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第五章
第五十一話
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黒塗りのベンツがずらっと並ぶ隙間に車を停める。
声のする方に急いで歩を進めると、事はすでに佳境へと進んでいた。
あかりと朱雀、リチャード、東の四人がすでに現組長崇徳院譲二に説得を続けているところだった。
計画では朱雀の祖父もそこにいるはずなのだが、後から来るのだろうか。
俺は音を立てることなく物陰に身を顰め動向を見守る。
そして、真冬に渡されたイヤホンを耳につける。
会話の内容が鮮明に聞こえてきた。
朱雀の声が大きく、譲二の声は少し遠い。
「――お父様、もう止めましょう! こんなことを続けても意味なんてありませんよ!」
取引相手はまだ到着していない。
説得できるかどうかは別として、ここまでは計画通りと言っていい。
遠目から見てもその場は今にも爆発しそうなほどの緊張感に包まれており、たとえ身内であっても妨げるものがいれば容赦しない。
そんな空気感がその場を支配していた。
そんな状況でいても、朱雀は物怖じすることなく説得を続けている。
譲二他、組員が明らかに苛立っている。
俺みたいな一般人であればそこでちびってしまうのだが、そこはやはり極道の娘なのだな、と感じてしまう。
一度、別のイヤホンを装着する。
「真冬さん、真冬さん」
「…………」
「真冬さん、聞こえてますか?」
「はいはーい。ばっちし聞こえてるよ」
「あの、もう始まってて入るタイミングないんですけど」
「何食わぬ顔で入ってけばいいんよ。あたかも最初からいましたみたいな顔して。大丈夫。あっちゃん、影薄いし」
「この状況でさらっと悪口言わないでください」
真冬さんはいつもと変わらぬ口調で言う。
これだけ聞いたら遅れて教室に入る生徒と遜色ないのだが、ここはやくざ同士の取引現場。
下手をすれば怪我だけで済まないのは想像に難くない。
「分かった分かった。じゃあ、タイミングは僕が出すから、その時に出てって」
「了解しました」
そう言って、真冬との会話を終了させる。
再び最初に着けていたイヤホンを着け、朱雀たちの会話に耳を傾ける。
「――それは何回も説明しただろう。昔と今は違う。今はこういうこともしないと生きていけないんだ。いい加減分かってくれ」
譲二が煙草を吹かしながら淡々と言う。
そして、時計に目をやる。
取引までは後十五分。
この十五分で方をつけなければ取引を止めることは出来ない。
声のする方に急いで歩を進めると、事はすでに佳境へと進んでいた。
あかりと朱雀、リチャード、東の四人がすでに現組長崇徳院譲二に説得を続けているところだった。
計画では朱雀の祖父もそこにいるはずなのだが、後から来るのだろうか。
俺は音を立てることなく物陰に身を顰め動向を見守る。
そして、真冬に渡されたイヤホンを耳につける。
会話の内容が鮮明に聞こえてきた。
朱雀の声が大きく、譲二の声は少し遠い。
「――お父様、もう止めましょう! こんなことを続けても意味なんてありませんよ!」
取引相手はまだ到着していない。
説得できるかどうかは別として、ここまでは計画通りと言っていい。
遠目から見てもその場は今にも爆発しそうなほどの緊張感に包まれており、たとえ身内であっても妨げるものがいれば容赦しない。
そんな空気感がその場を支配していた。
そんな状況でいても、朱雀は物怖じすることなく説得を続けている。
譲二他、組員が明らかに苛立っている。
俺みたいな一般人であればそこでちびってしまうのだが、そこはやはり極道の娘なのだな、と感じてしまう。
一度、別のイヤホンを装着する。
「真冬さん、真冬さん」
「…………」
「真冬さん、聞こえてますか?」
「はいはーい。ばっちし聞こえてるよ」
「あの、もう始まってて入るタイミングないんですけど」
「何食わぬ顔で入ってけばいいんよ。あたかも最初からいましたみたいな顔して。大丈夫。あっちゃん、影薄いし」
「この状況でさらっと悪口言わないでください」
真冬さんはいつもと変わらぬ口調で言う。
これだけ聞いたら遅れて教室に入る生徒と遜色ないのだが、ここはやくざ同士の取引現場。
下手をすれば怪我だけで済まないのは想像に難くない。
「分かった分かった。じゃあ、タイミングは僕が出すから、その時に出てって」
「了解しました」
そう言って、真冬との会話を終了させる。
再び最初に着けていたイヤホンを着け、朱雀たちの会話に耳を傾ける。
「――それは何回も説明しただろう。昔と今は違う。今はこういうこともしないと生きていけないんだ。いい加減分かってくれ」
譲二が煙草を吹かしながら淡々と言う。
そして、時計に目をやる。
取引までは後十五分。
この十五分で方をつけなければ取引を止めることは出来ない。
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