1 / 4
一話
しおりを挟む
転入初日、星野姫(高校二年生)は漫画の様な出会いに憧れ学校近くの曲がり角で待機していた
これで準備は万端だ。
時間も遅刻ギリギリ、食パンもよし、新品の子供っぽい柄のパンツも穿いたし、私の事を印象付けるために大きなリボンもした。
後はこの曲がり角で男子生徒とぶつかれば、万事順調だ。
毎回ここで失敗するけど、今回こそは成功して見せる。
いつもは自然さを優先しすぎて、進行方向の角に待機していたからぶつかる直前でお互いが止まるなんてハプニングもあったけど、今回は不自然でもいいからぶつかりやすい角に待機したし、ぶつかる確率は上がったはず。
それにしても、あんまりこの時間に登校する生徒っていないんだなぁ。
通っても自転車だし、ぶつかりたくないな。
後数分待って来なかったら、最初のイベントは諦めて向かわないと遅刻しちゃうかな。
誰か来た。
一瞬だけ見たけど、あれは男子の制服だった。
後はタイミングを見計らうだけだ。
よし、今だ!
全力で走り出すと我ながら完璧なタイミングだった。
後はパンツが見えるように転ばないと、周囲に危険物はなし、尻もちをつくように両膝を立てて、スカートを捲りあげて、彼から見やすいようにする。
「いったぁい、どこ見てるのよ」
中々いい感じに可愛く言えたんじゃない?
完全に当たり屋みたいだけど、これは成功したんじゃない?
「いてて、ごめん大丈夫? あっ」
「えっ? きゃっ、もしかしてみた?」
「ごめん、見てない、いや見たけど、見えちゃったというかなんというか」
「この変態!」
よし、完璧だ。
走り去りながら心の中でガッツポーズをする。
できれば同じクラスがいいけど、そこは時の運、でもこの普通は絶対にしないような大きなリボンは印象に残るはずだ。
†
「今日は転校生が来たから紹介するぞ。入ってこい」
「星野姫です。よろしくお願いします」
「あっ!」
「あんたはさっきの!」
さっきぶつかった男子がいた。
まさかこんな偶然があるなんて、今回は運もいい。
「お前達知り合いか? だったら丁度海空の隣が空いてるからそこに座ってくれ」
なんでそこ空いてるの? 誰か自殺でもしたの?
不自然に空いている席に向かうと、他に比べて少しぼろい気がする。
ここ座って大丈夫なの? 呪われたりしない? それか見えない人様の席とかじゃないよね?
「さっきは悪かった、だからそう警戒しないで座れよ」
私が気にしてるのはそこじゃない。
「ふんっ」
この机については深く考えないようにしよう。
折角同じクラスで隣の席になったんだし、大事なのはこれからの事だ。
朝のホームルームが終わると、一人の女子生徒が私の元に近寄って来た。
クラスでも一際可愛い子だけど、もしかして委員長?
「星野さんでいいんだよね。もしかして兄さんが何かしちゃった?」
まさかの海空くんの妹!?
普通姉弟って同じクラスにならないんじゃないの?
「えっと、二人は兄妹なの?」
「大体合ってるかな。私は雪村夏希、兄さんとは家が隣で兄妹みたいなものだし」
幼馴染……だと……!?
しかも、兄さんと呼ぶ幼馴染とか、そんな存在が現実世界にいていいの?
「兄さんってデリカシーとかないからいっつも失礼なことしちゃうんだよ」
これは私が海空くんを狙っていると気づいてのけん制?
新参者の出る出番は無いって言いに来たの?
「海空、あんた星野さんに迷惑かけてないでしょうね」
「嫌だな、委員長、そんなわけないだろ」
「そんなのが信じてもらえるくらい、善行詰んできた?」
追加で三つ編みメガネっ子委員長まで来た!?
転校して何人か委員長見てきたけど、こんなに委員長っていうのがぴったりな人初めて見た。
「私は桜井鈴音。このクラスの委員長をしてるからこの馬鹿が何かして来たら言ってね」
「はい」
まあ、雪村さんと違ってこの委員長は海空争奪戦には入ってこなさそうかな。
「こんにちはー!」
「日向、どうかしたのか?」
「今日は先輩が目当てじゃないですよ。転校生がこのクラスに来たって聞いたんで来たんです」
「迷惑かけるなよ?」
「先輩じゃないので迷惑かけませんよ」
「俺にもかけないでくれ」
更に元気っ子で後輩の新キャラ!?
「先輩が日向のいうこと聞いてくれたら、他の人にちょっかいかけずに済みます」
「わかったよ、たまにいうこと聞いてやるから他人に迷惑かけるなよ」
「騒がしくてごめんね、この子は風音日向ちゃん、被服部で兄さんに服を着せるのが趣味なんだって」
何その設定……、普通それって美少女に着せて楽しむんじゃないの?
「予鈴が鳴ったから早くさっさと教室に戻れよ」
「はーい。そうだ、お昼空いてますか?」
「春姉と約束があるから無理かな」
ここまででキャラが広いのに、その上姉キャラがいるの?
いや、まだ実姉という可能性もある。
「そう言えば兄さん、お姉ちゃんに呼ばれてたもんね。今朝も台所でお弁当作ってたよ」
実姉じゃないのかよ!
何この状況、出会いは完璧だったはず。
少女漫画みたいに食パン咥えて走って、男子とぶつかったのに、ライバルが次々と現れた。
もしかしてこの男子ギャルゲ主人公か……。
これで準備は万端だ。
時間も遅刻ギリギリ、食パンもよし、新品の子供っぽい柄のパンツも穿いたし、私の事を印象付けるために大きなリボンもした。
後はこの曲がり角で男子生徒とぶつかれば、万事順調だ。
毎回ここで失敗するけど、今回こそは成功して見せる。
いつもは自然さを優先しすぎて、進行方向の角に待機していたからぶつかる直前でお互いが止まるなんてハプニングもあったけど、今回は不自然でもいいからぶつかりやすい角に待機したし、ぶつかる確率は上がったはず。
それにしても、あんまりこの時間に登校する生徒っていないんだなぁ。
通っても自転車だし、ぶつかりたくないな。
後数分待って来なかったら、最初のイベントは諦めて向かわないと遅刻しちゃうかな。
誰か来た。
一瞬だけ見たけど、あれは男子の制服だった。
後はタイミングを見計らうだけだ。
よし、今だ!
全力で走り出すと我ながら完璧なタイミングだった。
後はパンツが見えるように転ばないと、周囲に危険物はなし、尻もちをつくように両膝を立てて、スカートを捲りあげて、彼から見やすいようにする。
「いったぁい、どこ見てるのよ」
中々いい感じに可愛く言えたんじゃない?
完全に当たり屋みたいだけど、これは成功したんじゃない?
「いてて、ごめん大丈夫? あっ」
「えっ? きゃっ、もしかしてみた?」
「ごめん、見てない、いや見たけど、見えちゃったというかなんというか」
「この変態!」
よし、完璧だ。
走り去りながら心の中でガッツポーズをする。
できれば同じクラスがいいけど、そこは時の運、でもこの普通は絶対にしないような大きなリボンは印象に残るはずだ。
†
「今日は転校生が来たから紹介するぞ。入ってこい」
「星野姫です。よろしくお願いします」
「あっ!」
「あんたはさっきの!」
さっきぶつかった男子がいた。
まさかこんな偶然があるなんて、今回は運もいい。
「お前達知り合いか? だったら丁度海空の隣が空いてるからそこに座ってくれ」
なんでそこ空いてるの? 誰か自殺でもしたの?
不自然に空いている席に向かうと、他に比べて少しぼろい気がする。
ここ座って大丈夫なの? 呪われたりしない? それか見えない人様の席とかじゃないよね?
「さっきは悪かった、だからそう警戒しないで座れよ」
私が気にしてるのはそこじゃない。
「ふんっ」
この机については深く考えないようにしよう。
折角同じクラスで隣の席になったんだし、大事なのはこれからの事だ。
朝のホームルームが終わると、一人の女子生徒が私の元に近寄って来た。
クラスでも一際可愛い子だけど、もしかして委員長?
「星野さんでいいんだよね。もしかして兄さんが何かしちゃった?」
まさかの海空くんの妹!?
普通姉弟って同じクラスにならないんじゃないの?
「えっと、二人は兄妹なの?」
「大体合ってるかな。私は雪村夏希、兄さんとは家が隣で兄妹みたいなものだし」
幼馴染……だと……!?
しかも、兄さんと呼ぶ幼馴染とか、そんな存在が現実世界にいていいの?
「兄さんってデリカシーとかないからいっつも失礼なことしちゃうんだよ」
これは私が海空くんを狙っていると気づいてのけん制?
新参者の出る出番は無いって言いに来たの?
「海空、あんた星野さんに迷惑かけてないでしょうね」
「嫌だな、委員長、そんなわけないだろ」
「そんなのが信じてもらえるくらい、善行詰んできた?」
追加で三つ編みメガネっ子委員長まで来た!?
転校して何人か委員長見てきたけど、こんなに委員長っていうのがぴったりな人初めて見た。
「私は桜井鈴音。このクラスの委員長をしてるからこの馬鹿が何かして来たら言ってね」
「はい」
まあ、雪村さんと違ってこの委員長は海空争奪戦には入ってこなさそうかな。
「こんにちはー!」
「日向、どうかしたのか?」
「今日は先輩が目当てじゃないですよ。転校生がこのクラスに来たって聞いたんで来たんです」
「迷惑かけるなよ?」
「先輩じゃないので迷惑かけませんよ」
「俺にもかけないでくれ」
更に元気っ子で後輩の新キャラ!?
「先輩が日向のいうこと聞いてくれたら、他の人にちょっかいかけずに済みます」
「わかったよ、たまにいうこと聞いてやるから他人に迷惑かけるなよ」
「騒がしくてごめんね、この子は風音日向ちゃん、被服部で兄さんに服を着せるのが趣味なんだって」
何その設定……、普通それって美少女に着せて楽しむんじゃないの?
「予鈴が鳴ったから早くさっさと教室に戻れよ」
「はーい。そうだ、お昼空いてますか?」
「春姉と約束があるから無理かな」
ここまででキャラが広いのに、その上姉キャラがいるの?
いや、まだ実姉という可能性もある。
「そう言えば兄さん、お姉ちゃんに呼ばれてたもんね。今朝も台所でお弁当作ってたよ」
実姉じゃないのかよ!
何この状況、出会いは完璧だったはず。
少女漫画みたいに食パン咥えて走って、男子とぶつかったのに、ライバルが次々と現れた。
もしかしてこの男子ギャルゲ主人公か……。
0
あなたにおすすめの小説
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
余命わずかな私は、好きな人に愛を伝えて素っ気なくあしらわれる日々を楽しんでいる
ラム猫
恋愛
王城の図書室で働くルーナは、見た目には全く分からない特殊な病により、余命わずかであった。悲観はせず、彼女はかねてより憧れていた冷徹な第一騎士団長アシェンに毎日愛を告白し、彼の困惑した反応を見ることを最後の人生の楽しみとする。アシェンは一貫してそっけない態度を取り続けるが、ルーナのひたむきな告白は、彼の無関心だった心に少しずつ波紋を広げていった。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも同じ作品を投稿しています
※全十七話で完結の予定でしたが、勝手ながら二話ほど追加させていただきます。公開は同時に行うので、完結予定日は変わりません。本編は十五話まで、その後は番外編になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる