最強魔導士の育成論

groria

文字の大きさ
11 / 14

第11話

しおりを挟む
今日はデリストン魔導士学園の大型行事、新入生対象トーナメント戦【ルーキーズカップ】が開催される日である。

「しかし、普段見ない人たちも結構多いな」

「基本学年ごとに校舎が違ってくるから、用事でもない限りそうそう見かけることはないからね」

上級生は自由観戦が認められており、今後的になりそうなルーキーの視察や勧誘など思惑は人それぞれであるが、今年は例年よりも集まりは大きい。

「今年もこの季節が来ました!!デリストリン魔導士学園最初のビッグイベント【ルーキーズカップ】!!今年はなんといっても史上初の1年にして白金級プラチナに選ばれたリヒト=アビリンス君がいます。それでは代表挨拶をしてもらいましょう」

呼ばれたリヒトは壇上に上がる。日光は彼の真紅の髪照らし、神々しさを醸し出した。

「ええ、とご紹介にあずかりました。1年リヒトです」

少し緊張した様子でしゃべるリヒト。進行役の問いに謙虚に答えていく中、

「では最後に今回のトーナメントへの意気込みを話していただければ」

「意気込み、ですか」

リヒトの雰囲気が変化し、緊張は一切なくなり少し覇気を出しながら、

「俺に勝てる奴は誰もいない、このトーナメント戦は俺の単なる活躍の場に過ぎない」

リヒトは喧嘩を売るような言葉を1年生にかける。ピリピリとした雰囲気が闘技場内に広がる。

「そう、この雰囲気が心地いい。だがまだまだ、俺は1年にして初の白金プラチナリヒト=アビリンスだ!!」

そう言ってリヒトは壇上から姿を消した。進行役は急なリヒトの変化に唖然としていたが、すぐに切り替えて【ルーキーズカップ】の合図を出した。

「(初めて見たが、思った以上に自信家だったな。さすが初の1年にして白金プラチナに選ばれた男、か)」

ロロはおそらく唯一脅威となるであろう男を見てそう思った。サリーネにさえそこまで強さを感じなかったロロもリヒトには脅威を感じつつあった。

「(あの、先日転入してきた男。奴だけ俺の魔力にあてられても全く動じなかったな。それだけの実力を持っているのか、ただただ反応しなかっただけか)」

リヒトもまたロロのことを少し不思議に思った。リヒトは壇上から降りながら少しだけ笑みを浮かべた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「さて、私が最初のようね」

リアが控室でロロたちと会話をしていた。リアは1回戦の第1試合に出るようだった。相手は銅級ブロンズということで余裕を持っていた。

「まあ油断は禁物だぞ。強いやつが勝つとは限らないからな」

ロロは真剣な目でリアに向けて言った。リアも隣にいたエミリーも冗談ではないと気を引き締めた。

「わかってるわよ、それじゃあ行ってくるね」

リアは闘技場へ向かう。闘技場には大型1つと小型4つがあり、1回戦目は小型で試合を行う形式である。

「これは銀級シルバー落ちのリアじゃないか?」

リアは苛立ちを感じる。この悪名はリアがロロに合う前のチーム訓練の時につけられた名前である。ランクは上がれば落ちることもあるため、別に珍しいことではないがリアの場合は

「チーム訓練で1人で突っ込むなんてな。お前は魔導士になる資格ないんだよ」

相手の男子学生はさらにリアに対して罵倒を浴びせる。声はかなり大きく観客にも聞こえている、いや聞かせるような声であった。

「おい、その辺にしないと注意だけでなく、不戦敗にするぞ」

さすがに監督の教員に言われた学生はおとなしくなる。しかしリアは先ほどの言葉がかなり効いているのか顔をしたに向けたままである。

「ねえロロ君、リア大丈夫かな?」

観客席にいたエミリーはリアのことを心配そうにしていた。しかしロロは、

「大丈夫さ、見ていればわかる」

安心した顔でリアを見ていた。そして、監督教員によって試合が開始された。

「始め!!」

男子学生は魔法剣を発動してリアに急接近する。そのままの勢いでリアにつきを食わせようとする。

「悪いけど、そんな剣じゃ私を倒すのは無理ね」

リアは魔法剣が当たる寸前でかわすと同時に剣を鞘から抜き、そのまま切り伏せた。

「(あいつの剣にはもう傲慢さはなくなっている。かつての自分の弱みを身をもって感じ、それを変えていこうとした。まだ実力は伸び切ってはいないが、あの程度の挑発はもう真に受けないだろう)」

男子学生はリアの一撃を防ぐことができず一撃でダウンした。リアは依然として余裕な表情であった。そのまま退場していく。

「おい、あいつってあんな強かったか?相手の男銀級シルバーだったぞ」
「でもリアももともとそうだったんだろ」
「だからってあんな一瞬できまるか?」

会場はリアの話題でいっぱいであった。それだけの衝撃を与える試合であった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

道化たちの末路

希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と側室母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。

【1話完結】あなたの恋人は毎夜わたしのベッドで寝てますよ。

ariya
ファンタジー
ソフィア・ラテットは、婚約者アレックスから疎まれていた。 彼の傍らには、いつも愛らしい恋人リリアンヌ。 婚約者の立場として注意しても、アレックスは聞く耳を持たない。 そして迎えた学園卒業パーティー。 ソフィアは公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。 ガッツポーズを決めるリリアンヌ。 そのままアレックスに飛び込むかと思いきや―― 彼女が抱きついた先は、ソフィアだった。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

処理中です...