小姓残酷物語 〜 冷酷な主君の『おもちゃ』として、もてあそばれた小姓の悲劇 〜【完結】

丸井マロ

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元和六年(1620年) 15歳

5.地下牢へ(2)

実千代の身体は震え、足元がふらついている。

中奥と本丸御殿を繋ぐ渡り廊下は長く、警備は厳重だった。

警備の者の前を通過し、渡り廊下に入ると、実千代は足をすくませるが、佐々木は腕をつかむ手に力をこめて半ば強引に引きずっていく。

振袖の小姓が乱れた姿で、罪人のように引っ立てられていく姿に、本丸御殿の人々は驚きと好奇の入り混じった目を向けた。

地下に降りると、いよいよ牢獄らしい陰湿な空気と異臭が、二人と実千代にまとわりつく。

「お願い……助けて……」
実千代は小さく呟くが、佐々木は言葉を返せなかった。

虎長の命令に逆らう術はなく、ただ黙って実千代を導いた。

拷問用の牢獄には、薄暗い空間に三角木馬や水責め用の大桶などが用意され、天井には吊るし責め用の滑車が設置されていた。

牢屋の格子戸を開けて、佐々木と藤田は実千代を中に押し込んだ。

藤田が縄を手にした。

実千代が震えながら後ずさりすると、藤田が腕を掴み、「逃げても無駄ですよ」と冷たく告げた。

「お願いです、何でもします、何でも……後生でございます……」

禍々しい拷問道具を目の当たりにして、実千代は恐怖のあまり膝から崩れて跪き、ぶるぶると震えながら涙を流して懇願する。

藤田が冷たく笑い、「実千代殿、覚悟しなされ。若様のせいで拷問されるのです。私としては殺したくはないが、殿の命だ、手加減はできませぬ。死んだほうがマシな目に遭うでしょうな」と言い放った。

佐々木は実千代から慎重に目を逸らした。

実千代の苦しみは、松寿丸の未練を断ち切るための犠牲である。

虎長の冷酷さが無辜な少年を拷問にかけ、その責めを松寿丸に背負わせるのだ。

実千代が身に着けていた瀟洒な振袖を脱がせると、白い下着の上から縄をかけ、後ろ手に縛る。

準備が整うと、佐々木と藤田は虎長に報告するために中奥へ戻った。
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