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七章
親友が苦しむ時、僕は……~part2~
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そう感じていたのは僕だけではなかった。
――――ぐすっ、はあー、ごほっごほっ……ぐすっ……。
頭を上げ、吉備を見る。
吉備は顔を歪ませ泣いていた。途中深呼吸を何度かして鎮めようとするが、僕同様心から溢れ出す雫を止めることは出来ない。それが何より僕には何よりも嬉しく、そして自分が間違っていなかったことの証拠だった。
涙を拭き深呼吸をする。
「……無駄話は終わりだ」
そう言って、吉備が僕の眼前に拳銃を突きつける。
「悪いが、陸奥。お前はここで死んでくれ」
向けられた銃口の奥は真っ黒だった。闇に繋がっていそうなその先に一筋の光が見える。一つの点だった光は徐々に強くなっていく。ずっと見ていると吸い込まれそうになるほど美しく魅力的だった。だからだろうか。その黒光りした物体に僕はそれほど恐怖を感じなかった。
バンッ!
乾いた音が鳴り、周りの音が無くなる。火薬の匂いが充満する。
咄嗟に閉じた目を恐る恐る開ける。弾が発射され銃口に煙が立ち、それが僕の横を通過したことに気がついたのはそれから五秒ほど経ってからだった。
――この近距離で発射された弾が当たらなかった。
その事実が波立つ僕の心を穏やかにしてくれた。
僕は真正面に立つ吉備を見据える。吉備の目は先ほどとは打って変わって動揺に満ちていた。黒目が上下左右に動き忙しない。
「陸奥、お前も持ってるんだろ? 早く出せよ! 構えろよ!」
吉備が促す。両手で拳銃を持つ手が震えている。手に入れる力を調整しきれていない証拠だった。
僕がその言葉に動くことはない。
「……僕は戦わない」
吉備が眉間に皺を寄せ下唇を噛む。
「はっ⁉ どうしてだよ! 俺はお前を殺そうとしてるんだぞ! お前、このままだと死ぬぞ! それでもいいのか?」
「何を言われようが、僕は戦わない」
怒りに高揚した顔を震わせ、再度、銃口を僕の眉間に合わせる。
「た、戦え! 今度は本当に殺すぞ!」
もはやその声に力はなく、何の強制力も介在していなかった。
僕はひとつ息を吸い、中に溜まった塊を思い切り吐き出した。
「どんなに酷い形で騙されようと、何回殺されそうになろうとも、どんなことがあろうとも、吉備、僕はお前の親友だ! 僕は親友を信じる!」
その言葉に吉備の動きが止まる。忙しなく動いていた眼球が僕を写し、肩に入っていた力が抜ける。自然と銃口は床に向いていた。
「お前がそこまで馬鹿な奴だとは思わなかった」
「それはお互い様だよ」
僕は吉備の拳銃を取ろうと手を伸ばした時だった。
吉備は僕の手を払いのけ、同時に僕の胸を思い切り押す。
「……吉備!」
「正直言うと、陸奥に殺してほしかったんだ。だけど……仕方ない」
吉備が銃口を自分のこめかみに当てる。
「……やめろ、吉備」
「どっちみち、お前をここで殺せなかった俺に待ってるのは死だ。だから、許してくれ、陸奥」
吉備がゆっくり瞼を降ろし、人差し指に力を込める。
緊張していた顔の筋肉が緩む。全てを悟った表情がやけに鼻につく。
「やめろ!」
声と同時に身体を動かすが、到底間に合う距離ではない。
――僕はまた周りが見えていなかった。吉備がこんなになるまで気づいてあげることが出来なかった。また僕は友達を失ってしまうのか。
バンッ!
音が鳴った瞬間、伸ばした手の先に吉備が倒れるのが見える。時間にして一秒か二秒くらいの出来事なのに、まるでそれはコマ送りで流れているかのように一瞬一瞬が切り取られて流れている。ドラマやアニメで見ている光景に近い。
吉備が床に倒れ動かなくなる。
頭が真っ白になり、目の前で起こっていることが現実で起こっていることなのか、それとも夢の中の出来事なのか、判別ができなくなる。悪い夢ならば早く覚めてほしい、と願う主人公の気持ちが分かるような気がした。
周りの音が耳に入ってくるようになり、僕の意識がはっきりしてきた。
「吉備!」
急いで吉備の元に向かう。
「死なないでくれ! 吉備! おい、吉備!」
――――ぐすっ、はあー、ごほっごほっ……ぐすっ……。
頭を上げ、吉備を見る。
吉備は顔を歪ませ泣いていた。途中深呼吸を何度かして鎮めようとするが、僕同様心から溢れ出す雫を止めることは出来ない。それが何より僕には何よりも嬉しく、そして自分が間違っていなかったことの証拠だった。
涙を拭き深呼吸をする。
「……無駄話は終わりだ」
そう言って、吉備が僕の眼前に拳銃を突きつける。
「悪いが、陸奥。お前はここで死んでくれ」
向けられた銃口の奥は真っ黒だった。闇に繋がっていそうなその先に一筋の光が見える。一つの点だった光は徐々に強くなっていく。ずっと見ていると吸い込まれそうになるほど美しく魅力的だった。だからだろうか。その黒光りした物体に僕はそれほど恐怖を感じなかった。
バンッ!
乾いた音が鳴り、周りの音が無くなる。火薬の匂いが充満する。
咄嗟に閉じた目を恐る恐る開ける。弾が発射され銃口に煙が立ち、それが僕の横を通過したことに気がついたのはそれから五秒ほど経ってからだった。
――この近距離で発射された弾が当たらなかった。
その事実が波立つ僕の心を穏やかにしてくれた。
僕は真正面に立つ吉備を見据える。吉備の目は先ほどとは打って変わって動揺に満ちていた。黒目が上下左右に動き忙しない。
「陸奥、お前も持ってるんだろ? 早く出せよ! 構えろよ!」
吉備が促す。両手で拳銃を持つ手が震えている。手に入れる力を調整しきれていない証拠だった。
僕がその言葉に動くことはない。
「……僕は戦わない」
吉備が眉間に皺を寄せ下唇を噛む。
「はっ⁉ どうしてだよ! 俺はお前を殺そうとしてるんだぞ! お前、このままだと死ぬぞ! それでもいいのか?」
「何を言われようが、僕は戦わない」
怒りに高揚した顔を震わせ、再度、銃口を僕の眉間に合わせる。
「た、戦え! 今度は本当に殺すぞ!」
もはやその声に力はなく、何の強制力も介在していなかった。
僕はひとつ息を吸い、中に溜まった塊を思い切り吐き出した。
「どんなに酷い形で騙されようと、何回殺されそうになろうとも、どんなことがあろうとも、吉備、僕はお前の親友だ! 僕は親友を信じる!」
その言葉に吉備の動きが止まる。忙しなく動いていた眼球が僕を写し、肩に入っていた力が抜ける。自然と銃口は床に向いていた。
「お前がそこまで馬鹿な奴だとは思わなかった」
「それはお互い様だよ」
僕は吉備の拳銃を取ろうと手を伸ばした時だった。
吉備は僕の手を払いのけ、同時に僕の胸を思い切り押す。
「……吉備!」
「正直言うと、陸奥に殺してほしかったんだ。だけど……仕方ない」
吉備が銃口を自分のこめかみに当てる。
「……やめろ、吉備」
「どっちみち、お前をここで殺せなかった俺に待ってるのは死だ。だから、許してくれ、陸奥」
吉備がゆっくり瞼を降ろし、人差し指に力を込める。
緊張していた顔の筋肉が緩む。全てを悟った表情がやけに鼻につく。
「やめろ!」
声と同時に身体を動かすが、到底間に合う距離ではない。
――僕はまた周りが見えていなかった。吉備がこんなになるまで気づいてあげることが出来なかった。また僕は友達を失ってしまうのか。
バンッ!
音が鳴った瞬間、伸ばした手の先に吉備が倒れるのが見える。時間にして一秒か二秒くらいの出来事なのに、まるでそれはコマ送りで流れているかのように一瞬一瞬が切り取られて流れている。ドラマやアニメで見ている光景に近い。
吉備が床に倒れ動かなくなる。
頭が真っ白になり、目の前で起こっていることが現実で起こっていることなのか、それとも夢の中の出来事なのか、判別ができなくなる。悪い夢ならば早く覚めてほしい、と願う主人公の気持ちが分かるような気がした。
周りの音が耳に入ってくるようになり、僕の意識がはっきりしてきた。
「吉備!」
急いで吉備の元に向かう。
「死なないでくれ! 吉備! おい、吉備!」
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