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凡人高校生
20話
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「夏だーーーッ!!!」
「…暑っつ」
季節はすっかり夏になり、眩しい太陽が満たちを照らしていた。
2人と同じく学校へ向かっている生徒たちはみな半袖に変わっていて、さらに夏らしさが増す。
「こんな日こそアイスだよなぁ。購買とかに売ってねぇかな」
「ないだろ多分。というか暑いじゃ言い表せないくらいの暑さなんだけど。まじ溶けるって」
初夏の暑さを乗り越えると、今度は猛暑がやってくる。気温の変化に大もついていけないようで、うちわを持参していた。
しかし、吹く風も気温で生暖かくなっており、あまり意味がなかった。
「確かにな~。俺も暑いのは無理だけど、夏だと思うと自然と元気出てくるぜ!」
「…汗ダラダラなのに、よくそんなことが言えるよね…」
大はいつもより気だるげで、喋る気力もあまり無かった。それよりも、早く涼しい場所に行きたいと思っていた。
学校の校門に着くと、生徒会の人たちが数人立っており、来たる生徒たちにおはようございますとあいさつをしていた。
この暑い中よくそんなボランティアが出来るなと、大は尊敬した。そして、その中に蓮見がいることに気づいた。
「よお蓮見!偉いな、こんな日当たりいい場所であいさつ運動なんて」
満も蓮見を見つけて、小走りで駆け寄って行った。
「満、大、おはよう」
「な、なんて涼しげのある顔…!」
蓮見の清々しい笑顔は、こっちまで涼しくなってくるほどだった。
すると蓮見は「はぁ」と安心したように息を吐いた。
「来てくれて助かったよ2人共」
「?何かあったのか?」
「いや、…あそこ」
控えめに蓮見は人差し指を向ける。そこには、キャッキャと群がっている女子たちが、ソワソワしながらこちらを伺っていた。
「あぁ、なるほどね」
「なんだよー、モテモテじゃねーかぁ」
どうやら大勢の女子たちが、蓮見に話しかけようとしていたみたいで、2人が来たことにより、その足が止まった。
「あんなにたくさん来たら、通れなくなるしね」
「クソ~、優しい奴め。俺だって頑張れば女子たくさん集まるし。多分」
「そこはハッキリ言いなよ」
「俺は何もしてないんだけど…」
見栄を張ろうとする満に、大は突っ込み、蓮見は苦笑いで返した。そうしているうちに、大は暑さに耐えきれなくなり目眩がした。
「ぅおっと。大丈夫か大ちゃん。蓮見悪いな、先行くわ」
「うん、気をつけてね」
「お前もな」
大の体調の変化にいち早く気づいた満は、自分の肩を貸しながら校舎内へと歩いていった。
少し心配そうに見送った蓮見は、この後起こることを覚悟してあいさつ運動を続けた。
_____✻✻_____
__3年1組
「あ~~すずしーー!」
教室に入った2人は、冷房が効いているとわかり感謝感激だった。
この中でなら風も冷たいので、満は大に向けてうちわを仰いでいた。
「ほんとに大丈夫か?大ちゃん」
「だいじょぶだいじょぶ…。暑さでちょっとダメージ食らっただけだから…」
席に着いても目を瞑ってグダっている大に、満は本当に大丈夫なのか確信を持てなかった。
「んー。…具合が悪くなったら言えよ」
大の言葉に半分信じていない満は若干疑った様子を見せたが、今は大丈夫だろうと判断した。
大の席を離れようとしたが、その前に彼が満の服の袖をキュッと掴んだ。
そして、霞んで消えそうなくらい小さな声で呟いた。
「…もう少しだけ、ここに居て……」
少し震えた大の声に、満は心が揺らいだ。自然と笑みが零れるような、そんな暑過ぎず寒すぎずの、丁度いい暖かさが伝わった。
「なんだよ。大丈夫なんじゃなかったのか?」
「…そういう、ことじゃない……」
「はいはい笑。……あと5分な」
何故か笑えてきた満だが、大の言うことはしっかりこなした。やはり、心配が勝っていたのだろう。
小さめのうちわを仰ぎながら、満は大の傍に授業が始まるまで立っていた。
「…暑っつ」
季節はすっかり夏になり、眩しい太陽が満たちを照らしていた。
2人と同じく学校へ向かっている生徒たちはみな半袖に変わっていて、さらに夏らしさが増す。
「こんな日こそアイスだよなぁ。購買とかに売ってねぇかな」
「ないだろ多分。というか暑いじゃ言い表せないくらいの暑さなんだけど。まじ溶けるって」
初夏の暑さを乗り越えると、今度は猛暑がやってくる。気温の変化に大もついていけないようで、うちわを持参していた。
しかし、吹く風も気温で生暖かくなっており、あまり意味がなかった。
「確かにな~。俺も暑いのは無理だけど、夏だと思うと自然と元気出てくるぜ!」
「…汗ダラダラなのに、よくそんなことが言えるよね…」
大はいつもより気だるげで、喋る気力もあまり無かった。それよりも、早く涼しい場所に行きたいと思っていた。
学校の校門に着くと、生徒会の人たちが数人立っており、来たる生徒たちにおはようございますとあいさつをしていた。
この暑い中よくそんなボランティアが出来るなと、大は尊敬した。そして、その中に蓮見がいることに気づいた。
「よお蓮見!偉いな、こんな日当たりいい場所であいさつ運動なんて」
満も蓮見を見つけて、小走りで駆け寄って行った。
「満、大、おはよう」
「な、なんて涼しげのある顔…!」
蓮見の清々しい笑顔は、こっちまで涼しくなってくるほどだった。
すると蓮見は「はぁ」と安心したように息を吐いた。
「来てくれて助かったよ2人共」
「?何かあったのか?」
「いや、…あそこ」
控えめに蓮見は人差し指を向ける。そこには、キャッキャと群がっている女子たちが、ソワソワしながらこちらを伺っていた。
「あぁ、なるほどね」
「なんだよー、モテモテじゃねーかぁ」
どうやら大勢の女子たちが、蓮見に話しかけようとしていたみたいで、2人が来たことにより、その足が止まった。
「あんなにたくさん来たら、通れなくなるしね」
「クソ~、優しい奴め。俺だって頑張れば女子たくさん集まるし。多分」
「そこはハッキリ言いなよ」
「俺は何もしてないんだけど…」
見栄を張ろうとする満に、大は突っ込み、蓮見は苦笑いで返した。そうしているうちに、大は暑さに耐えきれなくなり目眩がした。
「ぅおっと。大丈夫か大ちゃん。蓮見悪いな、先行くわ」
「うん、気をつけてね」
「お前もな」
大の体調の変化にいち早く気づいた満は、自分の肩を貸しながら校舎内へと歩いていった。
少し心配そうに見送った蓮見は、この後起こることを覚悟してあいさつ運動を続けた。
_____✻✻_____
__3年1組
「あ~~すずしーー!」
教室に入った2人は、冷房が効いているとわかり感謝感激だった。
この中でなら風も冷たいので、満は大に向けてうちわを仰いでいた。
「ほんとに大丈夫か?大ちゃん」
「だいじょぶだいじょぶ…。暑さでちょっとダメージ食らっただけだから…」
席に着いても目を瞑ってグダっている大に、満は本当に大丈夫なのか確信を持てなかった。
「んー。…具合が悪くなったら言えよ」
大の言葉に半分信じていない満は若干疑った様子を見せたが、今は大丈夫だろうと判断した。
大の席を離れようとしたが、その前に彼が満の服の袖をキュッと掴んだ。
そして、霞んで消えそうなくらい小さな声で呟いた。
「…もう少しだけ、ここに居て……」
少し震えた大の声に、満は心が揺らいだ。自然と笑みが零れるような、そんな暑過ぎず寒すぎずの、丁度いい暖かさが伝わった。
「なんだよ。大丈夫なんじゃなかったのか?」
「…そういう、ことじゃない……」
「はいはい笑。……あと5分な」
何故か笑えてきた満だが、大の言うことはしっかりこなした。やはり、心配が勝っていたのだろう。
小さめのうちわを仰ぎながら、満は大の傍に授業が始まるまで立っていた。
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