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第13話
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「サリーネ、先日のチーム訓練の結果を見させてもらった」
「はい」
ここはサリーネの実家の名家【シェムホルンド】の屋敷、そこでサリーネと現当主である実父が2人きりでいた。
「なんなのだあの結果は!?」
父はサリーネに分厚い本でほほにたたきつけた。サリーネは一度倒れてしまうが叱責は止まらなかった。
「悔しくはないのか!!同じ金級ならいざ知らず、格下の銅級ごときにやられるとは」
父はもう一度サリーネをはたいた。そのまま部屋を去り、部屋にはサリーネ1人だけになった。
「悔しい、悔しい、悔しい!!!憎い憎い憎い!!」
サリーネは憤怒と憎悪に駆られ、暴れまわった。そしてこの日を境にサリーネの表情は冷徹なものになりすべてを拒むような、そんな雰囲気を醸し出すようになった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「第8試合、はじめ!!」
「いけーロロ君!!」
第8試合はロロとおなじ銅級の女子生徒の対決であった。
「(うーん、女子相手にあんまり攻撃的になれないな)」
ロロは女子生徒の魔法攻撃をすべて防ぎながらそんなことを考えていた。彼は戦闘経験が豊富であるが、それは魔物相手で人と対峙することは少なかった。
相手がシルヴィなどの格上であればまだしも、格下の彼女には本気を出す気になれなかった。
「何なのこの転入生、これだけ撃ち込んでもビクともしない」
相手の女子生徒はすでに20発近くの魔法を撃ちこんでいるがロロは余裕の表情で防ぐ。
「(そうだ、魔力が尽きれば勝手に戦闘不能になりそう)」
いいアイデアを想いついたと笑顔になるロロ、しかし防御の手は緩むことをしらず相手の攻撃をすべて受けきる。
「(これじゃあこっちの魔力が尽きてしまう。く、)」
あいての女子生徒は攻撃を止めロロに接近してきた。ロロは嫌な表情になった。
「やっぱそう来るよなー、仕方ないか」
ロロは防御魔法を閉じた。女子生徒はよくわからなかったがチャンスと思いそのままロロに至近距離で魔法をくらわす。
しかしロロは至近距離でかわすと、すぐに彼女の横に回る。あまりの速度に女子生徒は反応すらできずその場で倒れた。
「それまで、魔力枯渇により戦闘不能。勝者ロロ」
ロロは悠々と闘技場から出ていく。観客は魔力枯渇によるダウンで試合が終わったため物足りなさを感じていた。
「(魔力枯渇?何を言ってるんだ。今のは彼が彼女の首に打撃を与えて気絶させたじゃないか)」
リヒトは本当の結末を知っていた。ロロはかわした際に女子生徒の首に手刀を入れていたがばれないように行ったためそこまで目立たなかった。実際監督の教員ですら気付かぬレベルの速さであった。
「(やっぱ彼はただものではないのか?)」
リヒトはロロへの警戒心が一層高まった。しかし、会場にいるリヒト以外の白金級すなわち上級生もロロに注目していた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ロロ君お疲れ、すごい防御魔法だったね」
「ああ、相手が早く倒れてくれて助かった。女相手にあんまし手を上げたくないし」
近くで聞いていたリアはその言葉を聞いてムッとする。「(じゃああの訓練はいったい何だったのよ!)」と心の中で突っ込んでいた。
「それよりサリーネの方だろ、あの様子じゃあリアのことにしか眼中にねえな」
「わかってるわよ、覚悟はしているしもともと全部倒すつもりなんだから。そしてロロ、あんたも私が倒すんだからね」
リアはロロに対して指を指す。自身満々な顔をするリアにロロは少し笑いながら、
「なら全力でお相手してやるよ」
それだけ言った。しかしロロはその言葉に全く重みを乗せていなかった。確かにロロはリアの強さは十分感じているし伸びしろもあると確信している。
「(それでも金級はお前が思ってるほど軽いものではない)」
ロロはまだ学園に来て少しであるが、先ほどのサリーネの戦いを見て確信した。この学園の金級がどれだけの重さがあるのかを。
単語
「1つだけ言っておくよ、もしこの前のチーム訓練のことを想像しているんだったらすぐにやめたほうがいい」
「え、どういう...」
リアはロロに問い詰めようとしたがロロはすぐにどこかへ行ってしまった。
「どうしたんだろう、ロロ君。ねえリア」
「え、ええそうね」
リアはロロの言葉を少し考えることにした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お待たせしました、今年の【ルーキーズカップ】の大本命!!リヒトの登場です!!」
司会のアナウンスに観客の人々は一斉に1つの闘技場に目を向ける。最強の1年名高いリヒトの出番である。相手の
銀級の生徒は完全に委縮している。
リヒトは開始の合図と同時に相手の生徒まで一瞬で詰め寄り、そのまま光速の手刀であっさりと倒した。
「(俺と同じフィニッシャー、確実に意識しているな)」
観客のほとんどはロロの時と同じように手刀は見えずよくわからなかったがリヒトが勝ったことに歓喜していた。
「はい」
ここはサリーネの実家の名家【シェムホルンド】の屋敷、そこでサリーネと現当主である実父が2人きりでいた。
「なんなのだあの結果は!?」
父はサリーネに分厚い本でほほにたたきつけた。サリーネは一度倒れてしまうが叱責は止まらなかった。
「悔しくはないのか!!同じ金級ならいざ知らず、格下の銅級ごときにやられるとは」
父はもう一度サリーネをはたいた。そのまま部屋を去り、部屋にはサリーネ1人だけになった。
「悔しい、悔しい、悔しい!!!憎い憎い憎い!!」
サリーネは憤怒と憎悪に駆られ、暴れまわった。そしてこの日を境にサリーネの表情は冷徹なものになりすべてを拒むような、そんな雰囲気を醸し出すようになった。
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「第8試合、はじめ!!」
「いけーロロ君!!」
第8試合はロロとおなじ銅級の女子生徒の対決であった。
「(うーん、女子相手にあんまり攻撃的になれないな)」
ロロは女子生徒の魔法攻撃をすべて防ぎながらそんなことを考えていた。彼は戦闘経験が豊富であるが、それは魔物相手で人と対峙することは少なかった。
相手がシルヴィなどの格上であればまだしも、格下の彼女には本気を出す気になれなかった。
「何なのこの転入生、これだけ撃ち込んでもビクともしない」
相手の女子生徒はすでに20発近くの魔法を撃ちこんでいるがロロは余裕の表情で防ぐ。
「(そうだ、魔力が尽きれば勝手に戦闘不能になりそう)」
いいアイデアを想いついたと笑顔になるロロ、しかし防御の手は緩むことをしらず相手の攻撃をすべて受けきる。
「(これじゃあこっちの魔力が尽きてしまう。く、)」
あいての女子生徒は攻撃を止めロロに接近してきた。ロロは嫌な表情になった。
「やっぱそう来るよなー、仕方ないか」
ロロは防御魔法を閉じた。女子生徒はよくわからなかったがチャンスと思いそのままロロに至近距離で魔法をくらわす。
しかしロロは至近距離でかわすと、すぐに彼女の横に回る。あまりの速度に女子生徒は反応すらできずその場で倒れた。
「それまで、魔力枯渇により戦闘不能。勝者ロロ」
ロロは悠々と闘技場から出ていく。観客は魔力枯渇によるダウンで試合が終わったため物足りなさを感じていた。
「(魔力枯渇?何を言ってるんだ。今のは彼が彼女の首に打撃を与えて気絶させたじゃないか)」
リヒトは本当の結末を知っていた。ロロはかわした際に女子生徒の首に手刀を入れていたがばれないように行ったためそこまで目立たなかった。実際監督の教員ですら気付かぬレベルの速さであった。
「(やっぱ彼はただものではないのか?)」
リヒトはロロへの警戒心が一層高まった。しかし、会場にいるリヒト以外の白金級すなわち上級生もロロに注目していた。
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「ロロ君お疲れ、すごい防御魔法だったね」
「ああ、相手が早く倒れてくれて助かった。女相手にあんまし手を上げたくないし」
近くで聞いていたリアはその言葉を聞いてムッとする。「(じゃああの訓練はいったい何だったのよ!)」と心の中で突っ込んでいた。
「それよりサリーネの方だろ、あの様子じゃあリアのことにしか眼中にねえな」
「わかってるわよ、覚悟はしているしもともと全部倒すつもりなんだから。そしてロロ、あんたも私が倒すんだからね」
リアはロロに対して指を指す。自身満々な顔をするリアにロロは少し笑いながら、
「なら全力でお相手してやるよ」
それだけ言った。しかしロロはその言葉に全く重みを乗せていなかった。確かにロロはリアの強さは十分感じているし伸びしろもあると確信している。
「(それでも金級はお前が思ってるほど軽いものではない)」
ロロはまだ学園に来て少しであるが、先ほどのサリーネの戦いを見て確信した。この学園の金級がどれだけの重さがあるのかを。
単語
「1つだけ言っておくよ、もしこの前のチーム訓練のことを想像しているんだったらすぐにやめたほうがいい」
「え、どういう...」
リアはロロに問い詰めようとしたがロロはすぐにどこかへ行ってしまった。
「どうしたんだろう、ロロ君。ねえリア」
「え、ええそうね」
リアはロロの言葉を少し考えることにした。
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「お待たせしました、今年の【ルーキーズカップ】の大本命!!リヒトの登場です!!」
司会のアナウンスに観客の人々は一斉に1つの闘技場に目を向ける。最強の1年名高いリヒトの出番である。相手の
銀級の生徒は完全に委縮している。
リヒトは開始の合図と同時に相手の生徒まで一瞬で詰め寄り、そのまま光速の手刀であっさりと倒した。
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