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七章
親友が苦しむ時、僕は……~part4~
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和服幼女がこちらに向き直り口を開く。
「そして、信じられないかもしれませんが、私たちはあなたの味方です」
「信じますよ」
「竜崎組の者ですからね。それはそうなる……って、えっ⁉ 今なんと⁉」
大きな目が飛び出さんばかり見開き驚きを露わにする。二次創作でお決まりの展開に苦笑を浮かべながらもう一度答える。
「えっと……僕、あなたたちを信じますよ」
「それは、また、どうしてですか? 自分で言うのもあれですが、香椎茉莉を卑怯な手で誘拐し、うちの若と結婚させ、香椎組諸共手に入れようとしているんですよ」
組同士の事情は知ったことではないし、正直、どうでも良いのだが、茉莉が結婚……それは聞き捨てならない情報だった。
僕はあくまでも冷静を装い、和服幼女の目を見据え答える。
「あなたたちの素性は何も知りませんが、でも、あなたたちは吉備を助けてくれた。そして、見るからに吉備のことを大切に思い心配してくれている。それだけで信頼するには十分でしょう」
本心だった。
以前であれば人にこんな感情を抱くことは絶対になかった。
そもそも興味がなかった。
しかし、そんな僕がこんなことを素で言えるようになった。月島先生と雪乃にはめちゃくちゃに怒られそうだが、それもこれも茉莉のおかげだと思う。
だからこそ、無事助けだして言わなくてはいけない。
「……ありがとうございます。本当に」
「お嬢、そろそろ追手が来ます」
デブハゲが耳打ちをする。
「……そうですね」
ひとつ息を吐き、こちらを向く。
「私たちはそろそろ行かなくてはいけません。キジのことは私たちに任せてください。あなたも早く行かなくてはいけないでしょう」
はっとして上を見上げる。最上階まではそう遠くない。しかし、思ったよりも時間を使ってしまった。
「聞きたいことは山ほどありますが、とりあえず」
そう言って直角に頭を下げる。
「吉備のこと、よろしくお願いします!」
こんな姿、父には到底見せられないな、と内心思いながらも心の底からの願いだった。
「はい! 任せてください!」
その返事とともに僕は頭を上げる。
和服幼女が満面の笑みで上げた親指を突き出す。それに倣ってデブハゲとちび髭も自信満々に親指を上げる。
僕はその光景に押されながら、茉莉の元へ足を動かした。
「あっ、如月陸奥!」
僕の背中に柔らかくも力強い声が投げられる。
二、三段上りかけたところで、その声に止められる。
「これを持って行きなさい!」
言葉とともに和服幼女が投げたのは何の変哲もない真っ赤なハンカチだった。
「どうしようもなくなった時、それを上に投げなさい。それが絶対にあなたを救ってくれるはずです」
「……ありがとうございます?」
それがどう助けてくれるのか、いくら考えたところで疑問符は取れなかったが、とりあえずそれをジャージのポケットにしまう。
「あっ、それと、最後に――――」
和服幼女が教えてくれたことに怒りが沸々と湧きあがってくる。握る拳が自然と強くなり、手の平に刺さる爪が痛い。
「分かりました。ありがとうございます!」
「如月陸奥!」
「はい!」
「香椎茉莉は私たちの恩人です! どうか助けてください! よろしくお願いします!」
そう言って三人が同時に頭を下げる。風貌はでこぼこのそれであり、一見すると危ない連中だが、その実これ以上にないほど思いやりがあり温かい人たちだった。
「任せてください!」
「――――ご武運を!」
小さくなる声を背中に受けて、足を必死に動かす。
茉莉を助ける、という目的に変わりはないし、今もそれが達せられれば他のことは正直どうでもよかった。しかし、和服幼女の言葉が僕にやることを一つ増やした。
その目的を達成されなければ、僕が僕でいる存在意義みたいなものが根底から揺るがされるような気がする。
「そして、信じられないかもしれませんが、私たちはあなたの味方です」
「信じますよ」
「竜崎組の者ですからね。それはそうなる……って、えっ⁉ 今なんと⁉」
大きな目が飛び出さんばかり見開き驚きを露わにする。二次創作でお決まりの展開に苦笑を浮かべながらもう一度答える。
「えっと……僕、あなたたちを信じますよ」
「それは、また、どうしてですか? 自分で言うのもあれですが、香椎茉莉を卑怯な手で誘拐し、うちの若と結婚させ、香椎組諸共手に入れようとしているんですよ」
組同士の事情は知ったことではないし、正直、どうでも良いのだが、茉莉が結婚……それは聞き捨てならない情報だった。
僕はあくまでも冷静を装い、和服幼女の目を見据え答える。
「あなたたちの素性は何も知りませんが、でも、あなたたちは吉備を助けてくれた。そして、見るからに吉備のことを大切に思い心配してくれている。それだけで信頼するには十分でしょう」
本心だった。
以前であれば人にこんな感情を抱くことは絶対になかった。
そもそも興味がなかった。
しかし、そんな僕がこんなことを素で言えるようになった。月島先生と雪乃にはめちゃくちゃに怒られそうだが、それもこれも茉莉のおかげだと思う。
だからこそ、無事助けだして言わなくてはいけない。
「……ありがとうございます。本当に」
「お嬢、そろそろ追手が来ます」
デブハゲが耳打ちをする。
「……そうですね」
ひとつ息を吐き、こちらを向く。
「私たちはそろそろ行かなくてはいけません。キジのことは私たちに任せてください。あなたも早く行かなくてはいけないでしょう」
はっとして上を見上げる。最上階まではそう遠くない。しかし、思ったよりも時間を使ってしまった。
「聞きたいことは山ほどありますが、とりあえず」
そう言って直角に頭を下げる。
「吉備のこと、よろしくお願いします!」
こんな姿、父には到底見せられないな、と内心思いながらも心の底からの願いだった。
「はい! 任せてください!」
その返事とともに僕は頭を上げる。
和服幼女が満面の笑みで上げた親指を突き出す。それに倣ってデブハゲとちび髭も自信満々に親指を上げる。
僕はその光景に押されながら、茉莉の元へ足を動かした。
「あっ、如月陸奥!」
僕の背中に柔らかくも力強い声が投げられる。
二、三段上りかけたところで、その声に止められる。
「これを持って行きなさい!」
言葉とともに和服幼女が投げたのは何の変哲もない真っ赤なハンカチだった。
「どうしようもなくなった時、それを上に投げなさい。それが絶対にあなたを救ってくれるはずです」
「……ありがとうございます?」
それがどう助けてくれるのか、いくら考えたところで疑問符は取れなかったが、とりあえずそれをジャージのポケットにしまう。
「あっ、それと、最後に――――」
和服幼女が教えてくれたことに怒りが沸々と湧きあがってくる。握る拳が自然と強くなり、手の平に刺さる爪が痛い。
「分かりました。ありがとうございます!」
「如月陸奥!」
「はい!」
「香椎茉莉は私たちの恩人です! どうか助けてください! よろしくお願いします!」
そう言って三人が同時に頭を下げる。風貌はでこぼこのそれであり、一見すると危ない連中だが、その実これ以上にないほど思いやりがあり温かい人たちだった。
「任せてください!」
「――――ご武運を!」
小さくなる声を背中に受けて、足を必死に動かす。
茉莉を助ける、という目的に変わりはないし、今もそれが達せられれば他のことは正直どうでもよかった。しかし、和服幼女の言葉が僕にやることを一つ増やした。
その目的を達成されなければ、僕が僕でいる存在意義みたいなものが根底から揺るがされるような気がする。
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