凡人高校生

ゆるだら公

文字の大きさ
11 / 24
凡人高校生

11話

しおりを挟む
「おっはよー!大ちゃん」

「おはよ」

いつもの公園で待ち合わせした2人が、今日も元気に登校する。

「今日暑っついな~」

「もうすぐ夏だからね。暑がりの満には、もう限界か?」

「こんな暑さじゃ、俺溶けちゃうってー」

シャツをパタパタさせて、体に風を送る。
今日は日差しもよく、日光が2人を照らしていた。

「あれ?あそこにいるのって、蓮見じゃね?」

満は、遠くの方で歩いている青年を指さす。
無駄にでかい身長をしていて、爽やかオーラが醸し出ているのを大も察知した。最近はよく、3人で行動することが多いらしい。

「ほんとだ。いつもはこっちの道じゃないのにね」

「おーーい!蓮見ーーー!!」

大声で名前を呼んだ。その声に気づいて、蓮見は振り向く。

「あ、満に大。おはよー!」

蓮見も、遠くにいる2人に聞こえるようにと、芯の通った声で返事をした。昨日の口調が嘘みたいに消え去っていた。

「やっぱ蓮見じゃん!おーい!今行くから、待ってろよーー!」

そう宣言すると、満は大の腕を掴んだ。

「え?まさか、…嘘だよね…?」

嫌な予感が脳に過り、満を追い払おうとする。

「行くぞ、大ちゃん」

案の定、満は大を掴んだまま、全速力で走り出した。

「朝から走るの気持ちーー!」

「ぜぇ、ぜぇ、……し、しぬぅ゛………」

「え、なんか向かってきたんだけど、逃げた方がいいのかな」

満たちとの衝突を防ぐため、蓮見も走ろうとした。

「待てよーー!逃がさねぇかんな!!」

さらにスピードを上げた満は、蓮見の元へ走り出していった。



「はぁっ、…はぁッ…、お前は俺を殺す気か!!」

朝っぱらから走らされた大は、怒りに溢れていた。

「…俺も被害にあったんだけど」

2人とも、じっと満の方を見る。

「まっ、朝からいい運動になったことだし、元気に学校に行こう!」

「「無視するな」」

大と蓮見がハモった。それだけ2人が怒っていると予想出来る。

「悪かったって。ごめんな」

さすがに申し訳ないと感じた満が、ちゃんと謝る。

「もう、…まぁいいけどね。今回だけだから」

「次やったら殴る」

「重いぞ大ちゃん!」

1悶着あったが、3人は並んで、今度はゆっくりと歩き出した。

「てか、なんで蓮見こっちにいるんだ?いつも違う道だろ」

疑問に思っていたことを思い出し、蓮見に問いかける。

「あぁ。今日俺、早く起きたから違う道から行こうかなって思って。2人はこっち側なんだね」

「そそ、俺ら家近くてさ。てかよく家早く出れるな、尊敬するわ…」

「はは、ありがと」

純粋に褒められて恥ずかしくなったのか、蓮見は満から目を逸らした。
すると「あっ」と、なにか思い出したように声が漏れ、満に向き直った。

「…実は今日、校門で生徒会が服装チェックしてるんだ。早いうちにネクタイと襟直しておいた方がいいよ」

「えっ、そうなのか!?」

小声で語りかけるように、満に助言した。
耳元で囁かれたので、肩が跳ねてしまった満だが、気を取り直して会話を続けた。

「こっちは何も聞いてないんだけど…」

「抜き打ちなんだ。だからみんな知らない」

「いいのか…?俺たちだけ教えて貰って」

満が申し訳無いという目で蓮見の服の袖を掴んだ。
そんな満にも、蓮見は笑顔で対応した。

「全然大丈夫。満にはさっき褒めてもらったし、大は、疲れるの苦手でしょ」

「…?それってどういう…」

なぜ疲れるという理由で教えて貰えるのか、大は疑問だった。しかし次の蓮見の言葉で納得がいった。

「1つでも注意された人は、放課後残って校庭の草むしりなんだ」

「「えぇっ!?」」

清々しい顔で重労働なことを口にする蓮見。
それを聞いて満は、急いでネクタイと襟を直し始めた。
大は、流石にあの生徒会がそんなことする訳と、聞き間違いと信じ、もう一度確認する。

「…マジですか?」

「マジですね」

「……」

大も、解かれかけていた靴紐をしゃがんで結び直した。

「…生徒会って、意外とスパルタ~」

「ね~」

裏で陰口を言う女子のような真似をしている2人に、蓮見は少しイタズラしてみた。

「……あ、生徒会長」

「「はいすいませんでしたーッ!!」」

2人、息ぴったり。しかも考えていることも同じで、蓮見は腹を抱えて笑ってしまった。

「……はすみ~~っ!」

「騙したね、俺らを」

この後、2人は同時に蓮見にくすぐりにかかってくるということを、今の彼には予想出来なかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

目が合っちゃった!!

瀬名
BL
楽観的で悩みなんてない俺の世界には好きなもので溢れている。 そんな俺の新しい好きは同じ学校の先輩! 顔が良すぎる先輩は眼福で毎日先輩をこっそり眺める日々。 しかし眺めるだけで幸せだったのに目が合っちゃった!! 顔が良すぎる先輩と楽観的で小動物系な後輩の高校生二人の溺愛物語です ※高校の授業の内容を覚えていないので適当です

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

落としたのは化粧じゃなく、みんなの心でした

444
BL
『醜い顔…汚らしい』 幼い頃、実母が病気によって早くに亡くなった数年後に新しい義母からそう言われたシリルは、その言葉が耳に残って16歳となった今も引きずっていた。 だが、義母のその言葉は真っ赤な嘘でシリルはとても美しかった。ただ前妻の息子であるシリルに嫉妬した結果こぼした八つ当たりの言葉であったのをシリルは知らずに、義母のいう醜い顔を隠すために化粧をする。 その結果、彼は化粧によって本当に醜い顔になってしまった。そんな彼が虐げられながらも徐々に周囲を絆す話 暴力表現があるところには※をつけております

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

【BL】ビジネスカップルなのに溺愛だなんて聞いてない

深爪夏目
BL
男性アイドルユニット「Vinbeat」(ヴィンビート)に所属 している四人組。 イケメンでダンスも上手いが刺激が欲しいとの提案で【真剣交際BLユニット】として活動するよう言われ、ビジネ スカップルを演じることとなる。 最初は恋愛対象でもないメンバーとの恋愛に嫌気が刺していたが次第にお互いの意外な一面や優しさに触れ、溺愛が止まらない…! ・BL兼コメディ小説です。 暴言などの表現がありますので苦手な方はご注意を。 話は続いておりますが、短編形式で進めていきます。

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

幼馴染がいじめるのは俺だ!

むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに... 「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」 「はっ...ぁ??」 好きな奴って俺じゃないの___!? ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子 ーーーーーー 主人公 いじめられっ子 小鳥遊洸人 タカナシ ヒロト 小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。 姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。 高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、 脳破壊。 千透星への恋心を自覚する。 幼馴染 いじめっ子 神宮寺 千透星 ジングウジ チトセ 小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。 美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている) 転校生の須藤千尋が初恋である

処理中です...