爺ちゃんの形見は世界の鍵でした。

柚木

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四章 十纏との決戦 前編

42話 焔 VS 輪廻

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「初めまして。輪廻は厳島輪廻っていうの。わかると思うけど十纏ね」

 焔がバスの中で領分に飲み込まれてすぐ、挨拶をする輪廻を前に焔は戦闘装束に換装した。

「わざわざあたしだけを領分に閉じ込めたってことは、あたしに勝つ自信があるのか?」

「それはどうかな。勝つために頑張るけどね。戦う前にプレゼントあげるね」

 輪廻は丸く折られた折り紙を投げ渡した。
 受け取るの危険と判断した焔は折り紙を槐で切る。

「あーあ、やっちゃった」

 折り紙だと思った物体は爆弾に変わり、切った衝撃で爆発し、バスの燃料にまで着火し大爆発を起こした。
 その姿をバスの外にいち早く飛び出した輪廻がけらけらと笑う。

「今のは挨拶代わりだけど、まだ死んでないよね」

 不用意に煙に近づいた輪廻の胸元に、焔の突き出した刃が突き刺さる。

「この程度で勝ったと思うなんて、不用心すぎるだろ」

「だってこのくらい平気だもん」

 確かに心臓を貫いたはずなのに、なんで動けるんだ?
 関係ない、このまま一気に燃やし尽くしてやる。

 胸を刺されたまま近づく輪廻に槐を通して炎を送りの体を燃やす。

 いや、これは偽物か? 本物にしてはあまりに弱すぎる。それにいつもと手ごたえが違う?

「捕まえた」

 体に紙の鎖が巻き付けられたと思ったら、本物の鎖に変化した。

 ここまで接近してるのに気がつかなかった。
 なるほど、最初の爆弾で気がつくべきだった。

「紙を本物にするってこととか。でもこの程度で捕まるわけにはいかないな。鬼石流炎技 炎王」

 炎を纏うと鎖は溶け紙に戻り燃える。
 すぐに反撃にかかるが、声のした方も偽物だった。

「また偽物か」

「そう簡単に輪廻を捕まえれると思わない方がいいよ」

 こいつ本当にあたしを倒すつもりはあるのか?
 違う。こいつは時間稼ぎをしてるんだ。
 そうなると狙いは外にいる秋良か。

 そう考える焔の視界に、また折り紙が飛んできた。
 何かを見定める途中で、それは一気に巨大化し一気の飛行機に変わる。
 対応を考える余裕は残されておらず、焔は飛行機を一刀両断する。
 真っ二つの機体からはまたしても爆弾が転がり落ち起爆する。

 飛行機を巻き込んでの爆破大きく、木々がなぎ倒される程の衝撃が焔を襲った。

「まだまだこれからだよ」

 ぐわんぐわんと景色が歪む焔に更に追加で二機の飛行機が襲い掛かる。
 その飛行機を焔は正面から受け止め、放り投げる。

「二回目はないぞ。この飛行機は変化してから加速してる。加速がない状態ならあたしの力でどうとでもなる」

 さっきは突然の出来事に刀を抜いたが、門番の力を持っている焔なら飛行機ぐらいは楽に投げられる。
 輪廻もそれは知っていた。
 あくまでこの攻撃は相手にダメージを与えられたら御の字だった。
 最初に想定していた通り、次の作戦に移行することにした。

「今度はだんまりか」

 あたしの所がこうなら、氷美湖もやっぱり襲われてるって考えた方がいいな。
 そうなると、氷美湖もこっちにいるのか?
 何もしてこないなら氷美湖と合流した方がいいな。
 こういう絡め手で来る敵の相手なら、あたしよりも氷美湖の方が強いはずだ。

「どこに行くの?」

「こんなの折り紙で折れるのか?」

「誰も折り紙を実体化させるなんて言ってないよ。この子は超戦士オルガノ、世界を救う戦隊ロボだよ」

「それならあたしの味方だな」

 学校に向かおうとする焔の前に現れたのは巨大なロボット。
 到底切断できなさそうなロボに対して焔は刀を抜く。

「鬼石流居合術 明けの明星」

 空間を切ったと思わせる白き斬撃がロボの体を通り抜けた。
 亀裂すら入らずに切られた機体は切られた個所から発火し、そのまま元の玩具に戻り燃焼した。

「倒されると思ってたけど、まさか一撃だとは思わなかったよ」

「お前が何をしてきても無駄だぞ」

「それはやらなきゃわからないよね」

 カンッと乾いた音がし足元を見ると、小さな人形が数体焔の足に鎖をつけ杭を地面に打ち込んでいた。
 それらを炎で焼き払うが、背中に痛みが走る。

 今のは爆弾か? いつの間に付けられた?

「じわじわ行かせてもらうよ」

「お前のやり方はわかったよ。要は子供の嫌がらせってことか。姿を隠して卑怯な作戦だな」

「よくわかってるね。でも、あんたは子供の悪戯に負けるんだよ」

「子供の悪戯なら、それに付き合ってやる義理はないよな」

「へえ、それでここからどうするの?」

 しゃがんだ? 何かの構え?
 あいつの火力ならこの辺一帯を焼き払うこともできる。
 それに巻き込まれないようにもう少し離れた方がいいかも。

 輪廻は突然の動きに一度攻撃を止め、距離を取ろうと動く。
 それに対して焔はその場から全力で走り出した。

「逃げるのか!?」

「ガキの悪戯に構ってる暇はないからな!」

 戦いを挑まれたのに逃げ出す。
 それは輪廻には予想外な出来事だった。

 ここで輪廻を倒せば、領分の外にいる鍵の保有者を助けに行けるはずなのに逃げた?
 離れると見せかけて輪廻をおびき出すつもり?
 それなら輪廻も絶対姿は見せないから!

 輪廻はポーチから怪獣のフィギュアを数体掴み、それらに命を与えた。
 命を与えられた怪獣達は焔の前に立ちはだかる。

 これなら戦うよね。
 それで動きを止めたらまたちまちまとダメージを与えていく。
 それで動けなくなったところで輪廻が止めを刺す。

 そんな思惑を無視し、焔は止まることなく直線状にいる怪獣の足を切り飛ばし通り道を作り、あっさりと怪獣の群れを抜け出した。

 目指すは氷美湖のいる学校。
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