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1章
4話
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ユキは永瀬の居室を出ると矢のように小児科の医局に戻り着替えた。
「……っと……」
うっかり夜の分の発情抑制剤を飲むのを忘れるところだった。
さっと、ペットボトルのミネラルウォーターで流し込むとナースステーションと夜勤の医師に挨拶して走り出ようとすると
「ちょっと、ユキ!そんなに急いで…まさかデートじゃないでしょうね?」
あまりの急ぎように同じ時期にこの病院の小児科で働き始めた、謂わば同期のような存在のナース河原奈美に声をかけられた。
「そんなんじゃないよ…そうだ、奈美ちょっと耳かして」
綺麗に染められた栗色の髪の毛にそっとくちびるを近づける。
嬉しくてこっそり奈美にだけ先に話してしまった。
「うそ……よかった!高弥くん永瀬先生に執刀してもらえるのね……で、ユキは永瀬先生にデートに誘われたってわけ?」
「違うよ、送ってもらうだけ。でもあれだけの医師の話が聞けるなんて光栄だよ」
「永瀬先生って決まった番がいないってオメガのナースでは噂よ、みんな狙ってるけど誰も二人で出掛けたことないのよ、それなのに送っていくよなんて定番のお誘いじゃない。やるじゃん、ユキ」
奈美は悪戯そうにユキの耳元にささやいた。
奈美とは働き始めて間もない頃、うっかり抑制剤を忘れたまま仕事に来てしまったユキの様子を同じくオメガであったことから素早く察して彼女の抑制剤を分けてくれた恩人だ。おかげで今も誰からもバレずに済んでいる。
「奈美…永瀬先生は僕をベータの男だと思っているんだからそういう対象には見てないと思うよ。それに僕は抑制剤がよく効くからこのまま医者であるために番を持つつもりは……」
「オメガでも、ユキは腕がいいんだからバレても何の問題ないと思うんだけどなぁ……」
「そうかな……オメガの医師の診断は信用出来ないっていう人も結構いるよ」
「そんなの下らない意味のない差別だって、ユキなら証明できるのに……」
「自信ない。じゃ永瀬先生待たせたらいけないから行くね。とにかく、僕は番を持つつもりは絶対にないよ。薬効いてるから不自由ないしね」
相変わらずねと苦笑する奈美にユキはそれじゃ、と手を降ると再び職員用駐車場に向かった。
「……っと……」
うっかり夜の分の発情抑制剤を飲むのを忘れるところだった。
さっと、ペットボトルのミネラルウォーターで流し込むとナースステーションと夜勤の医師に挨拶して走り出ようとすると
「ちょっと、ユキ!そんなに急いで…まさかデートじゃないでしょうね?」
あまりの急ぎように同じ時期にこの病院の小児科で働き始めた、謂わば同期のような存在のナース河原奈美に声をかけられた。
「そんなんじゃないよ…そうだ、奈美ちょっと耳かして」
綺麗に染められた栗色の髪の毛にそっとくちびるを近づける。
嬉しくてこっそり奈美にだけ先に話してしまった。
「うそ……よかった!高弥くん永瀬先生に執刀してもらえるのね……で、ユキは永瀬先生にデートに誘われたってわけ?」
「違うよ、送ってもらうだけ。でもあれだけの医師の話が聞けるなんて光栄だよ」
「永瀬先生って決まった番がいないってオメガのナースでは噂よ、みんな狙ってるけど誰も二人で出掛けたことないのよ、それなのに送っていくよなんて定番のお誘いじゃない。やるじゃん、ユキ」
奈美は悪戯そうにユキの耳元にささやいた。
奈美とは働き始めて間もない頃、うっかり抑制剤を忘れたまま仕事に来てしまったユキの様子を同じくオメガであったことから素早く察して彼女の抑制剤を分けてくれた恩人だ。おかげで今も誰からもバレずに済んでいる。
「奈美…永瀬先生は僕をベータの男だと思っているんだからそういう対象には見てないと思うよ。それに僕は抑制剤がよく効くからこのまま医者であるために番を持つつもりは……」
「オメガでも、ユキは腕がいいんだからバレても何の問題ないと思うんだけどなぁ……」
「そうかな……オメガの医師の診断は信用出来ないっていう人も結構いるよ」
「そんなの下らない意味のない差別だって、ユキなら証明できるのに……」
「自信ない。じゃ永瀬先生待たせたらいけないから行くね。とにかく、僕は番を持つつもりは絶対にないよ。薬効いてるから不自由ないしね」
相変わらずねと苦笑する奈美にユキはそれじゃ、と手を降ると再び職員用駐車場に向かった。
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