こんな三角関係だなんて聞いてません!

ゆなな

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12話

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 しゅるり、とリボンがほどける音がしてマリの纏っていた小さなレースがシルクのシーツの上に落ちた。
 千晶の倍はありそうなマリのペニスにマリは手を添えると、千晶のぐずぐずに濡れた穴に押し当てた。
 ぬちゃ……と濡れた粘膜同士が触れ合う音がして……
「マリちゃ………」
 ひくり、と千晶の喉が震えた。
「ちーくん初めてだよね? いっぱい優しくするから……」
 マリはお姫様のように可愛らしい顔で微笑むと、王子様が落とすような優しいキスをした。
 頬に甘い香りの髪が触れる。
「んぁ……っ」
 にゅる、とつるりとしたペニスの先端が千晶の濡れた穴に触れた。
「あ……っやっぱ待って欲し……」
「もう待てない。アタシいっぱい待ったもん。もう、無理よ。止まれない……ちーくんだって男の子なんだからわかるでしょ」
 ず……っとマリの綺麗な顔を裏切るペニスが躯の中に入ってきた。
「ひ……っ」
 充分に濡れて解れていたため、にゅるにゅると隘路をマリのペニスが拡げていく。
 初めてなのに痛いどころか、大きなものに拡げられて気持ちよくてたまらないなんて、恥ずかしくて思わず腕で顔を隠したが、そっと退かせられた。
「見せて……ちーくん、アタシに挿れられて気持ちいいの? 嬉しい……気持ちいい顔すごく可愛い……アタシずっと見たかった……」
 そう言われて頬にちゅっ、とくちびるを落とされた。
 下肢からしたたる液体が汗なのかお腹の奥からとめどなく流れる愛液なのか、わからないほどに熱くて、気持ちいい……
「マリちゃん……っ、わかんなくなっちゃう……っ」
「いいよ……何にも考えないで。わかんなくなって。わかんなくなったらわかることもあるんだよ」
 組み敷かれて、下から見上げるマリはひどく雄臭くて、どきりとした。優しいばかりのマリじゃないのに、気持ちいい……マリも沢山汗をかいたせいか、いつもの香水の香りだけじゃなく、マリ本来の香りであろうものもふんだんに混ざる。それは大好きな匂いと瓜二つで千晶を安心させる。だから……
 緩やかなピストンで、何度も絶頂に押し上げられて、千晶の理性はどろどろのぐちゃぐちゃに形を無くしかけていたときだった。

「ちーくん、気持ちいい……出ちゃいそう……イくときナカにそのまま出してうなじ噛んでもいい……?」
 いつものマリからは想像出来ないくらい雄の色を帯びた声が耳奥に流されて、千晶は瞬間我に返った。
「え……?あっ……あっ………や……マリちゃん……っおれ……オメガだからぁ……っ」
 中に出された上にうなじを噛まれたら大変なことになってしまうと千晶が告げようとすると
「んーそうだね。ちーくんはオメガだね。 しかも今日発情期だよね? 抑制剤飲んだと思えないくらい匂いがすっごくあまぁい。ちーくんいっぱい感じてるからかな」
 ふふふ、と綺麗な顔でにっこりと、微笑んで、長い髪を耳にかけると、ずくり、と奥を突く。
「あ…… っや……マリちゃ……」
「あー……すごーい。ちーくんの中ぐっしょぐしょ。 気持ちいいよね。アタシもぬるぬるして熱くて気持ちいーから……出ちゃいそう……」
「待って……待って………っ……出すの、ダメっ……」
「えー、なんで? ダメ? アタシちーくんのナカに出したい」
 これ以上ないくらい、綺麗な女の子の顔でくちびるを尖らせながらマリはとんでもないことを言う。
「あっ…… マリちゃんっ……ナカはダメっ……おれ、妊娠しちゃうからっ」
「アタシ、ちーくんの赤ちゃんのママになりたいもん
……あー、マジ気持ちいー、出そう……」
 そう言ったマリの掠れた声とひそめられた眉がどうしようもなく雄臭くて、千晶はぎくり、と躯を強張らせた。
「や……っ……ナカに出さないで……っ」
「だぁめ。アタシちーくんのナカに出したい……ちーくん、大好きだもん。だからずっと待ってあげたんだもん」
 ふわりとマリの香水の中に、胸を締め付けるほど恋しい匂いを感じた。マリの香水の中に交じるそれがずっとあの人のそれと、やっぱりとてもよく似ていて、千晶を混乱させる。
「やだ……やだ……やだ……出さないで……にんしん、しちゃう……あっ……相馬さん……」
 漂った香りに胸を締め付けられて思わず相馬の名を呼んでしまう。
 マリの容赦なく動いていた腰が一旦ぴたりと止まった。
「なぁに?ちーくん。 アタシは出しちゃダメなのに、そーまさんならいいってわけ?」
 妬けちゃう、と少し冷静さを取り戻したようなマリの声。ずくり、と意地悪く奥を突かれて。
「ごめ……マリちゃ……っ相馬さんっ………そ、まさ……っ」
 もう一度涙混じりでその名を呼んでしまう。一度呼んでしまうと涙が堰を切ったように止まらなかった。
はぁ、と深いため息がマリから漏れたのち。

「やっぱ俺のことだい好きじゃん。千晶」

 いつも千晶を助けてくれる優しい相馬の声が聞こえて、千晶はマリを見上げてぴしり、とその場で固まった。
 ふぅ、と溜め息を吐いたマリは「あっつ……」と額の汗を拭う。
 それから、そう言ってマリは綺麗な淡い色の髪を後ろで纏めてベッドサイドのチェストからヘアゴムを取り出し後ろでくるりとアップに纏めた。
 それから軽く睫毛に触れてその瞳を縁取っていた人工の睫と黒目を大きく見せていたカラーコンタクトを外してベッド脇のゴミ箱に捨てた。
「はぁぁぁ?? え……そ、まさんっ………?」
  びっくりして千晶の涙が思わず引っ込んだ。
「はぁい。そーまさんですよー」
 自分の上に乗る相馬の姿を見て、千晶は目をぱちくりと瞬かせる。
「そ、相馬さん、マ……マリちゃんは……?」
 濡れた千晶の瞳を拭う、ネイルチップを外した指先は確かに見慣れた相馬のものと相違なかった。
「マリちゃんは……実は相馬さんでした……ってあれ? やだ? 千晶、怒ってる?」
「……あっ……ま、って、動かな……で……考えらんな……っ」 
「この状態で止まれる男、いないわよ。わかるでしょ」
 ずくり、と相馬が奥を擦る。縋るようにその背に千晶の腕が回った。
「あ……っも、混乱する、からぁ……どっち……… どっち……なの?」
「……さぁ? 俺も、わかんない……でもどっちもアタシだからいいよね? あーマジでそろそろ出そ……」
「あっ…出しちゃうの……?」
「うん、出したい……千晶のナカに全部出したいよ……だめ……?」
「わかんな……っ……も、考えるの、むり……ぁっ待っ」
 千晶の達しすぎて赤くなってしまった陰茎から透明な液がとぷりと溢れた。
 腕の中でわからないとぐずって泣きながら達した千晶のくちびるに、優しくキスを落とす。
「意地悪だったね。ごめん」
 そう言って相馬は千晶の手を取ると、そっと下肢に導いて……
「あ……」
「ちゃんとゴム付けてる…… ホント千晶はバカだなぁ。気づかなかった? ほんとはこのまま出したいけど……今日は色んなことがありすぎて千晶混乱してるから我慢するよ……」
 でもいつかは全部千晶のナカに出すからねって甘えるように耳に舌をぬるりと這わす相馬に導かれるままに相馬の陰茎の根元に触れると、ちゃんとコンドームを付けている感触があった。
「あ……すご…………おっきくて、あつい……」
「ちょっと……無自覚なわけ? それ? ほんと、マジ小悪魔……っ」
「え……? あ、もっとおっきく……あぁっ……」
「……好きだよ……愛してる……俺のものになって……千晶、お願い……」
 相馬とマリの二人に口説かれているようで、繋がっているところから溶けてしまいそうだった。
「あっ……もう、ぐちゃぐちゃだからぁ、こすんないで…………」
 相馬に抱かれてめちゃくちゃに感じるのがあんなにも怖かったのに、実際にそうなると千晶の胸はマリと相馬を愛しいと思う気持ちでいっぱいだった。どうなってもいいと思うほど、抱き合ってる男が恋しくてたまらなかった。この気持ちに代えられるものなんて、ない……
「好きなひとといっぱい気持ちよくなることは、悪いことじゃないんだよ……俺もすごく気持ちいいよ……千晶のナカ気持ちよくて溶けそう……」
 熱を持って、熟れて濡れて腫ぼったくなっている粘膜を掻き回される。それから。
「うなじ、噛むよ……それはいいよね?」
 蕩けそうな声で相馬が言った。
 千晶は心も躯も一つの気持ちでいっぱいになって、必死でこくこくと頷いた。
「愛してる、好き……大好き……マリちゃ……も、相馬さんも……っ」
 自分のナカから溢れてこぼれ出す。止めてなんておけなかった。千晶の潤んだ瞳からも溢れた涙にくちびるを寄せながら相馬はきつく千晶のことを抱き締めて……
「やば……んなこと言われたら、も………出る……」
 千晶の躯のこれ以上入らないという奥深くまで自身を埋め込むと、ぐいっとその躯を抱き起こした。座って抱き合う形になると、なめらかな千晶うなじに舌を這わせて……
「ああっ………」
 それから、そっとそのうなじを永遠の愛を誓うように噛んだ。
「……っぅぁ……愛してる……っ……ちあき……」
「俺も………っ……すき……」
 千晶の何度目かわからないくらいの絶頂とともに、相馬は千愛しくてたまらない気持ちをたっぷりと吐き出した。
 
 そうして荒い吐息のまま抱き合いながら揺蕩う千晶に呪文をかけるように、相馬の優しい声が流し込まれる。
「ねぇ、千晶。アルファに狂って一人で生きて行けなくなるのが怖いっていうけれど、俺だって千晶に狂ってもう一人じゃ生きていけないよ。愛し合うってそういうことじゃないの? 歪な俺をどっちも大切に思ってくれて愛しい……ずっと俺と一緒にいて……」
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