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四章 十纏との決戦 前編
41話 氷美湖 VS エイデン
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焔と秋良が出かけた少し後、氷美湖は生徒会の仕事に向かった。
何事も無く学校に着き、他の役員と生徒会の仕事に取り掛かる。
夏休みということもあり、少し緩んだ空気の中和気藹々と仕事をし、一時間ほどで仕事が片付き解散となった。
結構早く終わったわね。
今からならお姉ちゃんたちとお昼が食べられるかも。
他の役員から昼食の誘いを断り、昇降口に向かう。
「鬼石氷美湖でいいよね」
突然声をかけてきたのは、真黒なジーンズに黒いパーカーを着た十纏のエイデン・メッシング。
相手が十纏だと知らない氷美湖も、その雰囲気から正体を感じ取っていた。
「そうよ。それであんたは?」
「十纏の一人、エイデン・メッシング」
「なら遠慮はいらないわよね」
一瞬で領分の展開、戦闘装束への換装を終え、エイデンに攻撃を仕掛ける。
細雪で頭を狙いながら、対角にある足を狙う。
反射的に避ければ足を払ってそのまま決める。
距離を開けるなら攻撃を続けて隙を無理にでも作る。
相手に何かさせちゃダメだ。
攻撃を避けたエイデンを見て、そのまま足払いに移行する。
氷美湖の計画通り地面に倒れたエイデンに追撃を仕掛けた。
エイデンに跨り身動きを封じ、その頭に薙刀を向ける。
「これで終わりよ」
そう言った次の瞬間、氷美湖は自分の目を疑った。
自分が跨り止めを刺そうとしている相手は自分と同じ姿になっていた。
幻術? これを倒したら自分にもそのダメージが返ってくる?
一瞬の停止にエイデンは氷美湖を跳ね除けすぐに立ち上がる。
「そっか、門番の力ってこんなに強いんだ」
「物まねが得意って事かしら?」
「うん。僕、羨ましいなって思う人になれるんだ。僕もこうなりたかったなぁ、強くて綺麗で頭が良くて、友達もいて本当に羨ましくて妬ましいよ」
「あんたみたいなのから見たらそう見えるんでしょうね」
相手のコピーはどこまでコピーできる?
身体能力? それとも思考も真似できる? あいつに与えたダメージはどうなる?
話をしながら確認事項を頭に浮かべ続けた。
「そういうのは戦いながら調べたらいいよ」
「そうさせてもらうわ」
今ので思考は確定。
それとさっきの発言から見ると身体能力もコピーされてるわね、それならダメージはどうなる? 相手への攻撃が跳ね返ってくるとしたら私に勝ち目はないわね。
このまま膠着していては始まらないと、氷美湖は細雪を囮に攻撃を仕掛けた。
回避する方向をあらかじめ細雪で封じ、避けた先に当身をする。
そう考えているだろうとエイデンは自ら薙刀の先に向かって行く。
ダメージの反射があると思っている氷美湖は、自分へのダメージを回避するために咄嗟に武器を引いてしまう。
「お前の考え位わかるんだよ」
そのまま懐に入ったエイデンは腕を掴み、一気に投げる。
受け身を取る氷美湖が体勢を整える前に更に追撃を仕掛けた。
能力と一緒にコピーした偽装細雪を使い、氷美湖を追い詰めていく。
エイデンが奪えるのは見た目と能力だけ、思考はもちろんダメージの反射も持っていない。
それなのに氷美湖の攻撃を完全に防げているのは、エイデンの経験からだ。
疑い深く常に考えて動くタイプの相手は、意味深に言えば勝手に想像を働かせ自分から窮地に追い込まれていく。
それを知っているからこそ、同じ力の氷美湖を追い詰めることができている。
「鬼石流氷術 氷壁」
突然放たれた氷美湖の技に、エイデンは反射的に避けてしまう。
「そっか避けるんだ」
しまった、この技は攻撃用じゃない。
氷美湖の技を全て知っているエイデンは自分のミスを理解した。
思考が読めるならこの技は避けない。
氷美湖がこの時に考えていたのは、一度距離を取ろうと壁を出しただけだ。
それを避けるということは氷美湖の考えをコピーできていないということになる。
「もう大丈夫。あんたが何をコピーしているのかはわかったから」
「全部バレたんだ。やっぱり僕程度が簡単に勝てるなんて思っちゃダメだね」
仕掛けたのはエイデンからだった。
「鬼石流薙刀術 濁流」
氷美湖と同じ能力に戦闘経験を真似たエイデンは、もはや小細工もせず氷美湖の技で攻め立てる。
その技の対応を知る氷美湖は対応し、その反撃に対応する術をエイデンは持っている。
対策に対策を重ね拮抗を続ける二人だが、突然氷美湖はバランスを崩した。
何が起ったか分からないまま偽装細雪が氷美湖の体を吹き飛ばした。
何が起ったの? 突然足が動かなかったけど、あいつにまだ能力が残ってるってこと?
「これが原因か」
足に触れると、そこには一本の糸が付いていた。
細く透明な糸なのにその糸は切れない。
「糸にも気がついた? まあ、そうだよね。生徒会長をしてるんだし頭はいいよね。君になってから体も頭も冴えてる。全くもって羨ましいよ」
「これでも努力したからね。それで、この糸はあんたの意思で動くってことでいいのかしら?」
たぶんこの糸で繋がっているから姿を真似されてる。
バレても平気ってことは絶対に切れないってわけね。
「想像通り僕の意思通りに伸ばしたり縮んだりするよ。こんな風に」
一瞬体が引かれかけたが、辛うじて壁に掴まれた。
しかし、氷美湖が動かなければ動くのはエイデンの方だ。
自走と糸の縮む力が合わさり、あっという間に氷美湖の前に現れ、全力の一撃が氷美湖の体を貫いた。
何事も無く学校に着き、他の役員と生徒会の仕事に取り掛かる。
夏休みということもあり、少し緩んだ空気の中和気藹々と仕事をし、一時間ほどで仕事が片付き解散となった。
結構早く終わったわね。
今からならお姉ちゃんたちとお昼が食べられるかも。
他の役員から昼食の誘いを断り、昇降口に向かう。
「鬼石氷美湖でいいよね」
突然声をかけてきたのは、真黒なジーンズに黒いパーカーを着た十纏のエイデン・メッシング。
相手が十纏だと知らない氷美湖も、その雰囲気から正体を感じ取っていた。
「そうよ。それであんたは?」
「十纏の一人、エイデン・メッシング」
「なら遠慮はいらないわよね」
一瞬で領分の展開、戦闘装束への換装を終え、エイデンに攻撃を仕掛ける。
細雪で頭を狙いながら、対角にある足を狙う。
反射的に避ければ足を払ってそのまま決める。
距離を開けるなら攻撃を続けて隙を無理にでも作る。
相手に何かさせちゃダメだ。
攻撃を避けたエイデンを見て、そのまま足払いに移行する。
氷美湖の計画通り地面に倒れたエイデンに追撃を仕掛けた。
エイデンに跨り身動きを封じ、その頭に薙刀を向ける。
「これで終わりよ」
そう言った次の瞬間、氷美湖は自分の目を疑った。
自分が跨り止めを刺そうとしている相手は自分と同じ姿になっていた。
幻術? これを倒したら自分にもそのダメージが返ってくる?
一瞬の停止にエイデンは氷美湖を跳ね除けすぐに立ち上がる。
「そっか、門番の力ってこんなに強いんだ」
「物まねが得意って事かしら?」
「うん。僕、羨ましいなって思う人になれるんだ。僕もこうなりたかったなぁ、強くて綺麗で頭が良くて、友達もいて本当に羨ましくて妬ましいよ」
「あんたみたいなのから見たらそう見えるんでしょうね」
相手のコピーはどこまでコピーできる?
身体能力? それとも思考も真似できる? あいつに与えたダメージはどうなる?
話をしながら確認事項を頭に浮かべ続けた。
「そういうのは戦いながら調べたらいいよ」
「そうさせてもらうわ」
今ので思考は確定。
それとさっきの発言から見ると身体能力もコピーされてるわね、それならダメージはどうなる? 相手への攻撃が跳ね返ってくるとしたら私に勝ち目はないわね。
このまま膠着していては始まらないと、氷美湖は細雪を囮に攻撃を仕掛けた。
回避する方向をあらかじめ細雪で封じ、避けた先に当身をする。
そう考えているだろうとエイデンは自ら薙刀の先に向かって行く。
ダメージの反射があると思っている氷美湖は、自分へのダメージを回避するために咄嗟に武器を引いてしまう。
「お前の考え位わかるんだよ」
そのまま懐に入ったエイデンは腕を掴み、一気に投げる。
受け身を取る氷美湖が体勢を整える前に更に追撃を仕掛けた。
能力と一緒にコピーした偽装細雪を使い、氷美湖を追い詰めていく。
エイデンが奪えるのは見た目と能力だけ、思考はもちろんダメージの反射も持っていない。
それなのに氷美湖の攻撃を完全に防げているのは、エイデンの経験からだ。
疑い深く常に考えて動くタイプの相手は、意味深に言えば勝手に想像を働かせ自分から窮地に追い込まれていく。
それを知っているからこそ、同じ力の氷美湖を追い詰めることができている。
「鬼石流氷術 氷壁」
突然放たれた氷美湖の技に、エイデンは反射的に避けてしまう。
「そっか避けるんだ」
しまった、この技は攻撃用じゃない。
氷美湖の技を全て知っているエイデンは自分のミスを理解した。
思考が読めるならこの技は避けない。
氷美湖がこの時に考えていたのは、一度距離を取ろうと壁を出しただけだ。
それを避けるということは氷美湖の考えをコピーできていないということになる。
「もう大丈夫。あんたが何をコピーしているのかはわかったから」
「全部バレたんだ。やっぱり僕程度が簡単に勝てるなんて思っちゃダメだね」
仕掛けたのはエイデンからだった。
「鬼石流薙刀術 濁流」
氷美湖と同じ能力に戦闘経験を真似たエイデンは、もはや小細工もせず氷美湖の技で攻め立てる。
その技の対応を知る氷美湖は対応し、その反撃に対応する術をエイデンは持っている。
対策に対策を重ね拮抗を続ける二人だが、突然氷美湖はバランスを崩した。
何が起ったか分からないまま偽装細雪が氷美湖の体を吹き飛ばした。
何が起ったの? 突然足が動かなかったけど、あいつにまだ能力が残ってるってこと?
「これが原因か」
足に触れると、そこには一本の糸が付いていた。
細く透明な糸なのにその糸は切れない。
「糸にも気がついた? まあ、そうだよね。生徒会長をしてるんだし頭はいいよね。君になってから体も頭も冴えてる。全くもって羨ましいよ」
「これでも努力したからね。それで、この糸はあんたの意思で動くってことでいいのかしら?」
たぶんこの糸で繋がっているから姿を真似されてる。
バレても平気ってことは絶対に切れないってわけね。
「想像通り僕の意思通りに伸ばしたり縮んだりするよ。こんな風に」
一瞬体が引かれかけたが、辛うじて壁に掴まれた。
しかし、氷美湖が動かなければ動くのはエイデンの方だ。
自走と糸の縮む力が合わさり、あっという間に氷美湖の前に現れ、全力の一撃が氷美湖の体を貫いた。
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