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七章
親友が苦しむ時、僕は……~part3~
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「間一髪、といったところですかね」
僕が錯乱し吉備の身体を揺すっていると、背後から女性の柔らかい声がした。
声の方を向くと、そこにはいつだかの雀荘で会った和服幼女、デブハゲ、ちび髭の三人がいた。
「……これは?」
「キジは死んでませんよ」
一瞬、何を言われているのか理解が出来なかったが、それが吉備の事だということはすぐに分かった。
落ち着いて確認すると、口を開けて意識を失ってはいるが息はしている。手の甲から血は出ているが、頭から血は出ていない。吉備の持っていた拳銃は近くに転がっており、弾は発射されていない。心臓はしっかり動いている。脈も触れている。
――吉備、僕の親友は死んでいない。良かった。本当に良かった。
心の底からそう思う。同時に込み上げていたものが溢れ出す。
「あり……ありがとう、ございました」
嗚咽交じりの声に自分の気持ちを込める。
ここ最近だけで一生分の涙を流していると思うのは大袈裟だろうか。それくらい涙脆くなり、自分の感情に素直になることが出来るようになった。
「いえ、私たちは私たちのためにやったことですから。お気になさらず」
そう言って、三人が僕に近づいてくる。
吉備やデブハゲ、ちび髭がお嬢と呼んでいた和服幼女、そして、その吉備が竜崎組と関係しているということは……。
流れ落ちる涙を止め訊く。
「あの、あなたたちは」
「お察しの通り、私たちは竜崎組の者です」
やっぱり、そうだった。
「それとこれは分かっておいてください。キジは何も好き好んであなたを裏切ったのではありません。脅されて仕方なく……」
最初から騙すつもりでいたのであれば、僕のことなど何も言わずに撃ち殺せば良かったのだ。しかし、そうしなかった。そして、吉備は自ら死ぬことを選択した。その過程を考えれば一目瞭然だった。
「大丈夫ですよ。何か事情があるのは分かってましたから」
「……そうですか。ありがとうございます」
和服幼女はそう言って胸を撫でおろす。後ろに控えるデブハゲとちび髭も不器用ではあるが各々安心している様子が伺えた。
その表情を見て僕も安心した。
子供の頃、僕は父から『暴力団に入るような輩は自分の事だけを考えて、人の事なんて露ほどの感情も持ち合わせていない連中の集まりだ。絶対に信用してはいけないぞ』と事あるごとに口を酸っぱくして言われていた。
僕も実際、そういうものだと思っていた。
だからこそ、茉莉が暴力団組長の娘であることを知った時は驚いたし、正直、引いた。
月島先生の依頼なんて無視して下手なことに首を突っ込まず、安らかな自分の日常に戻った方が楽なんじゃないか。
そう思った。
しかし、結局、僕は茉莉を助けると決めた。
茉莉のためになることなら何でもしてやる。
そう思わせてくれたのは香椎組組長の娘、香椎茉莉であり、暴力団と言っても一緒くたに片づけられないものだと知った。
勿論、父の言うような人がいないとは言わない。
ただ、それは暴力団に限ったことではなく、普通に生活している人の中にもいるのではないか。
そう思った時、僕の中にある塊が偏見であることに気づいた。
そんな今の僕だからこそ、暴力団の誰々だとかに振り回されることなく、その人、個人のことを真正面から見ることが出来る。その自負はある。
だからこそ、見えてくるものがある。
――この人達はちゃんと吉備のことをしっかり考えてくれている人たちだ。
僕が錯乱し吉備の身体を揺すっていると、背後から女性の柔らかい声がした。
声の方を向くと、そこにはいつだかの雀荘で会った和服幼女、デブハゲ、ちび髭の三人がいた。
「……これは?」
「キジは死んでませんよ」
一瞬、何を言われているのか理解が出来なかったが、それが吉備の事だということはすぐに分かった。
落ち着いて確認すると、口を開けて意識を失ってはいるが息はしている。手の甲から血は出ているが、頭から血は出ていない。吉備の持っていた拳銃は近くに転がっており、弾は発射されていない。心臓はしっかり動いている。脈も触れている。
――吉備、僕の親友は死んでいない。良かった。本当に良かった。
心の底からそう思う。同時に込み上げていたものが溢れ出す。
「あり……ありがとう、ございました」
嗚咽交じりの声に自分の気持ちを込める。
ここ最近だけで一生分の涙を流していると思うのは大袈裟だろうか。それくらい涙脆くなり、自分の感情に素直になることが出来るようになった。
「いえ、私たちは私たちのためにやったことですから。お気になさらず」
そう言って、三人が僕に近づいてくる。
吉備やデブハゲ、ちび髭がお嬢と呼んでいた和服幼女、そして、その吉備が竜崎組と関係しているということは……。
流れ落ちる涙を止め訊く。
「あの、あなたたちは」
「お察しの通り、私たちは竜崎組の者です」
やっぱり、そうだった。
「それとこれは分かっておいてください。キジは何も好き好んであなたを裏切ったのではありません。脅されて仕方なく……」
最初から騙すつもりでいたのであれば、僕のことなど何も言わずに撃ち殺せば良かったのだ。しかし、そうしなかった。そして、吉備は自ら死ぬことを選択した。その過程を考えれば一目瞭然だった。
「大丈夫ですよ。何か事情があるのは分かってましたから」
「……そうですか。ありがとうございます」
和服幼女はそう言って胸を撫でおろす。後ろに控えるデブハゲとちび髭も不器用ではあるが各々安心している様子が伺えた。
その表情を見て僕も安心した。
子供の頃、僕は父から『暴力団に入るような輩は自分の事だけを考えて、人の事なんて露ほどの感情も持ち合わせていない連中の集まりだ。絶対に信用してはいけないぞ』と事あるごとに口を酸っぱくして言われていた。
僕も実際、そういうものだと思っていた。
だからこそ、茉莉が暴力団組長の娘であることを知った時は驚いたし、正直、引いた。
月島先生の依頼なんて無視して下手なことに首を突っ込まず、安らかな自分の日常に戻った方が楽なんじゃないか。
そう思った。
しかし、結局、僕は茉莉を助けると決めた。
茉莉のためになることなら何でもしてやる。
そう思わせてくれたのは香椎組組長の娘、香椎茉莉であり、暴力団と言っても一緒くたに片づけられないものだと知った。
勿論、父の言うような人がいないとは言わない。
ただ、それは暴力団に限ったことではなく、普通に生活している人の中にもいるのではないか。
そう思った時、僕の中にある塊が偏見であることに気づいた。
そんな今の僕だからこそ、暴力団の誰々だとかに振り回されることなく、その人、個人のことを真正面から見ることが出来る。その自負はある。
だからこそ、見えてくるものがある。
――この人達はちゃんと吉備のことをしっかり考えてくれている人たちだ。
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