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第1章 ウィムンド王国編 2
報告その7 - 古龍種 操重竜グランドサンスピア 通常種 3 -
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アーウィンに操作されたコンソールが次に画面へと描き出したのは、全身が鈍色になって身体から生える枝葉状だったものが剣状になった先程の個体が、ゆっくりと下降してきながら身に纒う光量とその輝度を増してゆく光景だった。
「今、見て貰っている通り此奴はまず、光属性の力を使い己が身を光らせることで視認性を悪くする防衛行動を1番初めに取ることが多い。自身に影響を感じる光量は種族と個人によって振れ幅があるが、心理的観点から不快を感じる眩しさを表す “不快Gbl” 区分で約22Gbl」
洞窟や夜間の野外を照らす照明となる初級光魔法の明るさから次第に明るさを増して行くそれは、最終的には一瞬で終わる筈の閃光の魔法を継続的に見せられているような眩しさに変わった。
「高い輝度の対比から目が光膜反射を起こし、周囲にある物体を認識し辛くなるなどの生理的観点からの眩しさを表す “不能gbl” 区分で約28gbl」
確かに自然と目を細くしてしまうような明るさから手を翳して眩しさから逃れたくなってくるような明るさを視界に感じて、目を閉じてもこのドラゴンの輪郭形に緑や紫の形が瞼の裏に見えるようで、不快とか不能とかいう話し以前に直視したくなくなってしまった。
「不能Gbl程の影響はないが、視界の把握が難しくなる “減能Gbl” 区分で約19Gbl……ああ、丁度、今くらいの光量を目の前にした時がそれを全て満たしているな」
「……光が眩しくて、もう既にコイツの形とか全然見えないんですけど、これ、実物もっと眩しいってことなんですか?」
「そうだ」
スライが両の瞼をピクピクさせながら無理矢理薄目を開けて問いかけたことにアーウィンの、ごく短い応えが返る。
「姿も見えない状態で、どうやって戦えってのさー?」
「なので、まず此奴を相手取る者は光耐性が必須となる」
「ひかりたいせい……」
不満げに問いかけたアヴィエートにこの国ではステータスとしても認識の薄いだろう項目を論われて、彼女の紡ぐ返答の音程が真っ平らな物となってしまった。
「高度にして約600m付近までの降下が完了すると次に此奴がしてくる攻撃は、この風の極大魔法の行使だ」
それに頓着することなく説明を続けたアーウィンによって光り輝いたままなグランドサンスピアの身体から強い風属性を帯びた魔力が6つ地上に向けて放たれ、一定方向に激しく渦を巻きながら天に向かって風の柱が立ち上がる。
「風系極大魔法の1つ “テンペスティアル・トルネード” 。水平規模は直径で約700m、中心気圧は850psk。それが此奴を中心にして、約60度おきに全6本立ち上がり、外向きに610km/sの速度で移動を開始する。その威力は強固な建造物も基礎ごと吹き飛び、周辺に壊滅的な被害を齎す砲弾と化す。持続時間は最長で約20min(約20分)程になるゆえ、渦巻く極大の風を防ぎ得る手段、もしくは風耐性が必要となる」
「…………」
映像に映し出されているのは、彼の言葉が示す通り、地上にあった建物や荷車があっと言う間に空へと巻き上げられ、互いにぶつかり合いながら、バラバラに崩れ去って行く様子だった。
その様子を邪魔することなく開かれたもう一枚の画面には、大きな尖った石の塊。
何となく、その大きさが岩サイズありそうな気がしたのは、対比として側近くに置かれている硬貨が、時折、古代遺跡から見つかることのある代物でこの場の者は皆、一度は見たことのある物であったことも手伝っていただろう。
「もう1つ。この放たれた風系極大魔法の内には此奴が土属性魔法で作り出した尖岩が含まれている。映し出されている尖岩が、我が国の王立古龍研究所が所有する観測史上最大の尖岩で、全長5m、最大直径50cm、重量は約36tgkこれが竜巻の中へ無数に飛び交い、地上から巻き上げた樹木や建造物を交えて飛んで来ることとなる」
「殿下ぁ。このドラゴン、風の極大魔法とその尖岩を作る土属性魔法、同時行使してるってことなのぉ?」
「そうなるな」
「あはっ。無理無理。そんなの誰が勝てんのよー」
「殿下なら単独でも勝てるのニャ。ね! アーウィン殿下っ?」
アヴィエートが諦め空気満載で突っ込んだことに、ごく明るい調子で答えたのは、当のアーウィンではなくミューニャだった。
念の為チックな様子で最後にアーウィンへと問いかけを振り返していたが、その顔にもその声にもアーウィンの勝利をカケラも疑う色がない。
「まぁ、古龍程度ならば私一人で問題はないが、だからと言って備えを怠られては困るのだがな?」
「ニャー! どうせカルドランスあるんだから備える時間はあるのニャ!」
「ミューニャ! 隣国を緩衝材扱いすんなっ!」
ミューニャが、さも当然のように南の隣国カルドランスを盾にする発言をかましたことにボルガーが秒すら置かずに突っ込みを入れたけれど。
「唯一、役立ってくれる機会なんだから使えばいいのニャー!」
ミューニャは、それを全く意に解すことなく、そう言い放った。
「一理あるわね」
ミューニャが再度放った主張に思案げな様子を見せながらも唯一の是を放ったのは、金融ギルドのマスターであるリーゼラルダ。
隣国に煮湯を飲まされたのなぞ、一度や二度ですまない金融ギルドにしてみれば、緩衝材大いに結構。
ミューニャの言うように使えるのならば使ってしまえと言いたい所なのだろうが。
(……現状だけで最悪、3連続ドラゴンの脅威に晒されることになるかもしれんあの国が、地上から消え去る前にケツ捲ってくるといいねぇ……?)
全部、ウィムンド王国の所為にして緊急時なのに助けてくれなかったのが悪いとか適当な主張をしながらVIP待遇で亡命してくることを当然として逃げて来る王族の姿しか想像することが出来なくて、ボルガーが思わず溜息をつくと全く同じタイミングで放たれた溜息が4つもあった。
それは国王アドルフィルトとフリュヒテンゴルト公爵、ベントレー子爵と傭兵ギルドのマスター、クォートで。
5人揃って互い、視線を交わし合うと「だよなー?」みたいな空気が漂ってしまったのだった。
「今、見て貰っている通り此奴はまず、光属性の力を使い己が身を光らせることで視認性を悪くする防衛行動を1番初めに取ることが多い。自身に影響を感じる光量は種族と個人によって振れ幅があるが、心理的観点から不快を感じる眩しさを表す “不快Gbl” 区分で約22Gbl」
洞窟や夜間の野外を照らす照明となる初級光魔法の明るさから次第に明るさを増して行くそれは、最終的には一瞬で終わる筈の閃光の魔法を継続的に見せられているような眩しさに変わった。
「高い輝度の対比から目が光膜反射を起こし、周囲にある物体を認識し辛くなるなどの生理的観点からの眩しさを表す “不能gbl” 区分で約28gbl」
確かに自然と目を細くしてしまうような明るさから手を翳して眩しさから逃れたくなってくるような明るさを視界に感じて、目を閉じてもこのドラゴンの輪郭形に緑や紫の形が瞼の裏に見えるようで、不快とか不能とかいう話し以前に直視したくなくなってしまった。
「不能Gbl程の影響はないが、視界の把握が難しくなる “減能Gbl” 区分で約19Gbl……ああ、丁度、今くらいの光量を目の前にした時がそれを全て満たしているな」
「……光が眩しくて、もう既にコイツの形とか全然見えないんですけど、これ、実物もっと眩しいってことなんですか?」
「そうだ」
スライが両の瞼をピクピクさせながら無理矢理薄目を開けて問いかけたことにアーウィンの、ごく短い応えが返る。
「姿も見えない状態で、どうやって戦えってのさー?」
「なので、まず此奴を相手取る者は光耐性が必須となる」
「ひかりたいせい……」
不満げに問いかけたアヴィエートにこの国ではステータスとしても認識の薄いだろう項目を論われて、彼女の紡ぐ返答の音程が真っ平らな物となってしまった。
「高度にして約600m付近までの降下が完了すると次に此奴がしてくる攻撃は、この風の極大魔法の行使だ」
それに頓着することなく説明を続けたアーウィンによって光り輝いたままなグランドサンスピアの身体から強い風属性を帯びた魔力が6つ地上に向けて放たれ、一定方向に激しく渦を巻きながら天に向かって風の柱が立ち上がる。
「風系極大魔法の1つ “テンペスティアル・トルネード” 。水平規模は直径で約700m、中心気圧は850psk。それが此奴を中心にして、約60度おきに全6本立ち上がり、外向きに610km/sの速度で移動を開始する。その威力は強固な建造物も基礎ごと吹き飛び、周辺に壊滅的な被害を齎す砲弾と化す。持続時間は最長で約20min(約20分)程になるゆえ、渦巻く極大の風を防ぎ得る手段、もしくは風耐性が必要となる」
「…………」
映像に映し出されているのは、彼の言葉が示す通り、地上にあった建物や荷車があっと言う間に空へと巻き上げられ、互いにぶつかり合いながら、バラバラに崩れ去って行く様子だった。
その様子を邪魔することなく開かれたもう一枚の画面には、大きな尖った石の塊。
何となく、その大きさが岩サイズありそうな気がしたのは、対比として側近くに置かれている硬貨が、時折、古代遺跡から見つかることのある代物でこの場の者は皆、一度は見たことのある物であったことも手伝っていただろう。
「もう1つ。この放たれた風系極大魔法の内には此奴が土属性魔法で作り出した尖岩が含まれている。映し出されている尖岩が、我が国の王立古龍研究所が所有する観測史上最大の尖岩で、全長5m、最大直径50cm、重量は約36tgkこれが竜巻の中へ無数に飛び交い、地上から巻き上げた樹木や建造物を交えて飛んで来ることとなる」
「殿下ぁ。このドラゴン、風の極大魔法とその尖岩を作る土属性魔法、同時行使してるってことなのぉ?」
「そうなるな」
「あはっ。無理無理。そんなの誰が勝てんのよー」
「殿下なら単独でも勝てるのニャ。ね! アーウィン殿下っ?」
アヴィエートが諦め空気満載で突っ込んだことに、ごく明るい調子で答えたのは、当のアーウィンではなくミューニャだった。
念の為チックな様子で最後にアーウィンへと問いかけを振り返していたが、その顔にもその声にもアーウィンの勝利をカケラも疑う色がない。
「まぁ、古龍程度ならば私一人で問題はないが、だからと言って備えを怠られては困るのだがな?」
「ニャー! どうせカルドランスあるんだから備える時間はあるのニャ!」
「ミューニャ! 隣国を緩衝材扱いすんなっ!」
ミューニャが、さも当然のように南の隣国カルドランスを盾にする発言をかましたことにボルガーが秒すら置かずに突っ込みを入れたけれど。
「唯一、役立ってくれる機会なんだから使えばいいのニャー!」
ミューニャは、それを全く意に解すことなく、そう言い放った。
「一理あるわね」
ミューニャが再度放った主張に思案げな様子を見せながらも唯一の是を放ったのは、金融ギルドのマスターであるリーゼラルダ。
隣国に煮湯を飲まされたのなぞ、一度や二度ですまない金融ギルドにしてみれば、緩衝材大いに結構。
ミューニャの言うように使えるのならば使ってしまえと言いたい所なのだろうが。
(……現状だけで最悪、3連続ドラゴンの脅威に晒されることになるかもしれんあの国が、地上から消え去る前にケツ捲ってくるといいねぇ……?)
全部、ウィムンド王国の所為にして緊急時なのに助けてくれなかったのが悪いとか適当な主張をしながらVIP待遇で亡命してくることを当然として逃げて来る王族の姿しか想像することが出来なくて、ボルガーが思わず溜息をつくと全く同じタイミングで放たれた溜息が4つもあった。
それは国王アドルフィルトとフリュヒテンゴルト公爵、ベントレー子爵と傭兵ギルドのマスター、クォートで。
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