それはとても、甘い罠

ゆなな

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番外編

Happy birthday dear Ryo

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 毎年リョウの誕生日は盛大にDeep blueで祝われるらしい。
 リョウからもその日は是非来て欲しいと誘われていた。
「本当は悠だけに祝ってもらいたいんだけどね…パーティーは店の大事なイベントでもあるから出ないといけなくてね。でも途中でこっそり抜け出そう」
 そう悪戯っぽい顔で囁かれた。
 Deep blueで行われるパーティだから、ドレスコードはなく普段どおりで、と言われていた。なので、リョウからプレゼントされたゆったりしたデザインの青のセーターとそれに合わせて買ったグレーがかったスキニーパンツを身に着けた。それから貰った指輪をプラチナのネックレスに掛け、少し伸びた髪はべた付かないように気を付けてワックスを付けて整える。リョウが好きだという耳を片方だけ出るように耳に引っかけてから鏡を見る。
 鏡に映った自分は制服姿よりは大人っぽいけれど、どんなに背伸びしてもティーンエージャー以外には見えようもなかった。
「今日のパーティ……綺麗な人沢山来るんだろうな」
 リョウ目当てで店にやって来る人は沢山いる。中には芸能人に疎い悠でさえも分かるような女優やモデルもいる。
 そういう人たちを見ると自分がとんでもなく子供っぽいような気がして恥ずかしくてリョウの前から消えたくなってしまう。
 Deep blueでバイトするハヤトからお下がりで貰ったブラックレザーのバッグにラッピングされたプレゼントを入れて悠は慌ただしく家を飛び出した。

******

「リョウ、お誕生日おめでとう」
 予想どおりリョウは美しい花々のような常連客達に囲まれて祝われていた。
 今日は色んな客が来るから俺の傍から離れないでねって言われているので、言いつけを守ってリョウの傍らに居たが昨日テレビのCMで見かけた美女がプレゼントを渡しながら、二人っきりで夜を過ごす誘いをリョウの耳元に流し込んだの見て居たたまれなくなり、少しだけ下がったところで彼を見ていた。
 背後のカウンターに次々と積まれていくプレゼントの山々。悠でさえも分かるようなブランドの紙袋や誰もが知る高級ブランドの腕時計が入ってると思われる小箱。
(そっかぁ、普通大人の誕生日プレゼントって言ったらこういうものだよなぁ)
 自分のバッグの中に入れてきたプレゼントを思って益々居たたまれなくなってきた。
「悠くん、こんばんは。今日はリョウさん、忙しそうだね」
 そう声が掛かって顔を上げるとリョウに挨拶を終えたばかりの常連客のうちの一人が話しかけてきた。
(なんだっけ……なんか……動画配信アプリの会社の社長とかなんとか……)
 声を掛けてきたのは新進気鋭のベンチャー企業の社長で、見た目もすっきりと整っていることからコメンテーターとしてメディアにも露出している。
「こんばんは。前橋さん。今日はお客さん多いですからね」
 一生懸命記憶から名前を掘り起こしてそう答えた悠。
「リョウさんが全員と挨拶するの待ってたら悠く疲れちゃうよ。あっちのソファで座って待たない?」
 前橋はそう言って、店の真ん中にある水槽の向こう側。このカウンターと一番遠く離れた店の奥まったところにあるソファ席に行こうと提案した。
 悠がリョウの方にチラリと視線を遣ると、エメラルドグリーンが美しい小箱に白いリボンが掛かったプレゼントを受け取っているところだった。
 それはこの前リョウと一緒に観た映画にも出てきたものだと見て取れた。
 大好きな人の誕生日。誰よりも祝いたいのに、醜い気持ちで彼を見るのは辛くて、リョウが見えないところに行きたくて、悠は静かに頷いた。
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