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幽くんと幽霊の見え方
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ある日の放課後、帰宅部の私と幽くんは一緒に帰っていました。
幽くんの家は私の家の隣の地区らしく、いつも私を送ってくれます。
そんないつも通りの帰り道、私は気になっていたことを聞きました。
「幽霊ってどういう風に見えるの?」
霊感がない私からしたら貞子とか吸血鬼とかそういう印象しかなく、はっきり見えているのかぼやけて見えているのかすらわかりません。
「そうだな。結構はっきり見えるよ。生きている人と変わりない。あそこのバス停に居るサラリーマンと見え方は変わらないな」
「えっ、誰もいないよ」
幽くんが指さしたバス停には誰も居ません。古びたバス停がただ立っているだけの無人です。
「……うん。見え方は幽霊も人間も変わりないよ」
「今居たの!? 居たよね、幽霊があそこのバス停で立ってるんだよね!?」
遠出によく使うバス停だけに幽霊がそこに居続けていることに私は恐怖を覚えます。
「通りでバスが来ても乗らなかったわけだ。前から不思議だったんだよな」
「もう認めたよね、どうしようもうあのバス使えないよ」
余計なことを聞かなきゃよかった後悔しました。おかげで最寄りのバス停が使えなくなってしまいました。
「てっきり家に帰るのが嫌な人なのかと思ってたんだけど。その可能性はないかな?」
「私には無人にしか見えないから可能性はゼロだね」
「いつもお疲れ様です。って声をかけても無視されてたから余程参っているのかと思ってた」
「その時点で気づこうよ」
付き合って初めて知りましたが、幽くんは意外と天然みたいです。
告白の返事をくれる時も幽霊にそそのかされて慣れてもいない壁ドンと顎クイをしたらしいです。
「人と重なったりはしてなかったの? 見えてないからそういうのはあるんじゃないの?」
「たまにスカートを履いていたのは女の人が重なっていたからなのか?」
「そんな新発見みたいな顔してるけど、真っ先に幽霊だって気づこうよ。サラリーマンがスカート履いてたらそれはもうその人限界だよ。ストレスがマッハで危ないよ」
スーツにスカートは常識的におかしいと気づいてもらいたいよ。
「ごめん、俺はどうやら人間と幽霊の区別がついていないらしい」
顔はカッコいいけど言っていることが微妙だよ、そんな所も素敵だけど。
「でも一発で幽霊だってわかる時もあるんだよね。それってどんな幽霊なの?」
「んー、マンモスを狩っている原始人かな。流石にびっくりした」
「随分アグレッシブな幽霊だね」
居るんだそんな幽霊。もっとテンプレな幽霊を想像してたけど予想の斜め上過ぎだよ。
「じゃあ、マンモス見たことあるんだ?」
こんな質問をするのは女子高生としてどうなのかと思うけど、正直気になる。
「無いよ。言ったでしょ、マンモスを狩ってる原始人を見たんだ。罠を張る人と直接武器を刺しているんだけど全員が見えない何かを必死に攻撃してたから、流石に幽霊だよなと気が付いた」
「そこまで再現できるなら是非マンモスも化けて出て欲しいよね」
殺された側に未練が無くて殺した方に未練があるっていうのもおかしい話だけど。
「一連の動きを見ていると、きっと狩れなかったんだなって悲しい気持ちになるよ」
「マンモスに負けたんだその人たち」
それなら確かにマンモスに未練はないよね。逃げ切れたんだし、なんなら誇らしい気持ちで一杯だよ。
「後は暴走族とかは結構わかりやすいかな」
「わかりにくそうだけどなんでわかったの? あ、一人だったからとか?」
「バイクに跨った格好でバイクが無かったから」
「バイクだけ天寿を全うしてるねそれ」
そういう幽霊ってバイクも一緒に出てくるイメージだったけど実際はそうじゃないんだな。バイクは無機物だし化けて出るにも魂は無いのかな?
「バイクが無いから音も無いし水平に移動していくから結構シュールなんだよね」
バイクの免許は絶対取らないようにしよう。
「車の人も箱乗りの姿勢のまま移動していくし」
私に乗れる乗り物はなくなりました。
もし乗る時があったら絶対に安全第一で行動しようと心に決めました。
「後は自殺の人。同じ行動取ってるし大抵体が悲惨なことになるからわかりやすい。そして見たくない」
「急に真面目な理由になったね」
「だからあんまり商店街は――、あ、桜の家に着いたね。バイバイ」
「そこで区切るの!? どこか教えてよ、絶対そこは通らないようにするから!」
「冗談だって、少し驚かしてみただけだから。それに見えないなら大丈夫だから」
そう言って幽くんはそのまま真直ぐ帰って行ってしまいました。
幽くんは少しだけ意地悪です。
幽くんの家は私の家の隣の地区らしく、いつも私を送ってくれます。
そんないつも通りの帰り道、私は気になっていたことを聞きました。
「幽霊ってどういう風に見えるの?」
霊感がない私からしたら貞子とか吸血鬼とかそういう印象しかなく、はっきり見えているのかぼやけて見えているのかすらわかりません。
「そうだな。結構はっきり見えるよ。生きている人と変わりない。あそこのバス停に居るサラリーマンと見え方は変わらないな」
「えっ、誰もいないよ」
幽くんが指さしたバス停には誰も居ません。古びたバス停がただ立っているだけの無人です。
「……うん。見え方は幽霊も人間も変わりないよ」
「今居たの!? 居たよね、幽霊があそこのバス停で立ってるんだよね!?」
遠出によく使うバス停だけに幽霊がそこに居続けていることに私は恐怖を覚えます。
「通りでバスが来ても乗らなかったわけだ。前から不思議だったんだよな」
「もう認めたよね、どうしようもうあのバス使えないよ」
余計なことを聞かなきゃよかった後悔しました。おかげで最寄りのバス停が使えなくなってしまいました。
「てっきり家に帰るのが嫌な人なのかと思ってたんだけど。その可能性はないかな?」
「私には無人にしか見えないから可能性はゼロだね」
「いつもお疲れ様です。って声をかけても無視されてたから余程参っているのかと思ってた」
「その時点で気づこうよ」
付き合って初めて知りましたが、幽くんは意外と天然みたいです。
告白の返事をくれる時も幽霊にそそのかされて慣れてもいない壁ドンと顎クイをしたらしいです。
「人と重なったりはしてなかったの? 見えてないからそういうのはあるんじゃないの?」
「たまにスカートを履いていたのは女の人が重なっていたからなのか?」
「そんな新発見みたいな顔してるけど、真っ先に幽霊だって気づこうよ。サラリーマンがスカート履いてたらそれはもうその人限界だよ。ストレスがマッハで危ないよ」
スーツにスカートは常識的におかしいと気づいてもらいたいよ。
「ごめん、俺はどうやら人間と幽霊の区別がついていないらしい」
顔はカッコいいけど言っていることが微妙だよ、そんな所も素敵だけど。
「でも一発で幽霊だってわかる時もあるんだよね。それってどんな幽霊なの?」
「んー、マンモスを狩っている原始人かな。流石にびっくりした」
「随分アグレッシブな幽霊だね」
居るんだそんな幽霊。もっとテンプレな幽霊を想像してたけど予想の斜め上過ぎだよ。
「じゃあ、マンモス見たことあるんだ?」
こんな質問をするのは女子高生としてどうなのかと思うけど、正直気になる。
「無いよ。言ったでしょ、マンモスを狩ってる原始人を見たんだ。罠を張る人と直接武器を刺しているんだけど全員が見えない何かを必死に攻撃してたから、流石に幽霊だよなと気が付いた」
「そこまで再現できるなら是非マンモスも化けて出て欲しいよね」
殺された側に未練が無くて殺した方に未練があるっていうのもおかしい話だけど。
「一連の動きを見ていると、きっと狩れなかったんだなって悲しい気持ちになるよ」
「マンモスに負けたんだその人たち」
それなら確かにマンモスに未練はないよね。逃げ切れたんだし、なんなら誇らしい気持ちで一杯だよ。
「後は暴走族とかは結構わかりやすいかな」
「わかりにくそうだけどなんでわかったの? あ、一人だったからとか?」
「バイクに跨った格好でバイクが無かったから」
「バイクだけ天寿を全うしてるねそれ」
そういう幽霊ってバイクも一緒に出てくるイメージだったけど実際はそうじゃないんだな。バイクは無機物だし化けて出るにも魂は無いのかな?
「バイクが無いから音も無いし水平に移動していくから結構シュールなんだよね」
バイクの免許は絶対取らないようにしよう。
「車の人も箱乗りの姿勢のまま移動していくし」
私に乗れる乗り物はなくなりました。
もし乗る時があったら絶対に安全第一で行動しようと心に決めました。
「後は自殺の人。同じ行動取ってるし大抵体が悲惨なことになるからわかりやすい。そして見たくない」
「急に真面目な理由になったね」
「だからあんまり商店街は――、あ、桜の家に着いたね。バイバイ」
「そこで区切るの!? どこか教えてよ、絶対そこは通らないようにするから!」
「冗談だって、少し驚かしてみただけだから。それに見えないなら大丈夫だから」
そう言って幽くんはそのまま真直ぐ帰って行ってしまいました。
幽くんは少しだけ意地悪です。
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