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サリュエラ様は、今日もお仕事に励んでらっしゃいます。
私の心配をすこし煽るほどに。

「あの、サリュエラ様。少し休憩されては……?」

「今集中してるんだ。分かるだろ?静かにしてくれ。」

「申し訳……ありません。……では、せめて作った紅茶を置いておきますね……。」

そして仕事が大方片付いた頃。
ここまでサリュエラ様と会話は無かったことなど、わざわざ言及の意味などないほど、些末なことです。
なぜなら今夜は。
私たちの愛が立証されるんですから。

「あの!サリュエラ様!今夜、今夜は!その………!来て、くださいね!」

私は精一杯の、誠意一杯の笑顔で言いました。

「………今夜?あー今夜な。わかってるよ。もちろん行くさ。」

「……!はい!お待ちしております………!」



「アリエッタ様。朝でしてよ。いくら昨晩楽しんだからといって、寝坊の免罪とはいきませ………アリエッタ様?起きてらっしゃるなら、お返事していただけると助かるんですけど。」

「ハンナ………」

「どうかなさいましたか。昨晩のお惚気でしたら受付致しませんよ。」

「ハンナ…………あの……あのね。」

「アリエッタ様。ですからそう言う話は……………いや、アリエッタ、まさか、もしかして…………?」

「うん。サリュエラ様。………来なかった…よ。」

「そんな…。」

ハンナが見たことないような顔をしています。
あぁ、そんな顔をしないで、ハンナ。
あなたは、月のように凛と、けれど底にある慈愛を隠し切れていない、そんなあなたの顔が一番素敵なのに。
けれども、もう私はそれ以上に、見せたことのないような顔をしているのでしょうね。
もう、……………限界です。
本当に、限界なんだよ。
ずっと。

「アリエッタ!?」

私は、逃げ出した。
走って。
ヒールを八つ当たるように大理石の床に叩きつけて、叩き突き立てて。
体の均衡を、心の均衡を、失いながら。














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