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016.ガソリンスタンド
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学生時代、ガソリンスタンドでアルバイトをしていた。
その時に起きた、人生で一番ゾッとした話。
知っている人も多いが、ガソリンスタンドのバイトってのは楽だ。
しかも俺が働いていたのはセルフのガソリンスタンドで、ほとんどやることが無い。
その日もいつも通りモニターを確認しながら、スマホをいじっていた。
当然、スマホをいじってはいけないのだが、暇すぎるし客からも見えない場所なので、黙認されている。
そろそろ上がる時間かなと思い、体を伸ばした時、給油ノズルが開かれている通知がモニターに来た。
この給油ノズルが開かれている状態ってのは、客が金を入れていない状態でただ開かれている状態を示している。
まあまあの頻度であることだし、気に止めることもないのだが、その日は違った。
複数の箇所でその通知が表示されていたのだ。
「なんだあ? 店長! ちょっと表見てきます!」
いくら楽でやることが無いアルバイトだからと言っても、こういう時には確認の作業が必要だ。
裏で作業をしているはずの店長に声をかけ、外に出た。
給油所に出たは言いものの、車はなく、人がいる気配もない。
おかしいな、と思いつつ全てのレーンを確認し、戻ろうとしたとき、トラックが入ってきた。
給油の仕事をしなければならないので、ささっとまだ終わっていなかった給油ノズルの対処をし、中へと戻った。
椅子に座り、トラックの運ちゃんがガソリンを入れるのための作業をするのを待っていると、インターホンが鳴った。
「何しとんじゃワレ! さっさとこっち来んか!」
なんだか物凄いキレていた。
見回りの時になにかしてしまっただろうかと、俺はすぐに駆けだした。
給油所に出て、トラックの方に駆けていくと、トラックの運ちゃんが手招きをしていた。
先程はあんなに怒っていたが、焦っているような感じで先程とは違う意味で早くしろと言っている。
「これはどういう事だ! ふざけんな!」
運ちゃんは俺の腕を掴み、大声でそう言った。ああ、これは殴られるな。そう覚悟した。
しかしその後、俺の耳元に顔を近づけ、小声で耳打ちをしてきた。
「さっき、刃物を持った女が店の方に入っていったぞ。警察には通報したから暫くここにいろ」
衝撃的だった。頭が真っ白になった。
その後数分して警察がやってきた。
店のトイレから刃物を片手に持った高身長の女が出てきて、ソッコーで取り押さえられていた。
楽な仕事だと思っていたのに、死ぬところだった。
ちなみに、店の裏で仕事をしていると思っていた店長はコンビニに行っていたらしく、何も被害はなかったし、俺も運ちゃんが知らせてくれたおかげで何も被害は無かった。
あの時、運ちゃんが機転を聞かせてくれなかったら、そもそも運ちゃんがガソリンスタンドに立ち寄っていなかったら、と考えるとゾッとする。
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