最強魔導士の育成論

groria

文字の大きさ
13 / 14

第13話

しおりを挟む
「サリーネ、先日のチーム訓練の結果を見させてもらった」

「はい」

ここはサリーネの実家の名家【シェムホルンド】の屋敷、そこでサリーネと現当主である実父が2人きりでいた。

「なんなのだあの結果は!?」

父はサリーネに分厚い本でほほにたたきつけた。サリーネは一度倒れてしまうが叱責は止まらなかった。

「悔しくはないのか!!同じ金級ゴールドならいざ知らず、格下の銅級ブロンズごときにやられるとは」

父はもう一度サリーネをはたいた。そのまま部屋を去り、部屋にはサリーネ1人だけになった。

「悔しい、悔しい、悔しい!!!憎い憎い憎い!!」

サリーネは憤怒と憎悪に駆られ、暴れまわった。そしてこの日を境にサリーネの表情は冷徹なものになりすべてを拒むような、そんな雰囲気を醸し出すようになった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「第8試合、はじめ!!」

「いけーロロ君!!」

第8試合はロロとおなじ銅級ブロンズの女子生徒の対決であった。

「(うーん、女子相手にあんまり攻撃的になれないな)」

ロロは女子生徒の魔法攻撃をすべて防ぎながらそんなことを考えていた。彼は戦闘経験が豊富であるが、それは魔物相手で人と対峙することは少なかった。

相手がシルヴィなどの格上であればまだしも、格下の彼女には本気を出す気になれなかった。

「何なのこの転入生、これだけ撃ち込んでもビクともしない」

相手の女子生徒はすでに20発近くの魔法を撃ちこんでいるがロロは余裕の表情で防ぐ。

「(そうだ、魔力が尽きれば勝手に戦闘不能になりそう)」

いいアイデアを想いついたと笑顔になるロロ、しかし防御の手は緩むことをしらず相手の攻撃をすべて受けきる。

「(これじゃあこっちの魔力が尽きてしまう。く、)」

あいての女子生徒は攻撃を止めロロに接近してきた。ロロは嫌な表情になった。

「やっぱそう来るよなー、仕方ないか」

ロロは防御魔法を閉じた。女子生徒はよくわからなかったがチャンスと思いそのままロロに至近距離で魔法をくらわす。

しかしロロは至近距離でかわすと、すぐに彼女の横に回る。あまりの速度に女子生徒は反応すらできずその場で倒れた。

「それまで、魔力枯渇により戦闘不能。勝者ロロ」

ロロは悠々と闘技場から出ていく。観客は魔力枯渇によるダウンで試合が終わったため物足りなさを感じていた。

「(魔力枯渇?何を言ってるんだ。今のは彼が彼女の首に打撃を与えて気絶させたじゃないか)」

リヒトは本当の結末を知っていた。ロロはかわした際に女子生徒の首に手刀を入れていたがばれないように行ったためそこまで目立たなかった。実際監督の教員ですら気付かぬレベルの速さであった。

「(やっぱ彼はただものではないのか?)」

リヒトはロロへの警戒心が一層高まった。しかし、会場にいるリヒト以外の白金級プラチナすなわち上級生もロロに注目していた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ロロ君お疲れ、すごい防御魔法だったね」

「ああ、相手が早く倒れてくれて助かった。女相手にあんまし手を上げたくないし」

近くで聞いていたリアはその言葉を聞いてムッとする。「(じゃああの訓練はいったい何だったのよ!)」と心の中で突っ込んでいた。

「それよりサリーネの方だろ、あの様子じゃあリアのことにしか眼中にねえな」

「わかってるわよ、覚悟はしているしもともと全部倒すつもりなんだから。そしてロロ、あんたも私が倒すんだからね」

リアはロロに対して指を指す。自身満々な顔をするリアにロロは少し笑いながら、

「なら全力でお相手してやるよ」

それだけ言った。しかしロロはその言葉に全く重みを乗せていなかった。確かにロロはリアの強さは十分感じているし伸びしろもあると確信している。

「(それでも金級ゴールドはお前が思ってるほど軽いものではない)」

ロロはまだ学園に来て少しであるが、先ほどのサリーネの戦いを見て確信した。この学園の金級ゴールドがどれだけの重さがあるのかを。
単語ルビ
「1つだけ言っておくよ、もしこの前のチーム訓練のことを想像しているんだったらすぐにやめたほうがいい」

「え、どういう...」

リアはロロに問い詰めようとしたがロロはすぐにどこかへ行ってしまった。

「どうしたんだろう、ロロ君。ねえリア」

「え、ええそうね」

リアはロロの言葉を少し考えることにした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「お待たせしました、今年の【ルーキーズカップ】の大本命!!リヒトの登場です!!」

司会のアナウンスに観客の人々は一斉に1つの闘技場に目を向ける。最強の1年名高いリヒトの出番である。相手の
銀級シルバーの生徒は完全に委縮している。

リヒトは開始の合図と同時に相手の生徒まで一瞬で詰め寄り、そのまま光速の手刀であっさりと倒した。

「(俺と同じフィニッシャー、確実に意識しているな)」

観客のほとんどはロロの時と同じように手刀は見えずよくわからなかったがリヒトが勝ったことに歓喜していた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

道化たちの末路

希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と側室母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。

【1話完結】あなたの恋人は毎夜わたしのベッドで寝てますよ。

ariya
ファンタジー
ソフィア・ラテットは、婚約者アレックスから疎まれていた。 彼の傍らには、いつも愛らしい恋人リリアンヌ。 婚約者の立場として注意しても、アレックスは聞く耳を持たない。 そして迎えた学園卒業パーティー。 ソフィアは公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。 ガッツポーズを決めるリリアンヌ。 そのままアレックスに飛び込むかと思いきや―― 彼女が抱きついた先は、ソフィアだった。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

処理中です...