いを受けることを欠片も望んでなぞいなかったのだがな? 身分差と上下関係から抵抗しても意味がないと半ば諦めてはいたようだが、それすらもこの国の法がそれを認め、許している訳ではないというのが、公爵達の態度からは窺える……これは最早、家や貴族学校などで刷り込まれる教育の差と考えるべきなのか?」
「お待ちください! 少なくとも我が国の教育の場で、堂々とそのようなことをやって良しとは教えてなどおりませぬぞ⁈」
流石に国がそれを許容していると認識されたくはなかったのだろう。
泡を食ったような勢いで公爵がそれを強く否定した。
「ではやはり、個人の資質ということか?」
「煩い! ねるぐりふぁ、だか何だか知らないが死んだ時にどうこうされるとか、本当にある訳ないだろ⁈」
「そうだそうだ! そんなありもしないことを根拠にして俺達を罪人扱いするな‼︎」
「貴族が平民を好きに扱って何が悪い! 皆、やってることじゃないか!」
「死んでから何されたって別に痛くも痒くもないんだしな! 死んでるんだからよ‼︎」
子供っぽい御伽噺を信じて、それを元に自分達を断罪しようとしている、というのが彼等の主張なのだろう。
例え、公爵によってこの国の裁判にかけられたとしても相手は平民。
ちょっと注意されるだけで、大した罪になどならないのが通例なのだから、自分達は悪くない。
それが当たり前だと思っているのが丸わかりの叫びだった。
「……分かった。では体験してくるがよい」
「えっ?」
「Channel Open! Live 冥界、罪科総記録所!」
アーウィンが、呪文というより何かのかけ声か命令文のような言葉を口にすると何もなかった空間に平たい四角が現れて、白と黒と灰色で構成された横線が横向きのランダムで行ったり来たりしているようなものが映し出された。
「ザッハラウデン殿!」
アーウィンが、その名を呼ばわると平たい四角が像を結び、1人の男を映し出した。
肩まである長さを持った色素の薄い金の髪。
少し黒を足したような青っぽい肌の色と鮮やかな朱紅の瞳。
パッと見で、厳しそうとか怖そう、という印象を無条件に抱いてしまう、ゴツくはないが締まりのキツい相貌。
頭頂の左右には歳を経た雄山羊を思わせる捻れたデコボコした角が左右一対。
口元にも上顎から猫科の大型獣を連想させる牙が覗いていた。
「……アーウィンではないか。如何した?」
訝しむというよりは、単なる疑問であることが分かる穏やかな低い声。
平たい四角に映る、ザッハラウデンと呼ばれた男が軽く周囲の者達を視線だけで確かめるような仕草をして、そう尋ね返してきた。
「ダメではないが、この国での裁判資料という意味でなら出力したものでよいのではないか?」
公爵から問われたことにそう答えたアーウィンは、手元の魔導具についている細かな突起をまた指先でプチプチとやってから左手を頭上の何もない空間へと伸ばした。
すると丁度、その辺りに機械的な擦過音が響いて、現れた横一直線の光帯から、ペラペラに薄い物が押し出されて来た。
アーウィンが指先でそれを摘むとシャキッと鋏で薄い布地を切っているような音がして、ペラペラな物は彼の指先を支点に重力へ逆らうことなく、べろん、と下方に降りて光の帯は消えていった。
「うむ。これでどうだ?」
ペラペラな物を1度眺めて頷いたアーウィンが、それを公爵へと差し出す。
「なっ⁈」
疑問符に包まれたような顔でそれを受け取った公爵が、驚きに1音上げて手元の物と少し上の空間に映し出されている映像とを交互に見比べているような動きを繰り返した。
「それで承認されぬようなら魔導具を提出しよう。構わぬか?」
「……はい……承知いたしました」
「? ……おい。この5人を連行して地下牢にぶち込んでおけ! 残りの者は早く荷台を持って来い!」
「はっ!」
公爵の手に渡された物が気にはなるものの、それよりもまずは、とばかりに子爵が令を発すると残りの騎士達から10人程が抜けて、彼等の身体に手枷の法術をかける魔導具を触れさせた。
隷属の一歩手前とでも言うべき効力を持つそれは、填められた者のステータスを強制的に下げ、魔力から魔法を作り上げることを阻害して、魔法を封じてしまう効力のあるもので、魔法ではなく法術、という未解明な技術が使われていた。
これは、とある古代文明の遺物の劣化コピー版で、言わずと知れたヴェルザリスの魔導具だったのだが、それにこの場で気づいているのはアーウィンだけだった。
「殿下。此奴に巻きついておる蔦のような物は、退けることが可能ですか?」
「問題ない」
他の騎士達が裏庭へと駆けて行くのを尻目に子爵が問いかけて来たことへ、指先を擦ることで地から伸びる蔦が一瞬にして金の光粒となって消えた。
捕縛された者1人につき左右1人づつがつく形でしっかりと彼等5人を捕らえた騎士達は、命令通り地下牢へと連行する為、彼等も裏庭から試験闘技場へと連れ出して行く。
「殿下。あの5人は、我が騎士団の名にかけて、公正な裁きにかけると誓います。重ね重ね、お手数をおかけいたしましたことをお詫び申し上げます」
「うむ」
そう告げて深々と頭を下げた公爵を視界に入れた茶髪騎士が、悔しげに奥歯を噛み締めた。
「あの女は平民だぞ⁈ 俺は貴族なんだ! 平民ごときをどうしようと貴族である俺の自由だろ⁈ 他国の王子だか何だか知らないが、本当か嘘かも分かんないような身分を振り翳してるお前なんかの所為で、何で俺がこんな目に遭わされなくちゃならないんだ‼ 他国の王族気取るなら、それらしく異国の地では大人しくしてろよ⁈」
常、己がそうと認識しているままに叫べば、両側で自分を拘束している同僚達に力任せで再び地へ押さえつけられた。
それでも無理矢理、視線だけをアーウィンに向けて睨みつけると彼は、怒りも呆れも含まない、凪いだ瞳をこちらへと向けていた。
「私は地上の国々に於ける倫理やこの国の法が、どの程度の物であるのか詳しくは分からぬが、例え国の法がそれを許していようとも冥界でその言い訳は通用せぬものと心得よ」
国や人の法律で罪にならないからと言って、地獄の裁判でもそれが罪にならない訳ではない。
御伽噺で済ませて一笑に附すのも忘れ去るのも勝手だが、それで地獄へ行った時、裁かれる罪が消える訳でもないというのに、何故、人々はいつしかそれが当然のように叶うのだと誤認するようになってしまったのだろうか。
そんな思いを胸にアーウィンが口を開く。
「……そなた達、1人1人についておる倶生神は、母の胎内に居る時よりそなた達の生涯を見届け、その生に於ける善行と悪行を一切の手心を加えることなく罪科総記録所へと都度都度、報告して居る。心ない者が自分の都合を優先し、勝手に作った悪法や抜け道により、この世の罪科を逃れようとも、それはあの世での罪へ更に加算されるだけとなり、消えてなくなる訳ではない。寧ろ冥界で下される裁可は重くなるだけだ」
「殿下が、縁もゆかりもなかった我が国の者達に自国の民同様の御慈悲をかけてくださるのは、御自身にもかかるだろう冥界の法を気にかけてのことなのですか?」
ふと気になったのだろう。
子爵がそんな言葉を紡いで彼の真意を探るような目を向けた。
「それもないとは言わぬが、私自身の性分もあるし、何より、あの世とこの世、精霊界と神界・管理界を交えた世の三理というものを知ってしまうと “未必の故意でも故意は故意” “察していて、知っていて、それでも尚、事を為す愚行” ということへの忌避感が凄まじいのだよ」
「すみません。わたくしは “かんりかい” と “さんり” という言葉を初めて耳にしたのですが、それはどのようなものなのでしょうか?」
スッと右手を上げたフェリシティアが問いかけたことは、この場の大半の者の知識にはない単語だった。
「管理界というのは、人々が神や仏と呼ぶ者達とこの世界とを文字通り、管理している管理界神と呼ばれる者達の居る次元世界のこと。三理というのは……色々とあるが、此度の場合はその中の1つである “人の理” に於いて語られるものにある “自分がされたら嫌だと思うことを相手の立場に立って考えず、己の都合や嗜好、一時の快楽や満足の為に敢えて行うこと” を指している、と考えればよい」
「なるほど。それでこの国の者達の倫理、というお話しになるのですね?」
「そうだ」
フェリシティア同様、浅いながらもそれを理解した者達は “何だ、普通のことじゃないか” と思えるだけの良心を持っていたのだろう。
それから外れた者として5人が扱われているのだということを再認識して、冷めた視線を彼等に向け始めた。
「私には、その茶髪騎士達が、たくさんの男に囲まれて無理矢理全裸に脱がされた挙句、複数の男に犯されるという出来事が、己の身に起きて、それを何とも思わない。それでも尚、そんなことをした者達と共にこれからも同じ場所で仕事をし、事あるごとに同じ目に遭わされるかもしれない不安を抱えながら生きて行かねばならないということが、どういうことなのかを真に理解して事を為したとは到底、思えぬのでな」
「分かってるさ!」
ほぼ、認識通りのことを口にしたアーウィンに公爵達や他の騎士達は皆、小さく頷いていたのだが、この後に及んで5人の見解は違うようだった。
「男漁りをする為に騎士になったような女を相手してやって何が悪いって言うんだ!」
「それは、そなた達が己に都合よく、勝手に思い込んでいたことで、彼女の目的はそんなことではなかった上に、そのような扱いを受けることを欠片も望んでなぞいなかったのだがな? 身分差と上下関係から抵抗しても意味がないと半ば諦めてはいたようだが、それすらもこの国の法がそれを認め、許している訳ではないというのが、公爵達の態度からは窺える……これは最早、家や貴族学校などで刷り込まれる教育の差と考えるべきなのか?」
「お待ちください! 少なくとも我が国の教育の場で、堂々とそのようなことをやって良しとは教えてなどおりませぬぞ⁈」
流石に国がそれを許容していると認識されたくはなかったのだろう。
泡を食ったような勢いで公爵がそれを強く否定した。
「ではやはり、個人の資質ということか?」
「煩い! ねるぐりふぁ、だか何だか知らないが死んだ時にどうこうされるとか、本当にある訳ないだろ⁈」
「そうだそうだ! そんなありもしないことを根拠にして俺達を罪人扱いするな‼︎」
「貴族が平民を好きに扱って何が悪い! 皆、やってることじゃないか!」
「死んでから何されたって別に痛くも痒くもないんだしな! 死んでるんだからよ‼︎」
子供っぽい御伽噺を信じて、それを元に自分達を断罪しようとしている、というのが彼等の主張なのだろう。
例え、公爵によってこの国の裁判にかけられたとしても相手は平民。
ちょっと注意されるだけで、大した罪になどならないのが通例なのだから、自分達は悪くない。
それが当たり前だと思っているのが丸わかりの叫びだった。
「……分かった。では体験してくるがよい」
「えっ?」
「Channel Open! Live 冥界、罪科総記録所!」
アーウィンが、呪文というより何かのかけ声か命令文のような言葉を口にすると何もなかった空間に平たい四角が現れて、白と黒と灰色で構成された横線が横向きのランダムで行ったり来たりしているようなものが映し出された。
「ザッハラウデン殿!」
アーウィンが、その名を呼ばわると平たい四角が像を結び、1人の男を映し出した。
肩まである長さを持った色素の薄い金の髪。
少し黒を足したような青っぽい肌の色と鮮やかな朱紅の瞳。
パッと見で、厳しそうとか怖そう、という印象を無条件に抱いてしまう、ゴツくはないが締まりのキツい相貌。
頭頂の左右には歳を経た雄山羊を思わせる捻れたデコボコした角が左右一対。
口元にも上顎から猫科の大型獣を連想させる牙が覗いていた。
「……アーウィンではないか。如何した?」
訝しむというよりは、単なる疑問であることが分かる穏やかな低い声。
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