途中ページ、ビリリ

織賀光希

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途中ページ、ビリリ

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破られた文庫本。

かろうじて、数センチ残っているページ。

それが、数枚しかない。

だが、推測して楽しめなくはない。

ページ数は分からない。

でも、十分楽しめるかもしれない。



《1枚目[表]》
だと分かったが、生命からの追放を、
すべての魂が受け入れることを、許さ
ない。心残りというものしかない。な

《1枚目[裏]》
宙人か。触角が5つある生物が、地球
にいるか。そう考えている間にも、真
っ赤な光の点滅が、脳を壊す。だから

《2枚目[表]》
した彼女がいる。まだ、会って二日。
なのに、僕の背中の左にある、ホクロ
を知っていた。寝ているときに、見た

《2枚目[裏]》
ンビニみたいなね。何でもあるのよ」
「でも、お金みたいなものないから。
使っちゃったから。」

《3枚目[表]》
回目と言っていた。脳に鉛を、詰めら
れたように重い。ミドリのマントの男
は、二度と、このネズミ色の硬すぎる

《3枚目[裏]》
色の鮮やかな肉。フライパンで、ジュ
ージュ一と鳴ってる。花柄のエプロン
が、白濁した皮膚に、映えている。場

《4枚目[表]》
はまだか。暗闇というわけではない。
目も開けている。空気も感じる。なの
に、黒しかない場所で、まったく動く

《4枚目[裏]》
社会的地位は上昇。スーツも、オーダ
ーメイドに成り上がり。シャツの襟元
を、そよぐ風が心地いい。あれは、な

《5枚目[表]》
と穴を掘っても土の色だけ。息が漏れ
る。
「天使くんが、悪魔は2時間後には4

《5枚目[裏]》
うか。涙は、悲しいときに、しょっぱ
くなる。そして、嬉しいときには、甘
くなるらしい。今は、少しだけ甘いと

《6枚目[表]》
ーパールーバ一が、びくともせず、た
だただ、そこに存在している。時間が
止まり、僕だけが自由気ままに動いて

《6枚目[裏]》
んだ。死んだよ。ああ幽霊だな。壁を
抜けられるし、軽いし。こっちの方が
楽かもしれないな。だって、この先に

《7枚目[表]》
000年前ということだ。さらさらし
た、黄土色の砂しかない。ひとりの美
女が、薄着で寝そべっている。ただ、

《7枚目[裏]》
ペラペラペラペラ。薄っぺらな人間と
か、おしゃべりすぎる人間が、僕は苦
手かもしれない。朝刊の広告にあるよ

《8枚目[表]》
娘はいつの間にか、おしゃれをする年
齢になった。マニキュアをして、腰よ
り遥か上に、真っ黒のベルトを巻いて

《8枚目[裏]》
「名前は、なんていうんですか?」
『名前ですか?えっと、あなたの思っ
ている名前とは、たぶん、違いますけ

《9枚目[表]》
は小さいのに、痛感を刺激してくる。
皮膚の一部を、えぐりとられるような
感じの、痛みがある。本当に少女なの

《9枚目[裏]》
か、自分が分からない。脳に、黒板消
しをかけたように。でも、自分の情報
以外の場所は、真っ白なチョークによ

《10枚目[表]》
いるのか、死んでいるのか。生きてい
るのか、死んでいるのか。花の薫りが
鼻から、スッと、脳に上がっているか

《10枚目[裏]》
して、明菜が散らかした、積み木の三
角を拾い上げる。あの日の空みたいな
青だ。でも、少しかすれすぎか。優し



楽しむことが出来た。

とても、おもしろく感じた。

今、不思議な感覚のなかにいる。
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