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第五章
第五十二話
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「確かに極道者には厳しい世の中になりました。しかし、だからといって、人が変わったわけではありません! 世のため、人のためになることを忘れなければ、絶対に分かってくれる人はいるはずです!」
そう熱弁する朱雀を一瞥し、深い溜息を吐く。
「そうして、いつまで待っていればいい? 五年か? 十年か? そうやって組を潰すまで理想を追い続け偽善を続けるのか?」
「……確かに時間はかかるかもしれません。それでも諦めないで続けていれば人の心を変えられるはずです。そのためにまず私たちが変わる必要があります。そうすれば極道というだけで非道だ、卑怯者だ、と白い目で見る人たちの見る目が変わる。私はそんな世の中にしたいんです」
そう言い切る朱雀の目が燃える。
あの時、俺とあかりに語ってくれた時のような情熱が体のいたるところから滲んでいる。
しかし、そんな朱雀を譲二は鼻で笑う。
「どうやって変えるんだ? お前にその策はあるのか?」
朱雀が俯き唇を噛む。
「…………分かりません。でも、方法は絶対あるはずです。だから」
「もういい。お前の言いたいことは分かったから、今日はもう帰れ」
「いや、帰りません。お父様が止めてくれるまでは、絶対に」
「……おい」
譲二が組員に目配せをする。
それが合図とばかりに組員たちが、朱雀たちを抑えようと取り囲む。
「……本当はお父様の方から言っていただきたかったのですが……」
朱雀は小声で言い、言葉を継ぐ。
「お父様は、脅されているんですよね?」
朱雀の言葉に譲二の体が一切の動きを止める。
そして、煙草を咥えたままゆっくりと朱雀を見る。
隠してはいるが驚きを隠すことは出来ていなかった。
「……どこでそれを知った?」
「二年前の火事の時、お母様は死んでなどいなく、本当は中国マフィアに拉致されてしまった。お父様はお母様を助けるために仕方なく取引に応じていた。そうですよね?」
煙草を地面に捨て、火を消す。
冷静を装ってはいるが、その表情は紛れもなく動揺していた。
瞬きが増え、視線が定まらない。
ついには右足を小刻みに動かし始めた。
「……ああ、お前の言う通り、聡子は死んでいない。だが、奴らの言うことを聞かなければいつ殺されてもおかしくない。だから従っていた」
「ということは、それが解決してしまえば、お父様はもうこんな取引をすることはない。そういうことですよね?」
譲二が一度瞼を降ろし、深く息を吐く。
「そうだ……と言いたいところだが、もうその必要はないんだ。……これが最後だから」
「お父様、それはどういう意味ですか?」
「どういう意味も何も、そのままの意味だ」
そう言って、もう一つの扉からぞろぞろと歩いてきたのは明らかに堅気ではない中国人だった。
それは取引相手のマフィアだった。
そう熱弁する朱雀を一瞥し、深い溜息を吐く。
「そうして、いつまで待っていればいい? 五年か? 十年か? そうやって組を潰すまで理想を追い続け偽善を続けるのか?」
「……確かに時間はかかるかもしれません。それでも諦めないで続けていれば人の心を変えられるはずです。そのためにまず私たちが変わる必要があります。そうすれば極道というだけで非道だ、卑怯者だ、と白い目で見る人たちの見る目が変わる。私はそんな世の中にしたいんです」
そう言い切る朱雀の目が燃える。
あの時、俺とあかりに語ってくれた時のような情熱が体のいたるところから滲んでいる。
しかし、そんな朱雀を譲二は鼻で笑う。
「どうやって変えるんだ? お前にその策はあるのか?」
朱雀が俯き唇を噛む。
「…………分かりません。でも、方法は絶対あるはずです。だから」
「もういい。お前の言いたいことは分かったから、今日はもう帰れ」
「いや、帰りません。お父様が止めてくれるまでは、絶対に」
「……おい」
譲二が組員に目配せをする。
それが合図とばかりに組員たちが、朱雀たちを抑えようと取り囲む。
「……本当はお父様の方から言っていただきたかったのですが……」
朱雀は小声で言い、言葉を継ぐ。
「お父様は、脅されているんですよね?」
朱雀の言葉に譲二の体が一切の動きを止める。
そして、煙草を咥えたままゆっくりと朱雀を見る。
隠してはいるが驚きを隠すことは出来ていなかった。
「……どこでそれを知った?」
「二年前の火事の時、お母様は死んでなどいなく、本当は中国マフィアに拉致されてしまった。お父様はお母様を助けるために仕方なく取引に応じていた。そうですよね?」
煙草を地面に捨て、火を消す。
冷静を装ってはいるが、その表情は紛れもなく動揺していた。
瞬きが増え、視線が定まらない。
ついには右足を小刻みに動かし始めた。
「……ああ、お前の言う通り、聡子は死んでいない。だが、奴らの言うことを聞かなければいつ殺されてもおかしくない。だから従っていた」
「ということは、それが解決してしまえば、お父様はもうこんな取引をすることはない。そういうことですよね?」
譲二が一度瞼を降ろし、深く息を吐く。
「そうだ……と言いたいところだが、もうその必要はないんだ。……これが最後だから」
「お父様、それはどういう意味ですか?」
「どういう意味も何も、そのままの意味だ」
そう言って、もう一つの扉からぞろぞろと歩いてきたのは明らかに堅気ではない中国人だった。
それは取引相手のマフィアだった。
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