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第1章 ウィムンド王国編 2
報告その1 -強姦未遂騎士の末路 4-
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「拘束されているそこの5人が該当者だ。連行せよ」
ザッハラウデンの言葉に黒と紅の渦から何者かが躍り出る。
『hhhhhhhhhyyyyyuuuueeeeee!!!』
この世の物とは思えないような音声を発しながら空を駆けたのは、レリーフに表されているのと同じ、深い緑がかった黒の外套を纏う骸骨のような者だった。
右手に持った巨大な鎌が振り上げられ、柄の途中にある持ち手を握った左手が、それを修正するような動きをして、右袈裟の軌道が少し横薙ぎの閃に変わった。
「ひいっ‼︎」
寸分の狂いなく茶髪騎士の首を断った鎌刃は、見た目に反してその首を落とすことはなく、代わりに頭上へと真っ黒いバッテンを描き出した。
「よ、寄るなあっ‼ こっちに来るなあっ‼︎︎」
使い終えた鎌を骨と布だけの肩へと担いで、茶髪騎士へと傍寄った骸骨は、彼の叫びを完全に無視して骨だけの右人差し指で黒いバッテンの上へと見たことのない記号状の物を数文字分綴ると、何事もなかったかのように彼の傍を離れた。
代わりに、同じレリーフに象られている水牛のような角を左右2対づつ頭横から生やし、黒紫色の肌をしたオーガみたいな者が彼へと近づいて行く。
徐に茶髪騎士の頭を左手で鷲掴んだと思ったら、力任せに前へと引き倒すような動作をした。
……が。
両側の騎士が捕まえていた身体は、微動だにすることなく、そのままそこにあった。
(……え? 何で⁈)
(嘘だろ⁈ 今、間違いなく前に物凄い勢いで引っ張られる感覚がしたのに……‼︎)
全ての力が抜けたようにダランと弛緩した茶髪騎士の身体を捕らえていた騎士2人もハッキリそうと分かるくらい顔色が悪い。
黒紫のオーガのような者の左手に掴まれているのは、確かに茶髪騎士の頭。
だがその見た目は、実際の姿とは違って鎧も服も着ておらず、全体的にボンヤリとした半透明な見た目になっていた。
掴んでいた頭を地に押し付けるような格好で固定した黒紫のオーガが開いた右手を頭上へ掲げると、そこに柱程の太さがある槍状の金属物が現れた。
それは、迷うことなく茶髪騎士の身体の中央へと振り下ろされる。
『げぶっ‼︎』
血ではないが、血のように見える何かを口から吐き出した茶髪騎士が潰された沼蛙みたいな音を出して、ぐったりとした半透明の身体は動かなくなった。
一仕事終えた骸骨と黒紫のオーガが残りの4人へ、ゆらぁり、と顔を向ける。
「ば、バケモンだぁ‼︎」
「離せえぇ‼︎ 離してくれえぇぇ‼︎」
「やめろ! やめてくれっ‼︎」
「嫌だぁ‼︎ 死にたくないっ! 俺は悪くないぃぃぃ‼︎」
目の前の出来事が、己の身にも近しい未来に起こるのだと悟ったのだろう。
4人は必死に叫び続けたけれど、半ば硬直したような両側の騎士達は、決して彼等を離さず、寧ろ、もし逃げられたら代わりに自分が同じ目に遭わされるかもしれない、という、もしもの恐怖が手伝って彼等を捕らえている力は、増してすらいた。
「ア、アーウィン殿下ぁ、あれ、何なのニャア……?」
本能的に湧き上がってくる恐怖を抑えることが出来ず、ガタガタと震えながら問うてきたミューニャは、アーウィンの背後からコッソリと骸骨と黒紫のオーガを覗き見ていた。
両手で彼の着ている上着、右の二の腕辺りの生地を必死に掴んでいるからか一部に物凄いシワが寄っていた。
「伝承の、書に見る、死神と、鬼神のように、見えます、けれども?」
同じくアーウィンの左腕を胸の谷間に抱え込み、両腕でギューっと抱き締めて……もとい、アーウィンの左腕に両腕で必死しがみついて、途切れ途切れな質を投げたのは、フェリシティア。
「物知りだな、フェリシティア嬢。その通り。彼等は罪科総記録所にある連行課の職員。獄卒の方々だ」
“連行課の職員”。
魔法陣の上にある禍々しい見た目の門から出てきた異形達に対して、唐突に出てきたお役所仕事的な名称が齎す、どうにも場違い感満載な空気は、ほんの一瞬だけ、この場に漂っていた畏怖の念を疑問符に塗り替えていた。
「連中の元々の身体を見ると頭の上に黒いバツ印が見えるだろう?」
「……っ、はい」
「あれは本来、理由の別なく “もう時期この者が死ぬ” という印に死神の役職に就く獄卒達が付けてゆく兆候印なのだ。だが、今回はあくまでも体験入獄なので、上に書いてある文字で1週間の仮死、という扱いにしているのだよ。地面で杭に固定されているのが連中の魂で、身体からそれを抜き取っていたのが、魂抜士と呼ばれる役職の獄卒だ。今回は体験入獄なので2者が同時に来ているが、普通は別々にやってくることになるな」
「では、あの身体から魂とやらに繋がっているように見えるのが、俗に言う “連結線” ですかな?」
アーウィンの説明を耳にして、心当たりのあった単語をフリュヒテンゴルト公爵が確認の意で問いかける。
「そうだ。言われ方は様々あるようだが、要するに魂と肉体とを繋げているものだ」
『本当に死ぬる時はよぉ、俺ら魂抜士が、コイツをチョパッとブッた切るのだよぉ!』
『hyuet, hyuet, hyuet, hyuet, hyuet!』
体躯相応の重低音で紡がれた事柄とカタカタ音を鳴らしながら笑う骸骨にアーウィンを除くその場の者達は、一様に固唾を飲み込み、息を詰めた。
「……さ、左様で……」
自分の疑問に答えてくれたから、という義務感だけで、どうにかこうにか公爵が返答らしきものを溢した。
「では、この者達は預かる。また1週間後にな? アーウィン」
「はい。よろしくお願い致します」
ザッハラウデンの言葉にアーウィンが了承の答えを返すと同時に柱槍に貫かれたまま地床より引き抜かれた5人の魂が、魂抜士によって纏めて肩へと担がれた。
そのまま門中の黒と紅の渦へと連れ込まれそうになって、5人がバタバタと暴れ出す。
「うわあぁぁぁぁぁぁ‼︎」
「嫌だあ‼︎」
「信じる! 冥界があること信じるから!」
「もう平民を虐げたりしないから‼︎」
「助けてくれっ‼︎」
どんなに踠いても柱槍は抜けることなく、魂抜士からも逃れられる訳はなく。
5人の騎士達と2人の獄卒は門の向こうの謎空間へと消えてゆく。
それを見届けたアーウィンが右の指先を擦ると地床に描かれた魔法陣共々、禍々しい門は何処かへと還っていった。
残されたのは、この場の空間に浮かんだままの四角とそこへ映るザッハラウデンの姿。
やがて、その四角の中へと連行されて行った5人の騎士も映し出されたことで、ハッキリと彼等が連れて行かれたのだということが視認出来た。
「此度は、あくまでも体験入獄。だが、そなた達は、もし今すぐに死したのならば、地獄神の裁きにより、脅威の高確率で大姦淫罪地獄へ堕獄となり、冥界時間で悠に512年は呵責を受けることとなる。勿論、姦淫以外の罪があれば、それも加算され、違う地獄へも引き回されることとなる。今、これらを体験したからと言って死後、そなたらの罪が消える訳ではないが、これ以上、同じ罪を現世に戻った後に繰り返さねば、この体験入獄を受けることによって、僅かではあるものの減刑の対象にはなる。心して己が罪を悔い、贖い、性根を改めるがよい」
5人の騎士達は、ザッハラウデンがそう説明する間も完全に怯え、目が泳いでいた。
唐突に冥界という未知の世界へ連れ込まれ、自分の中ではどうということもないと断じていたことを罪であると突きつけられた。
その上、これから “呵責” という何をされるか分からない目に遭わされるのだけが知れていて、より一層、彼等の恐怖を煽っていた。
「連れてゆけ」
「はっ!」
魂抜士がザッハラウデンの指示を受諾して、5人に刺さったままだった柱槍を掴み、肩へと担いで再び彼等を何処かへ連れてゆく。
ギャアギャア騒ぐ声が遠ざかるのを見計らってザッハラウデンの視線が改めてこちらを向いた。
「良い機会だ。そこな者達も体験入獄の様子を見てゆくといい。構わぬな? アーウィン?」
「時が許します限りは。期間である1週間、ギルド側で問題がないのであれば、Channel表示をこのまま繋げておきましょう」
「うむ。この機会に地上の者達が、我等冥界の者達と地獄への堕獄に対する意識、理解の双方を高めてくれることを願うよ」
「はい」
「ではな」
アーウィンの返事にそう答えて話を切り上げたザッハラウデンの姿が消えると空間に浮かぶ四角は違う場所を映し出したようで、背後に切り立った崖だけで構成されたような険しい山々が現れた。
四角の中では、こちらへと向かってくる4人の魂抜士の姿が見える。
5人の騎士を担いでいた魂抜士がそれに合流すると、各1人につき騎士1人を柱槍ごと渡していった。
「殿下ぁ? “かしゃく” って、どんなことするのニャあ?」
「うむ。そうだなぁ……今回の体験入獄は、強姦及び強姦未遂に関する罪を抜き出した形で、大姦淫罪地獄への堕獄体験となるようだから、呵責の内容はそれに準じたものだろう。先程も言ったが、他人からされて嫌なことは自分からも他人にしない、これを基本としていることから、されたらどう感じるものなのかを実体験させ、己の感じたことを来世に活かせるよう、業として魂へと刻み込むのが呵責のベースだ。ゆえに……」
そこまでアーウィンが説明した時だった。
「ぐぎゃああああああああっ‼︎」
空間に浮かぶ四角より大絶叫が響いて、試験闘技場に居た者達、全ての視線がそこへと集中した。
一体、何をしたと言うのだろう。
茶髪騎士の身体が、より深く柱槍に貫かれていた。
ザッハラウデンの言葉に黒と紅の渦から何者かが躍り出る。
『hhhhhhhhhyyyyyuuuueeeeee!!!』
この世の物とは思えないような音声を発しながら空を駆けたのは、レリーフに表されているのと同じ、深い緑がかった黒の外套を纏う骸骨のような者だった。
右手に持った巨大な鎌が振り上げられ、柄の途中にある持ち手を握った左手が、それを修正するような動きをして、右袈裟の軌道が少し横薙ぎの閃に変わった。
「ひいっ‼︎」
寸分の狂いなく茶髪騎士の首を断った鎌刃は、見た目に反してその首を落とすことはなく、代わりに頭上へと真っ黒いバッテンを描き出した。
「よ、寄るなあっ‼ こっちに来るなあっ‼︎︎」
使い終えた鎌を骨と布だけの肩へと担いで、茶髪騎士へと傍寄った骸骨は、彼の叫びを完全に無視して骨だけの右人差し指で黒いバッテンの上へと見たことのない記号状の物を数文字分綴ると、何事もなかったかのように彼の傍を離れた。
代わりに、同じレリーフに象られている水牛のような角を左右2対づつ頭横から生やし、黒紫色の肌をしたオーガみたいな者が彼へと近づいて行く。
徐に茶髪騎士の頭を左手で鷲掴んだと思ったら、力任せに前へと引き倒すような動作をした。
……が。
両側の騎士が捕まえていた身体は、微動だにすることなく、そのままそこにあった。
(……え? 何で⁈)
(嘘だろ⁈ 今、間違いなく前に物凄い勢いで引っ張られる感覚がしたのに……‼︎)
全ての力が抜けたようにダランと弛緩した茶髪騎士の身体を捕らえていた騎士2人もハッキリそうと分かるくらい顔色が悪い。
黒紫のオーガのような者の左手に掴まれているのは、確かに茶髪騎士の頭。
だがその見た目は、実際の姿とは違って鎧も服も着ておらず、全体的にボンヤリとした半透明な見た目になっていた。
掴んでいた頭を地に押し付けるような格好で固定した黒紫のオーガが開いた右手を頭上へ掲げると、そこに柱程の太さがある槍状の金属物が現れた。
それは、迷うことなく茶髪騎士の身体の中央へと振り下ろされる。
『げぶっ‼︎』
血ではないが、血のように見える何かを口から吐き出した茶髪騎士が潰された沼蛙みたいな音を出して、ぐったりとした半透明の身体は動かなくなった。
一仕事終えた骸骨と黒紫のオーガが残りの4人へ、ゆらぁり、と顔を向ける。
「ば、バケモンだぁ‼︎」
「離せえぇ‼︎ 離してくれえぇぇ‼︎」
「やめろ! やめてくれっ‼︎」
「嫌だぁ‼︎ 死にたくないっ! 俺は悪くないぃぃぃ‼︎」
目の前の出来事が、己の身にも近しい未来に起こるのだと悟ったのだろう。
4人は必死に叫び続けたけれど、半ば硬直したような両側の騎士達は、決して彼等を離さず、寧ろ、もし逃げられたら代わりに自分が同じ目に遭わされるかもしれない、という、もしもの恐怖が手伝って彼等を捕らえている力は、増してすらいた。
「ア、アーウィン殿下ぁ、あれ、何なのニャア……?」
本能的に湧き上がってくる恐怖を抑えることが出来ず、ガタガタと震えながら問うてきたミューニャは、アーウィンの背後からコッソリと骸骨と黒紫のオーガを覗き見ていた。
両手で彼の着ている上着、右の二の腕辺りの生地を必死に掴んでいるからか一部に物凄いシワが寄っていた。
「伝承の、書に見る、死神と、鬼神のように、見えます、けれども?」
同じくアーウィンの左腕を胸の谷間に抱え込み、両腕でギューっと抱き締めて……もとい、アーウィンの左腕に両腕で必死しがみついて、途切れ途切れな質を投げたのは、フェリシティア。
「物知りだな、フェリシティア嬢。その通り。彼等は罪科総記録所にある連行課の職員。獄卒の方々だ」
“連行課の職員”。
魔法陣の上にある禍々しい見た目の門から出てきた異形達に対して、唐突に出てきたお役所仕事的な名称が齎す、どうにも場違い感満載な空気は、ほんの一瞬だけ、この場に漂っていた畏怖の念を疑問符に塗り替えていた。
「連中の元々の身体を見ると頭の上に黒いバツ印が見えるだろう?」
「……っ、はい」
「あれは本来、理由の別なく “もう時期この者が死ぬ” という印に死神の役職に就く獄卒達が付けてゆく兆候印なのだ。だが、今回はあくまでも体験入獄なので、上に書いてある文字で1週間の仮死、という扱いにしているのだよ。地面で杭に固定されているのが連中の魂で、身体からそれを抜き取っていたのが、魂抜士と呼ばれる役職の獄卒だ。今回は体験入獄なので2者が同時に来ているが、普通は別々にやってくることになるな」
「では、あの身体から魂とやらに繋がっているように見えるのが、俗に言う “連結線” ですかな?」
アーウィンの説明を耳にして、心当たりのあった単語をフリュヒテンゴルト公爵が確認の意で問いかける。
「そうだ。言われ方は様々あるようだが、要するに魂と肉体とを繋げているものだ」
『本当に死ぬる時はよぉ、俺ら魂抜士が、コイツをチョパッとブッた切るのだよぉ!』
『hyuet, hyuet, hyuet, hyuet, hyuet!』
体躯相応の重低音で紡がれた事柄とカタカタ音を鳴らしながら笑う骸骨にアーウィンを除くその場の者達は、一様に固唾を飲み込み、息を詰めた。
「……さ、左様で……」
自分の疑問に答えてくれたから、という義務感だけで、どうにかこうにか公爵が返答らしきものを溢した。
「では、この者達は預かる。また1週間後にな? アーウィン」
「はい。よろしくお願い致します」
ザッハラウデンの言葉にアーウィンが了承の答えを返すと同時に柱槍に貫かれたまま地床より引き抜かれた5人の魂が、魂抜士によって纏めて肩へと担がれた。
そのまま門中の黒と紅の渦へと連れ込まれそうになって、5人がバタバタと暴れ出す。
「うわあぁぁぁぁぁぁ‼︎」
「嫌だあ‼︎」
「信じる! 冥界があること信じるから!」
「もう平民を虐げたりしないから‼︎」
「助けてくれっ‼︎」
どんなに踠いても柱槍は抜けることなく、魂抜士からも逃れられる訳はなく。
5人の騎士達と2人の獄卒は門の向こうの謎空間へと消えてゆく。
それを見届けたアーウィンが右の指先を擦ると地床に描かれた魔法陣共々、禍々しい門は何処かへと還っていった。
残されたのは、この場の空間に浮かんだままの四角とそこへ映るザッハラウデンの姿。
やがて、その四角の中へと連行されて行った5人の騎士も映し出されたことで、ハッキリと彼等が連れて行かれたのだということが視認出来た。
「此度は、あくまでも体験入獄。だが、そなた達は、もし今すぐに死したのならば、地獄神の裁きにより、脅威の高確率で大姦淫罪地獄へ堕獄となり、冥界時間で悠に512年は呵責を受けることとなる。勿論、姦淫以外の罪があれば、それも加算され、違う地獄へも引き回されることとなる。今、これらを体験したからと言って死後、そなたらの罪が消える訳ではないが、これ以上、同じ罪を現世に戻った後に繰り返さねば、この体験入獄を受けることによって、僅かではあるものの減刑の対象にはなる。心して己が罪を悔い、贖い、性根を改めるがよい」
5人の騎士達は、ザッハラウデンがそう説明する間も完全に怯え、目が泳いでいた。
唐突に冥界という未知の世界へ連れ込まれ、自分の中ではどうということもないと断じていたことを罪であると突きつけられた。
その上、これから “呵責” という何をされるか分からない目に遭わされるのだけが知れていて、より一層、彼等の恐怖を煽っていた。
「連れてゆけ」
「はっ!」
魂抜士がザッハラウデンの指示を受諾して、5人に刺さったままだった柱槍を掴み、肩へと担いで再び彼等を何処かへ連れてゆく。
ギャアギャア騒ぐ声が遠ざかるのを見計らってザッハラウデンの視線が改めてこちらを向いた。
「良い機会だ。そこな者達も体験入獄の様子を見てゆくといい。構わぬな? アーウィン?」
「時が許します限りは。期間である1週間、ギルド側で問題がないのであれば、Channel表示をこのまま繋げておきましょう」
「うむ。この機会に地上の者達が、我等冥界の者達と地獄への堕獄に対する意識、理解の双方を高めてくれることを願うよ」
「はい」
「ではな」
アーウィンの返事にそう答えて話を切り上げたザッハラウデンの姿が消えると空間に浮かぶ四角は違う場所を映し出したようで、背後に切り立った崖だけで構成されたような険しい山々が現れた。
四角の中では、こちらへと向かってくる4人の魂抜士の姿が見える。
5人の騎士を担いでいた魂抜士がそれに合流すると、各1人につき騎士1人を柱槍ごと渡していった。
「殿下ぁ? “かしゃく” って、どんなことするのニャあ?」
「うむ。そうだなぁ……今回の体験入獄は、強姦及び強姦未遂に関する罪を抜き出した形で、大姦淫罪地獄への堕獄体験となるようだから、呵責の内容はそれに準じたものだろう。先程も言ったが、他人からされて嫌なことは自分からも他人にしない、これを基本としていることから、されたらどう感じるものなのかを実体験させ、己の感じたことを来世に活かせるよう、業として魂へと刻み込むのが呵責のベースだ。ゆえに……」
そこまでアーウィンが説明した時だった。
「ぐぎゃああああああああっ‼︎」
空間に浮かぶ四角より大絶叫が響いて、試験闘技場に居た者達、全ての視線がそこへと集中した。
一体、何をしたと言うのだろう。
茶髪騎士の身体が、より深く柱槍に貫かれていた。
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