かくまってちゃん

織賀光希

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かくまってちゃん

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♪ピンポピンポピンピンピンピンピンポピンポン

♪ピンピンピンピンピンピンポピンポピンポン

また、来たか

鳴り止まないうちに、何度もチャイムを押しまくる人。

隣の部屋の女性。

可愛くて、最初は恋心も無くはなかった。

でも、素に近いぶりっこと、ちょっと抜けているところを目の当たりにして、恋心はなくなった。

代わりに、別の何かが湧いてきた。

「かくまって、かくまって! 彼氏の時計売ったら頭叩かれたの」

そりゃそうだ。

叩かれるまではいかなくても、確実に誰でも怒る。

本当に、かくまいきれる場所を求めているなら、ここではない。

もっと、いい場所がある。

灯台もと暗しの発想は、ここでは使えない。

いつも、真っ先に、ここに彼氏が訪ねてくるから。

彼氏とは、毎回すぐ別れてしまっているみたいで、いつも別の彼氏なのだが。

「かくまって、かくまって!」

「いいですよ」

もう、かくまってもらうということが、好きなのだろう。

かくまい依存、みたいなものだろうか。

恋に恋するみたいに、かくまってもらうことに、生き甲斐を見出だしてしまっているのか。

そんな感じだろう。

かくまってちゃんの顔をした、かまってちゃんなのかもしれない。


♪ピンポン ピンポン ピンポン ピンポン


落ち着いたチャイムだ。

たぶん、彼氏だろう。
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